第20話:サトイモ令嬢の決意
ハーレインの冬が終わり、春の陽光が村を温めていた。冷たい土がほぐれ、ニーナ・ホンヘルは厚手の麻エプロンをまとい、ポニーテールにまとめた栗色の髪を揺らし、サトイモ畑で新芽を点検していた。
手帳には初級鑑定スキルの記録、図書室の進捗、そして村を超えた絆を築く決意が書き込まれていた。
豪雨を乗り越え、ロザンの避難民を受け入れたハーレインは、サトイモを希望の象徴として活気を取り戻していた。
「サトイモ、新芽が出てきた! もっと大きな畑で、みんなを笑顔にするよ!」
ニーナは新芽を撫で、つぶやいた。
朝露がキラキラ光り、子供たちの笑い声が響く。
図書室の建設は進み、粗末な木と藁の建物が形を成していた。
トミとサラが「サトイモ姫」の新作絵本を手に駆け寄り、ミラが後を追った。
「ニーナ姉ちゃん、図書室、めっちゃすごい! サトイモ姫、もっと読みたい!」
ニーナは笑顔で頷いた。
「ミラ、トミ、サラ、絵本たくさん作ろう! 図書室、みんなの夢の場所になるよ!」
村はサトイモ交易で経済が安定し、隣町ベルリングからの訪問者が増えていた。
市場ではチップス、煮物、団子が並び、村人たちが屋台を盛り上げる。
だが、サーニルの商会がサトイモの独占を企み、王都で圧力をかけているとの噂が届いた。
ニーナはルークとリリィに相談した。
「サーニル、また動いてる。王都でサトイモを奪う気だよ。どうしよう?」
ルークが拳を握った。
「ニーナ、俺たちで王都に行って、直接ケリつけようぜ。芋は渡さねえ!」
リリィが頷いた。
「お嬢様、ホンヘル家の名を使えば、商会を牽制できます。私、交渉手伝います!」
その夜、広場で村人たちを集め、ニーナは宣言した。
「みんな、サトイモを守るため、王都で取引を始めるよ! ハーレインの誇りを広げるんだ!」
マリアが杖を突き、笑った。
「ニーナさん、あんたなら王都を驚かせる。サトイモは俺たちの魂だ!」
翌日、図書室の開館式が行われた。
子供たちが紙製のサトイモランタンを持ち、ニーナが「サトイモ姫」を読み聞かせた。
「サトイモ姫は、王都の悪い商人をホクホクの魔法でやっつけた! みんなの笑顔を守ったよ!」
ミラが手を叩いた。
「ニーナ姉ちゃん、サトイモ姫みたい! 王都でも勝つよね!」
村人たちが拍手し、避難民の男性が言った。
「ハーレインに来て、希望が見えた。サトイモ、すごいな」
開館式の後、ニーナは王都への準備を始めた。
サトイモの種芋、チップス、ケーキを馬車に積み、ルークとリリィが同行。
エリザからの手紙が届き、ニーナは目を輝かせた。
そこには「ニーナ、王都で待ってる。サトイモで貴族を驚かせて。応援してるよ」と書かれていた。
「姉さん、ありがとう! サトイモで、絶対負けないよ!」
王都への旅の前夜、ニーナは畑で新芽をチェック。
初級鑑定スキルで順調な成長を確認し、手帳にメモした――「図書室、開館! サトイモ、順調! 王都でハーレインの誇りを!」
だが、王都の宿でサーニルの手下がニーナを待ち伏せ。
初級鑑定スキルで手下の書状を覗くと「サトイモ独占の最終計画」の文字。
ニーナはルークに囁いた。
「サーニル、動き出した。私たち、先手を打たないと!」
ルークが鼻を鳴らした。
「ニーナ、商会なんかに負けるな。俺も戦うぜ」
王都に着いたニーナは、エリザと再会。
彼女は深紅のドレスで微笑み、ニーナを抱きしめた。
「ニーナ、来たのね。サトイモ、ホンヘル家の誇りよ。一緒に商会をやっつけましょう」
ニーナは胸が熱くなり、頷いた。
「姉さん、ありがとう。サトイモで、王都を変えるよ!」
エリザの支援で、ニーナは貴族のパーティーにサトイモ料理を披露。
チップスとケーキが貴族たちを驚かせ、サーニルが顔を歪めた。
ニーナは堂々と宣言した。
「サトイモはハーレインの魂。商会に独占させません!」
貴族たちが拍手し、エリザが微笑んだ。
サーニルは退散したが、ニーナは彼の企みが終わっていないと感じた。
帰村後、彼女は村人たちに報告。
「王都でサトイモ、認められたよ! でも、サーニルはまだ諦めてない。もっと強くならないと!」
マリアが笑った。
「ニーナさん、王都を驚かせたんだろ? ハーレインはあんたを信じてる」
その夜、ニーナは図書室で子供たちに読み聞かせ。
ミラが新しい物語を提案した。
「サトイモ姫、王都でキラキラの城を救う話! 悪い商人をやっつける!」
ニーナは笑い、手帳にメモした――「王都で勝利! サトイモ姫、新物語! 次はもっと強い村を!」
星空の下、畑の新芽を撫で、彼女はつぶやいた。
「サトイモ、ありがとう。あなたのおかげで、村も姉さんも繋がったよ」




