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ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
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96.この想い、ちゃんと届いてたんだ ― ふたりの距離が、またひとつ縮まる夜

尚人が投稿した、“におわせの返事”。

それは、自分でもぎりぎりまで迷って書いた言葉だった。


だからこそ――

返事を待つ時間は、いつもよりずっと長く感じた。


(届いたかな……)


そして、スマホが小さく震えた。


@RINA_cos さんが、あなたのコメントに返信しました


どくん――

心臓が大きく跳ねた。


指先が少し、震える。


コメント欄を開くと、

そこに、彼女の言葉があった。


「その想像、

読んだだけで胸がぽっとあたたかくなりました。」


「あなたの中に、

そんな景色が浮かんでくれたことが、うれしくて。」


「……わたしも、

その時がきたら、きっと笑顔で迎えますね。」


その瞬間、

尚人の胸の奥が、じわっとあたたかくなった。


(届いてた――

俺の気持ち、ちゃんと)


やさしい言葉たち。

まわりくどくて、確信には触れていない。

でも、そこにある“気持ち”は、明らかだった。


(あの人も、

きっと、同じように思ってくれてる)


尚人はスマホを胸に当てて、深く息をついた。


(もっと、この気持ちを大事にしたい)

(もっと、近づきたい)


ノートを開く。


まだ言葉にはしないけれど――

自分の中で、次の投稿への想いがふつふつと膨らんでいく。


「“もう一歩だけ”踏み込んでみよう。

名前を明かさなくても、

心で寄り添える方法があるはずだから。」


画面の向こうにいる彼女へ。

尚人は、そっと“近づく想像”を始めた。

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