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受難続きのテラ惑星間貿易商  作者: 椎谷 急須
6章 大陸鳴動
47/52

戦々恐々

~プロメンテ 農耕地区 プロメンテ社 敷地内~


タツマ達は、これから起きるだろう不吉な感覚を持ちつつもスマイル号に向かう。 セレンとの直通トークンは、地上には一体しかいないため、気軽に持ち出せないのが弱点である。


加えて一つのAIをカムカム号と地上で使うため、必要な時以外は利用しないでくれとのサナエさんからの要望だ。なので、利用しない場合はスリープモードになる。


『マスターも用心深いですねー。 ハッピーカムカム号のAIが外からハッキングなど受けるはずがないのに』


「それでも直通回線だ。 気持ち悪いんだろ? ってかAIなのにセキュリティに関して緩くない? 」


『少し緩いぐらいがいいんです』


アルプがどこまで本気で話しているか分からないが、もしかしたらこの緊張をほぐすためのこいつなりの与太話なのだろうか? 


スマイル号に到着して、カーゴを開ける。キャンピングカーのような室内の奥にスリープモードのトークンがいる。 


こいつには、プロメンテの攻防戦の時には随分と頼ったものだ。 イスペリアの時は、美味しいカフェ検索やナーミャンへの通話接続程度しか使っていなかったが、今回は本格的な生存競争用としてまた用いることになる。


タツマが、話しかける。

「へい! セレン! 」


モノアイが光り起動する。

『随分と古めかしい掛け声ですね。 何かごようですか? 』


「サナエさん元気? 」

『ええ。私の改良に勤しんでいますよ』


何気にダウナー系のトーンでの応答になる。


「何かテンションが、随分と低いようだけど? 」

『今改良中ですから』


「そう……まぁいいや。ちょっと悩み事相談なんだけど」

『恋愛問題は、範囲外ですよ』


「いや……違うんだけど」

『つまらないですね~。では何でしょうか? 』


―― 矛盾してない? 何なの? AIじゃないの? ……ナーミャンにかけまくっていたかからそれを学習したの? 


「アルプ。 セレンどうしたの? ダウナー系になった? 」

タツマが、隣のアルプに耳打ちするかのように質問する。


『改良中とのことですから、その影響でしょう。 気にせず質問した方がよろしいかと』

「あーね」


こほん。気を取り直して質問を続ける。


「今のテッサリアの状況は、理解している? 」


『ええ。今後の状況の推移でも~聞きたいのですか? 』

「そんなところ」


『……幸せな予測ではないですよ~。 結論から言えば、今の場所から逃げた方が賢明です』

「……その心は? 」


『通常の流れで行けば、テッサリアからプロメンテに対して“白翼の騎士団”を差し出せとの要求が行われるでしょう』


「ほぅ」


『それに対して、プロメンテはどう出るか?  プロメンテが、テッサリアにタツマを差し出すのであれば、タツマは逃げた方が賢明です。 そして――』


「そして? 」


『もし、断った場合です。 テッサリアの案を突っぱねた場合、プロメンテを含めた南部地域のとの戦争までの発展まで推測できます。 いずれにしても、“白翼の騎士団”が巻き込まれることは必然。 故にこちらの場合もこの地から逃げた方が賢明となります』


「どうして戦争まで一気に飛躍するわけ? 理由は? 」


『あの発言は、付け込むには絶好の内容です。 テッサリアに侵攻の意図がなくとも、外部勢力が、いい様に動かします。例えばタニア連合王国。 彼らは手段を問わない。


テッサリア内で適当にテロでもおこして“白翼の騎士団”を犯人に仕立てれば、戦争原因はいくらでも作れます。 自国ではないので思うがまま。 


目的はキンメリア大陸の弱体化とその後の勢力拡大といったところでしょう』


「……」


『テッサリアの現執政官は、無能ではないと思いますが、如何せん治安隊あがり。外交対策が弱い面があります。流れを止めるには厳しいものと予測します』


「対応策はないの? 」


『それは、逃走以外との意味ですか? 』

「ああ」


『やってみる価値として、テッサリア内に工作員の派遣を推奨します。タニアが恐らく白翼の騎士団の偽物によるテロを行うはず。


それを止めるもしくは、タニアのテロの証拠を掴めれば、ギリギリの対応が可能となります。しかし、テロが起きたら後戻りは厳しいでしょう。 対応可能な人材がいますか? 』


「……当たってみる」

『以上です。 他には? 』


「ないです」

『それでは』


セレン型のトークンは、再び眠り付いている。


「――そっけなくない? いやそれ以上に何なんだよ。 あーもー! 」

タツマが頭を抱えている。


『テッサリアへの工作員の派遣はどうします? 当てはあるんですか? 』


「あの大年増トリュフィナにでも手伝ってもらうさ 」

『エリスの執政官は、キンメリア大陸に介入しないとの方針ですが? 』


「……前次席補佐に相談? 」

『既に職を辞した人間です。 かつてほどの力もありせんよ?』

――確かに


「レジスタンスとか? 」

『レジスタンスは、すでに解散しているので厳しいものがあります』


「ナーミャンは動けないし。 あー詰んだ! もーむり! 」

『取り敢えず、問題が明らかになったんです。 実働に関しては、ビャーネさんに相談したらどうでしょう? 』


「それこそ無理だろう? 」


タツマの落胆は、大きなものがある。 テッサリが、やらかさなくとも他から戦いを強いてくる。 そして選択肢は逃げる一択。 せっかくの第二の故郷を火の海する可能性が高い厳しい状況。


『そうでしょうか? 割と顔が広そうですよ』


―― クッソ。 しかし状況は打開したい……知識を広く募るのは、悪い事ではないか。

「了解だ。 相談してみる」


僅かな希望にすがる思いである。


カーゴ車両から出て、オフィス棟に歩いていく。

――しかし、工作員の工面とかいってもなー商人の考えることじゃないだろ?


とにかく、考える。 明日を掴むには考えて打開策を生み出さないとそこで終わりになってしまう。


―― どうするかー落ち着け! 考えろ!……考えろ……考えろ……。……。

オフィス棟までの道を考えながら歩く。 プロメンテの風が頭を冷やしてくれる。


―― 考えろ……。……。……。……。……。……! 

突如閃く。


「ニルブ通商経由のイスペリア執政官とかどうかな?」

タツマが急にアルプに提案をする。


『それこそ無理でしょう。 今回問題が起きても彼らには直接的な被害はありません。 加えて、彼らはタニアと共に生きているんです。 小手先ならともかくこれほどの大きな戦争を引き込そうとしているタニアとは、対峙なんか絶対にしません』


「いや……いや。いや。いや。いけるな」

タツマには何かの確信じみたものがあるようだ。


『……案があるんですね。お聞きしても』


オフィスへの道中で端的な説明をアルプに行っていく。 タツマの説明に対してアルプからも2、3の質問があり、それらに回答しながら目的地に進む。


両名は、オフィス棟に入りエレベーターに乗る。


アルプが話しかけてくる。

『なるほど。道理は通ります。あとは誰がイスペリアの執政官を口説き落とすか。 ですね』


「ああ、 因みに私は無理だぞ。 面が割れている」

『確かに……信頼が置けて、厄介ごとを快く引き受けてくれて、度胸がある人間になりますね』


「……あいつだな」

タツマが思いついたように言葉を発する。


『よくよく、彼を使いますね』

アルプから反応がある。


「当然だ! こんなふざけた案件に放り込んだ張本人だしな」


--- 商社プロメンテ 社長室

オフィスフロアに入ると、ビャーネさんが指示を出しながら仕事をしている。


タツマ達がオフィスにはいると向こうも少し時間を置いて、こちらに気づく。

「ああ。タツマさん。 どうしました? 」


「仕事がひと段落着いたら。少し話せませんか? 」

「わかりました……客間でお待ちください」


社長室の隣の客室に向かう。流石。客室だけあってウッドフレームの家具で整えられ落ちつた雰囲気だ。しばらくして、ビャーネさんが現れる。ソファに腰かけながら、話してくる。


「お待たせしました。お茶は後程お持ちしますよ。それで?」


「先ほど、うちのAIに今後の予測を聞きました。この報道紙について。」


報道紙をローテーブルの上に置く。新執政官の演説風景と“許すまじ!!白翼の騎士団”の表記が見える。


「……なるほど」

「恐らくまた、始まるのではないとのことです。回避は、ほぼ出来ないとの結論でした」


ビャーネさんの顔も暗くなる。何が始まるのかは言わずとも検討が付くようだ。


「そうですか……テッサリアが。 しかし、今ようやく復興の目途が立った段階でわざわざ多くの資源を使う、戦争など起こしますかね? 」


「恐らく、テッサリア内で“白翼の騎士団”を名乗った犯行グループがテロを実施して我々への憎悪を高める作戦とのことです」


「よくよく好かれていますね」

ビャーネさんは、呆れているような苦笑しか出ない。


「テロの主犯は恐らく……」

タツマは、表情を崩さず続ける。


「タニアですか。またですか! 相変わらずやることが姑息ですな! 」

ビャーネさんの感情が一時的に垣間見た瞬間だった。


直ぐに平静を取り戻し語りだす。

「失礼。 タツマさんが、ここに来たということは、何か策がおありなのでしょう? 」


「ええ。タニアが、テッサリアで引き起こすテロの証拠を掴んで欲しいので、イスペリア(港湾都市)に工作員を派遣してもらおうと思っています。 そこで執政官へのアポイントメントを取ってほしいのです」


「流石に無理ですよ。あの国は、タニアで潤っている国です。タニアに弓を引くことなんかできません」


「だからこそです。それこそが、彼らを口説く突破口になるんです」

「……お聞きしましょう」


……説明中……


「……よく思いつきましたね。その理屈」

ビャーネさんは感嘆している。


「なので、これを向こうの執政官に伝えて工作員を動かしたいんです。こちらからは、うちの親父を交渉人としてだします。メッセンジャーボーイをやってもらいます」


「タツマさんが説明すればよいのではないですか?」


「面が割れているんですよ。イスペリア庁舎に清掃業者として潜っていたので。執政官にも弁務官にも」


「本当にただの商人なんですか? しかし、それでも避けられない場合は? 」


「テッサリア相手では、我々では力不足過ぎます。 残念ながら逃げる選択肢しかありません。 ビャーネんさんも敵国にそれを喧伝すれば、多少攻勢を和らげられるはずです」


―― 戦力が違い過ぎる。


「人を揃えればどうです? 」


「プロメンテ軍は、倒してしまいましたからね。もう、常備軍も兵器もだいぶやられたんじゃないですか? それにボコボコにやられた相手に力を貸すとは思えませんよ」


「……義勇軍を集めます」


「どこから? 」

シメリア(鉱山都市国家)ヘスベリア(キンメリア大陸の港街)からです」


「貴方が逃げても、タニアは引き続きキンメリア大陸内で工作をするだけでしょう。ここでタニアの膿を殲滅します。


それにこの作戦が成功すれば、キンメリア内のタニアの勢力を著しく下られる。やりましょう。 ここで勝てば、この大陸も安定するはずです」


「……」

――本気ですか


ビャーネさんは遠い目をしながら、さらに語る。

「プロメンテ内戦を通して分かったんですよ。暗い事実を見て見ぬふりして、楽な方に流れて結果、大きな被害になってしまう。


現実から、面倒なことから逃げてもそのツケからは逃れられないことを。 もう、うんざりだ! こんなことは!」

感情が洩れる。


「わかりました。まず、ビャーネさんは、ニルブ通商に連絡して、執政官のアポイントを確保してもらいないでしょうか。 私は親父にかけあいます。恐らくエリス側も朧気ながら気づいているはずですから」


―― また戦か。いつまで続くんだこれ?



--- ダイゴ・スキュレス と イスペリア執政官会談

タツマの命を受けて親父である、ダイゴがイスペリアの地に立っている。


「ここが古の港湾都市イスペリアね。中々雰囲気があるところだな。サバエア大陸の外には、ほとんど出なかったからな」


ダイゴは、街中のカフェで茶をしながらつぶやく。

「それで、これからの予定は?」


「はい。明日にイスペリア庁舎で執政官との打ち合わせがあります。商社プロメンテの融資のお礼との建前出来ておりますので、お忘れなく」


彼女は、スキュレス議員の秘書であり、今回のお供になる。 彼自身一人でも会いに行けるといったが、エリス議員の特使が一人で出入りするのは不自然過ぎるとの理由で同行してもらっている。


エンジニアと操舵手と副社長は、サバ(工業地帯)から漏洩した軍事情報の内容と漏洩場所の調査に出払っている。


それにしても、タツマからのあの提案には驚かされた。まさかイスペリアにタニアの妨害をさせるとか、普通出来ないぞ。


「ダイゴ様。本日はいかがしますか?」

「あー自由行動。せっかくの観光地だ。観光しかやることないだろう?」


「ええ。まぁ」

「あんたも議員間のギスギスした環境から解放されたんだ。この環境を楽しんだらどうだ? 」


「……トリフィナの言っていた通りです。豪快なお方ですね」

「そうかい? 面倒なことを考えないだけだよ」

彼は笑ってやり過ごす。


AIの分析から戦争が起こる可能性がほぼ100%か。


しかし、セレンのアップデートとは、あの科学者には恐れ入るね。 エラーまで修正して、能力向上とは。 あの神父ですら、過去の遺物を復活させることまでが限界だったのにな。


「そうだ、仲介者のニルブ通商の会長への対応は?」


「あの方は大丈夫です。 ネス様(商社プロメンテの社長)の方で対応するとのことです」


「そうか。 それじゃ観光にでも向うか」

「ええ。 お供しますよ」


壮年期になっても好奇心が衰えないことが、この男の活力の源なのだろう。


--- 翌日

正装したダイゴが、イスペリア庁舎の正面からはいっていく。

「デザインが街並みに揃えているのか? 」

「そのようですね。 趣味が良いデザインと思います。 では参りましょうか。ダイゴ特使」


「ああ」

入口を入り受付をすると、専用通路に廻された。

ただの特使であるため、それほど気を使われないので気が楽である。


執政官室の前の秘書室に入り、執政官室の許可をとる。

「緊張しますね? 」

「そうか? 」


先に入っているイスペリアの秘書官より、ドアを開き招き入れられる。

「どうぞおはいりください」


「ようこそ! イスペリアへ。 遠路はるばるお疲れでしょう。 さぁどうぞ」

執政官が愛想よく出迎えてくる。


「本日は、会談の機会を設けていただきましてありがとうございます」

秘書官から話し出す。


「いえいえ。あのプロメンテ社への共同出資の話。中々面白いと思いましてな。こうして、あまり縁のないサバエア大陸。それもエリスからの特使まで来ていただけるとは、あの出資の意図でもあるのでしょう。 流石ですな」


饒舌な執政官。確かに出資の礼としてエリスの特使が各国に赴ける理由になる。


「いえいえ。これから徐々に我々とも交流していて頂ければと思います」

儀礼的な挨拶が終わる。


「ところで、執政官殿。 少し込み入ったお話があるのですが」

ダイゴが先に切り出す。


「なるほど……ちょっと君は外してくれないか? 」

秘書官が席を外し、執政官、ダイゴ、エリスの秘書官が室内に残る。


「さて、我々にとっていい情報でしょうね」


ダイゴが口火を切る。

「では、私からお話しさせていただきますね。 テッサリアの記事は、お読みになりましたか? 」


「ああ。 あれか。 まぁな。 それで? 」


「エリスが、分析をおこなったところ、キンメリア内での戦が起きる可能性が非常に高いとのことです」


「ほーそれで? それを我々に止めろと? 馬鹿らしい。 テッサリアがやることにイスペリアが首を突っ込むと思うか? 」


執政官は大して興味が無いような応答をしてくる。


「恐らく、タニアが裏で糸を引いているとの見解も出ています」


「タニアがねー。 しかし、だから何だというのだ? 我々にタニアへ工作を止めろとでも説得させようというのか? 別にキンメリア大陸内で戦争が起きても我々には関係がない。それに、タニア軍も駐留している。わざわざ火の中に飛び込む必要もなかろう。


テッサリアやタニアへの説得要請が目的であれば、残念ながら力は貸せないな」


はっきりとした拒絶。通常の説得であればここまでが限界になる。

執政官としての威圧感。これを跳ね除けられる、人物は中々いないだろう。


しかし、百戦錬磨のヒルベルト商会の元社長。相手の態度に全く興味なく続けていく。

「まずは、我々の要望を伝えます。 イスペリアの工作員を用いてテッサリア内で発生するタニアによるテロ行為の証拠や事前阻止をしていただきたい。 それが失敗した場合、プロメンテへの潤沢な武器供与をお願いしたい」


「……」


自分の言ったことを意に介さないその主張に口をつぐむ執政官。

おそらく、言うからには何かしらの意図があるのは、明らかだ。


「そして、これからは、執政官がお持ちのイスペリアやタニアへ国に対する愛の順位が、問題になります」


「?」


**** 説明中 ****


「……なるほど。大胆であるが、理屈は通るな」

執政官が、ダイゴから目線を外し、下を見ながら情報を整理している。


構わずダイゴが説明の補足をする。

「この作戦の本質は、イスペリアが危険に晒されないこと。加えて、タニアが成功すれば今まで通り。失敗した暁には、イスペリアはタニアに対してより大きな存在になれるところです。まぁ武器供与は、迂回させる必要があるでしょうがね」


執政官は考える。

(確かにその通りだ。この作戦ではタニアには失敗してもらった方が、何かと都合がよい)


しかし、執政官も無能ではない。

「……お前らが裏切る可能性もあるだろう? 」

そう容易に乗ってこないところがやはり執政官になるのだろう。


「我々はサバエア大陸の人間です。キンメリア大陸の問題には興味がないのが、対外的な立場です。それに、テッサリアでイスペリアの工作員がいる証明はできない。


それに、貴方であれば、タニアへの言い訳は、理由はいくらでも作れるでしょう? 少なくとも我々よりも信頼は、高いはずと考えますが? 」


「……確かに」

「どちらの国に重きを置くか、5人の執政官と話し合って下さいな」


「合い分かった。それにしても、中々大胆な作戦だな。タニアにやられっぱなしも、面白くないしな」

執政官のニヤ付いた悪い顔がのぞく。


執政官はお茶を一口飲み、その後ダイゴの顔を覗き込む。

「……ところで、あなとは、どこかで会ったか? 」


「まさか。イスペリアに来るのも初めてですよ」

「そうか……しかし、スキュレスね。エリスの有名議員と同じファミリーネームだな」


「エリスでは、珍しくない、一般的なファミリーネームですよ。 もっとも、私も有名人と同じで少し嬉しい気持ちもありますがね。 実際は、ただの雇われのメッセンジャー中年です」


自虐的にも聞こえる回答で応える。


「……内容は検討しよう。情報は、仲介者を通して連絡する」


ダイゴは、出されたお茶を一気に飲み立ち上がる。

「それでは、これで。良い返事を期待していますよ。 執政官殿」


特使団が部屋を退出する。


入れ替わりに秘書官が入ってくる。

「如何でしたか? サバエア大陸それもエリスの人間です。 何かありましたか? 」


「それなりにな。 後で評議会の招集だ。 ところで、あの男どこかで見たことないか? 」

「ええ、私もそう思うのですが。記憶が曖昧でして」


そうか。秘書官が見ているとなると、庁舎内のどこかであっているのか……。

しかし、あれだけの雰囲気を纏った伊達男。見たら忘れないはずだが。


                    *


イスペリア庁舎を出ると緊張が、解ける。

「緊張しました。あそこまでの猜疑心を向けられた状態で、よく対応できますね」

秘書官がぐったりしている。


「あの程度、普通だろう? いつもあんな感じだぞ」

飄々としているダイゴとは対照的である。


さて、あとは奴らがどう動くかなだな。

それにしても、タツマから戦前提で随分な要求が上がってくるな。


しかし、サバエア大陸の合同軍事演習時期はともかく、※1アイギスシステムなんてどうやって調達するんだよ。


※1 アイギスシステム:親システムと子センサのセットで運用される攻防一体型の防空システムになる。 広域防空システムとして「目標の補足」と「撃墜火器の誘導」を同時に行う。 特徴としては、目標を追尾するのではなく、追い込むのが特徴になる。 目標地点に追い込み叩き落すため従来のシステムより撃墜率が高い。 広帯域の周波数帯に亘る電波、光学技術よる視覚センサーそれらをAIにより統括することでチャフなどのデコイも見分け撃墜する能力がある。

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