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受難続きのテラ惑星間貿易商  作者: 椎谷 急須
5章 偏約是正
33/52

レジスタンス

レジスタンスの暗号を解きあげて、彼らの新しい暗号を待っているタツマ。

その結果は……

--- 3日後


『タツマ。新しい落書きが発生しました。 色は青です』

「教会……建物内かー気乗りしないなー」


マールス(火星)の宗教は色々あるが、メイン宗教は大神ユピテルを讃えるのが多い。


「父なる主は、自らを犠牲にして万物の厄災の盾になりヒトを救い給う……」

うんぬん・かんぬんみたいな。


ようやく、作戦が動き出す。

アルプは後方で支援担当、前線のレジスタンス確保役は、タツマが担うことになる。


道中合羽とその上にユピテル教のシンボルである中心が円になっている十字架のペンダントを下げ出教会内に入る。 もちろんコンバットスーツは外してある。


コンセプトは、敬虔な信者の旅人になる。 各地を放浪しても神への祈りは忘れない。 そんな設定。


神ね~万能であれば商会の借金を肩代わりしてよ。ヒルベルト商会を救ってよ。

みたいなのは不敬――ですかね。


そんな感情を抱きながら、教会の扉を開く。

教会に入り入口近くの寄付箱に1000マリベル(10,000円)を寄付し、空いている席に着き、教会内を確認する。


アルプは屋外の脇道で教会周囲の確認をしている。

下町の教会にトークン連れは目立つし、保守的な場所では敵視される恐れもある。


神父が説教をしている。

“父なる主より生まれし子、我らの魂は主の欠片であり……”


席から見るに、それなりの人数がいる。


―― 誰が活動家なんだ? おそらくここにいるといっても、いきなりレジスタンスの人ですかと声を掛ける馬鹿はいない。となれば、何かしらの目印もあの中に記載されているはず。


そういえば、デザインにやたら四角が多かった感じがする。


≪アルプ。今回のデザインの四角は何個? ≫

≪9個になります≫


9個かー何の数だろう。知らない人間でもここに来れば直ぐに分かる意味のはずだ。

名前――ではないな。 入口に名簿はなかったからな。


時間か? しかし、ミサは9時からであり、9時に来てもどうだろ?

いやそもそも顔を知らない者同士、それは難しい。


タツマが考えながらふと目の前の長椅子に視線を落す。

背もたれの頭にナンバリングのプレートが打ち付けてある。


……席番号か?

どうやら長椅子には縦に番号が振り分けられている。


9行目の席は、教会の中ほどの長いすになるようだ。

それでもその列にもそれなりの人が座っている。


―― いきなり話かけて怪しまれたら逃げられる可能性がある。であれば、こいつにご登場してもらうか?


ここで、バグドローンが動く。かさかさ動くあいつに似ているタイプである。

自動で各9行目の席に移動し会話の盗み聞きをしていく。


多くの人は、沈黙か聖書を読み上げているようであるが、ある9行席では会話が聞こえてくる。 後ろの10行目の人間と話をしているようだ。


耳に付けたイアホンから会話が聞こえてくる。


≪それで内容は? ≫

≪イスペリアからタニアへの金の流れだ。 プロメンテの争乱時に奪われたようでな≫

会話の途中からのようだが、要点は聞き取れそうだ。


≪ここに? ≫

≪そうだ。 裏金だからか現物の可能性が高い。タニアに渡る前に奪う≫


まじかーまたこんなのかよ。

故ヒューリの使い込み発覚とか言っていたけど、実際は、奪われていたのか。


死人に口なしか。


徐々に状況が明らからになりつつあるときにアルプから通信が入る。

≪タツマ。 教会の表に不審車両が止まりました≫


――うそだろ? 何なんなの。 重なりすぎるだろ。


≪何人? ≫

≪男性3人です。一人は車内にそちらに2人向かう準備をしています≫


――男性ばかりにモテてもうれしくないんだけどね


≪得物は? ≫

≪ハンドガンのようです。 カービンなどの軍用ではありません。コンバットスーツでの武装もありません≫


≪わかった。アルプの武装は? ≫

≪車両破壊も考慮しましたので、13mm の特殊弾と通常の弾(9mm)の2種類のハンドガン装備です≫


――エンジンを打ち抜くにはその程度が必要か?

≪どうしますか? ≫


≪対象者を見つけた。対象2人に近づきここから連れ出す。 アルプは、戦闘もしくは車両が発進しそうなったら、車両を破壊して直ちに撤退。 人死には出さないように。 宿で落ち合う≫


≪了解です≫


タツマは、徐に立ち上がり10行目の席にいる若い男の隣に座り話しかける。

「いい天気ですね」


―― 曇っているけど。

同性相手だといい口説き文句が浮かばないのは、問題だよね。


「……なんだ貴様!! 」

若い男の方が、小声で警戒してくる。


こちらも小声で対応する。

「教会の前に武装した3人組がいますが、お友達ですか? 」

笑顔を絶やさず回答する。


「……」


「どうします? 」

「おぬし。 何者だ? 」

もう一人の老人が、こちらに質問してくる。


「旅の商人です」

最近、商人らしいことをしていないけど。


爺さんは、こちらに視線外さず警戒してくる。

「商人にしては、随分と物騒なことに首を突っ込むのー。 おぬしの言葉が、真実である証拠は? 」


確かに優秀な商人は、君主危うきに近寄らず。 怪しい儲け話は絶対に避けるべきである。

しかし、これも仕事。 タツマは会話を続ける。


「私が、あなた達を狙うのならとっくに排除しているか制圧しています。 あまり時間がありません。 裏口から逃げるのならお手伝いします。 そちらの得物は? 」


タツマが若者に視線を向ける。

「ハンドガンだ」


「奇遇ですね。私もです。 さてお手洗いにでも行きますか、爺さん気分が悪くなった演技をして」


爺さんが急に腹を抱えだすと、タツマが説法中の神父に声を掛ける。

「神父様。 ご老人の体調がよくありません。 奥をお借りしてもよろしいでしょうか」


神父は説教を中断し、“旅の人。その親切心はあなたを救うでしょうどうぞ” 

裏に行くように手を動かす。


二人で爺さんを支えながら奥に連れて行く。

タツマ達が席から消えたと同時に、表の2人が教会に入ってくる。


厳ついため堅気ではないのは、一目瞭然だ。まさに間一髪で抜け出すことになる。

3名は、裏口から外に出て走りだす。


―― 爺さん速いな。


「実際あんたは、何者だ? 」


「言ったでしょ。旅の商人だって」

「ホントかよ」

若い男が、訝しむ。


爺さんの方は、黙って走っている。

「これからどうする? 」


タツマが青年に対して質問する。


青年が口を開く。

「取りえず、敵をまかないと」


「了解だ」

タツマが回答したと同時にアルプから通信が入る。


≪タツマ。2人が車両に。発進しそうです≫

≪破壊しろ>>


≪了解です≫

遠方から発砲音が聞こえる。


「銃声! 」

青年が叫ぶ。


「大丈夫だ。うちの相棒だ。これでかなり時間が稼げる」


「大した商人だな。 おい! 」

青年は、こちらを疑っている。


路地裏に逃げ込み、追手が来ないことを確認する。

流石に全員息が切れている。


「お前……さん。大した……ものだな。色々聞きたい……ことが……あるが、これだけの事前準備がある商人ってのは……無理がると思わんかね? 」


息も絶え絶えに老人がこちらに質問してくる。

追われていた身だから、落ち着いてからの会話ともいかないか。


「……ふうぅ……何が言いたい? 」

意気を整えてタツマが回答する。


「あんたが商人だとして、我々に関わっていかなる得が……あるのかね」

「商人といっても色々と案件があってね。その一環だ」


青年がこちらをずっと見ている。

「お主はどう思う?  儂には、こやつに揺らぎが感じられない」

老人が青年に視線を向ける。


「私も直感的に彼が言っていることは、おおよそ事実と感じます。 しかし、商人は無理がある。 本当に商人であったとしても、先ほど言った“色々と案件”の部分が気になります」


彼の返事は、確信を持っているように感じる。


―― そうだ。こいつらマールス(火星)人だった。 歩くポリグラフ。 ウソ発見器だった。


「なるほど。 まぁいいだろ。 わしもあんた(タツマ)に揺らぎを確認できていない。 それにこやつ(青年)の言うことも一理ある。 我々に興味があるのであれば、明日ここにこい」


老人が、近距離通信でデータが送られてくる。


「あの――?」


「今日の件は、助かった。 明日楽しみにしている」

そう言って二人は露地裏の奥に消えていった。


―― また会う必要が、あるのかい!


治安の悪い地域のため、治安局も発砲程度では動かないようだ。

―― しかし、発砲音を無視とは、なんて場所だよ


少し呆れるが、結果としてタツマも追及されることもない。


とは言え、無暗に動くこともできず、裏路地で時間を潰す。 

日が傾き、薄暮になったころ、安宿に戻ることになる。


部屋に入るとアルプがすでに待機していた。


「早いな」


『離れていた場所から車両稼働部への攻撃ですから。相手もこちらの攻撃ポイントが分からなったようで、早々に撤退していきました。 相手方にも暗号が解かれたようですね』


「多分な。しかし、変な伝手ができた。 明日この場所にいるとのことだ」

アルプにデータを転送する。


『……イスペリア中心部のカフェですね。 コンバットスーツや道中合羽姿では、逆に目立ってしまいますよ? 』


「しかたない。 最低限の武装のみで対応するか。トークン連れも怪しまれそうか? 」


『目印になると思うので避けるのが賢明です。加えてに北部側はユピテル教が多い。トークンへの嫌悪感を持つ方が多いとのことです。 私を公衆に晒すのは控えたほうが良いかと思います』


「了解。 昼前に行ってみるか」

肝心の時間の記載がないのは、一体何を考えているんだ。


--- イスペリアのハイソな喫茶店にて

イスペリアの中心部にいる。


古くからティファー大陸との接点があるため、ここの都市国家の中心地は、異国情緒あふれた建造物が多い。


見た目からして歴史的かつ重厚な建物が建ち並ぶ観光スポットになっている。

ヘスベリア(港町)と同じ港町なのに何でこうも違うのだろうか?


観光客も多く、平日の昼間でのかなりの賑わいである。服装もお洒落が人達が多い。

―― これじゃぁ道中合羽は目立つな。


タツマがそんなことを思いつつ、街中を目的のカフェに向けて歩を進めている。


本日は、タツマ所有の数少ない余所行きのスーツを着ている。 これでまずは、周囲に溶けこんでいるだろう。


ハイソな街のお洒落なカフェ。

待ち合わせのカフェは、テラスと屋内で分かれている。


商談場所としても機能しているのだろうか、店内には個室仕様の空間もあり、外に音が漏れない工夫もしてある。


そのようなカフェのため気品もお値段も中々の金額になっている。

タツマが、表のメニュー看板を眺めながら、目を丸くしている。


―― いやいやいや。 マジかこの値段。

値段に驚きながら、店内に入ると、給仕に個室に案内される。


「遅いぞ」

青年から指摘が入る。


「彼にも同じものを」

老紳士が給仕にオーダーをする。

本日は街中のため、両方ともかなり小奇麗な服装になっておいる。そのためか、先日の爺さんは老紳士に、青年の方は、好印象な青年に見える。


「まだ開店してそれほど経ってないでしょう?」

「ランチの客はもう来ているがの?」


老紳士からの突っ込みが入る。

二人が先に注文を頼んでいたようで、彼らの前にはお茶と茶菓だろうか焼き菓子がある。


まずは老紳士から口を開く。


「さてと。この間は助かった。 感謝しよう。しかし、どうやらあの暗号も解読されたようでそろそろ、あの暗号も潮時かものー」


「そのようだね。で、彼らは? 」

タツマが疑問をぶつける。


「恐らくは、タニアの諜報員だな」

青年が回答する。


「タニアねー他の国事柄なのにあそこまで熱心とは、仕事好きが多いのかね? 」

タツマがヤレヤレ感出して返答する。


「内部情報だがね。 しかし、タニアが本格的に動いているとなると非常にまずい」

「というと? 」


「タニアの諜報能力は、イスペリアの比じゃない。場合によっては、イスペリアを配下に部隊を動かせるはず」


――こりゃまた厄介なことで

「相手が分かったところで、私を呼び出した目的は?」


青年が話し出す。

「あんたの意図を聞きたい」

―― 意図ね


青年は続ける。

「我々に敵対する気はないことは、昨日の件で判明した。 しかし、我々を手伝う理由は聞きたいと思ってね」


どうしたものか? 嘘は直ぐばれそうだし、正直に話すか? 

「うちのお得意さん……それなりの偉い方からのオーダーが入ってきてね。 イスペリアのレジスタンスを支援して欲しいとの要望が入ったんだ」


「ほう」

老紳士が目を細め、続ける。


「具体的に誰に頼まれた」


「依頼人の秘密を話すのはマナー違反なので、お答えするのは難しいですね」

「……」

隣の青年は黙っている。


「ふむ。 昨日の連携を見る限り、かなりの手練れとは、見て取れる。実力もあるのだろう。 言動にも嘘特有の揺らぎが見られなかったか。 とはいえ、今後お前さんを信じるに値するかそれを確認するための場でもあるのでな」


老紳士の眼が鋭くなる。


―― まぁ疑うよね。 いくらポリグラフだからってどうするか? こちらを疑っているのか? いや――もしかして、ここまででもいいような気がしてきた。


「すまない。少し立ち入りすぎた。私の任務は。レジスタンスを探し出し、支援して欲しいとの命令だ。 昨日、助けたので、任務は完了だ。 それじゃ。お茶はご馳走さまでした」


席を立ちあがると。青年がタツマの腕を咄嗟につかむ。


「かわいい子に触れられるのは良いけど。同性はちょっと」


「ちょっと待て。 お前ここまで来て、逃げるのか? 」

「先ほどの命令は完遂している。そう思わない? 」


タツマは平然と言って除ける。

これで面倒事から抜けられれば、御の字であり、(スキュレス)の指示も達成したことになる。


こっちは、厄介事から解放されて、どこかに旅行にでも行きたい気分なんだよ。


「……なるほど。その偉い奴の命令で動いている訳か……」

老紳士が何かを考えながら、まるで自分に言い聞かせるように回答してくる。


「そう。あんた達が、こちらをいらないとなれば支援終了となる訳。 もういいだろ? 」

「……嘘はついていない様だな」


「ああ。テラ(地球)人が騙し合戦で、マールス(火星)人に勝てるとは思っていないからな」

タツマが回答する。


しばらく三者の間に沈黙が訪れる。


「いいじゃろう。ところで、南部動乱(プロメンテ内戦)は知っているか? 」

老紳士が、何かを話始める。


「それなりに。 最近で最も大きな事件だかったからね」


「教会でわしらの話をどこまで聞いていたか知らんが、現在、我々は、プロメンテから抜かれた資金の奪取を目標としている」


「なんか報道でやっていたね。莫大な金がなくなっていたとか。 その金を横取りねー余り褒められたことじゃないと思うけど? 」


「横取りじゃない。 回収だ。 プロメンテに返すために行動するんだ」

「無償で? 」


「まぁそう突っ掛るな。 プロメンテにとっても金が幾分もどってくるのは悪いことじゃない」

―― 上手いことを言っているな。


「追っているとなると、現金ってこと? 」

「……」


相手は黙っているが、タツマはその状態を無視して話続ける。

「まぁ電子データであれば、容易に追跡できるからな。 現金の追跡とは難儀だな」


青年が、ここで会話に加わる。

「あんたの言う通りだ。 もちろん、現金というのも怪しいしと思っているが、それでも我々として集めた情報の中での最も確からしい推測なんだ」


「そう推測した根拠は? 」

「確かに大量の金が消えて、それが移動している。しかし、その大きな金額の流れが全く見えないんだ」


―― 金の流れが見えないねー


「大抵は、嵩張る現金から何かに変えたとも考えられる。であれば、金塊や絵画や骨とう品に必ず動きがある。 しかし、そんなに大量に買われた情報がない。つじつまが合わないんだ。 なので、現金輸送と予測している訳だ」


「いくら? 」

報道では、莫大な金額のみで、一向に金額の詳細が出てこない。


1000億マリベル(一兆円)だ」

―― 嘘だろ


「……プロメンテ。 破産するんじゃないの? 」


「残念だけが、その言葉が現実になってもおかしくない。プロメンテの国庫準備金として蓄えられた金が、全て奪われている」

「……」


―― とことんまでの疫病神だな。あいつ。


会話の主導権が再び老紳士に移る。

「消えた資金のその後のルートが全く分からない。キンメリア内での大掛かりな資金の動きもない。ティファーに移動した形跡もいまのところない。


ただ、何かがここを通ってティファー大陸に向かうのは確からしい。だからそれを奪取するというわけだ」


「……」

―― 簡単に言えば1000億マリベル(一兆円)の価値のある何か知らないものを横取りか。奪えれば少しはプロメンテが救えるか?


「ほほぉー心に揺らぎがみられるな。 お主。 プロメンテにそれなりの思い入れがあるとみた。 まぁ我々も同じ方向を向いている。 助力をするのであれば損ではないと思うがの」


―― マールス(火星)人の特殊能力は面倒くさいな。


「それと――プロメンテに繋がりが有り、偉い人ね。 あんたの背景がおおよそ読めてきた。 これでもわし。顔が広いからな。 例の場所の情報を送ってやってくれ」


老紳士が青年に視線を送る。


「御老公いいんですか?」

―― こいつ御老公って呼ばれているのか? 


「ああ。 こいつらは、裏切らんよ。プロメンテにかかわりがある内容だからな」

データが端末に送られてくる。


「3日後にここの場所に来い」

データを送って来た後、老紳士と青年が席を立ち上がり、伝票をもって去っていった。


「今日はおごってやる。 感謝しろよ」

タツマの前には、冷めたお茶が揺らめいている。


「こんなことなら、スイーツでも頼んでおけばよかったよ」


アルプは、外では周囲にばれないようにバグドローンで周囲を警戒してもらっている。

帰る合図を送ると少しずつドローンを回収しつつき宿泊施設に戻ることになる。


                  *


安宿につき、ベッドに横になる。

「疲れたー。開放してくれないかな。信頼できないのであれば! 」

『信頼を得たのでその情報を得たのではないでしょうか? 』


もらったデータをアルプに転送する。

『なるほど集合場所の情報ですか。 3日後に南部ダウンタウンの第13支部教会に来いとのことですか? また治安も良くない地域に出動とは、難儀なものです』


「また教会? 嫌なんだけど」

『今度は、襲撃されることもないでしょう』


『しかし、1千億マリベル(1兆円)を用いて何を買ったんですかね』

「やはりモノだと思う? 」


『お金があっても困りはしませんが、タニアが小国の金をくすめるというのが、どうもイメージが着きませんね。 諜報員の小遣い稼ぎだとしても金額多すぎますね』


「まーね」


『それに、これだけの金額となると、決済のために国璽が必要になり、資金の持ち出しも容易ではないはず。 故に国家が金を払っても欲しいモノと分析するのが筋ですかね』


「プロメンテが、全財産を払って欲しい何か? 」


『はい。同時にそれが、大国タニアも欲しいものになります。 もっともプロメンテは、利用されただけでしょう。いわばお財布です』


「なるほど――いやお財布も困るよ。大切な商社があるんだから。あの国家が潰れたら、本気で困るんだから。借金かえさないと。本業なくなっちゃうの」


タツマが天井を見ながら何かを考え黙る。アルプもそれに続く。

まだ協議は終わっていないため、両者はその場から動かない。


暫くの沈黙後、タツマが口を開く。

「アルプ、金の流れ分かる? 」


『そちらは、セレン(シップマスター)スキュレス (護民官)女史の領分になります。 どうかしました? 』


「あの青年がさ。調査しても分からなかったって言っていたんだ。キンメリアでもなければ、タニアでもない。となると?」


『サバエア大陸のどこかが絡んでいると? キンメリア大陸の都市国家とは仲が悪いとの評判ですが? 』


「それは、エリス(サバエア筆頭)テッサリア(キンメリア筆頭)においてだろ? ――先入感なく調査してみて」


『了解です。 探りを入れてみます』



 

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