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ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
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95.“すこしだけ同じ気持ち”に救われる夜 ― 姉が涙する理由

ことりは、ソファの上で膝を抱え、

静かにスマホの画面を開いた。


いつものように、@trace_nao の投稿。

その下に、返信の通知。


心が、跳ねた。


(……返ってきた)


スクロールして、

彼のコメントをそっと読み始める。


「もし、そんな場所で会えたとしたら――

きっと、あなたはやっぱり笑顔で、優しく迎えてくれるんだろうなって、

ちょっとだけ想像してしまいました。」


その一文を見た瞬間、

ことりの胸が、ぎゅうっとしめつけられた。


(これって、

もしかして……)


(この人も、少しは――

同じ気持ちでいてくれてるのかな)


言葉にしていないのに、

ちゃんと伝わっていたような気がした。


「会いたい」なんて、直接は言えない。

でも、それでもいい。


“想像してくれた”――

その事実だけで、胸いっぱいだった。


ぽろり、と涙がこぼれた。


ことりは、スマホをそっと胸に抱き、目を閉じる。


「ありがとう…ほんとうに、ありがとう」


静かな夜の中で、

あたたかさが、じんわりと心に染みていく。


名前も、顔も知らない相手。

それなのに、

“いちばん近くにいる”ような気がする。


(この距離が、いとおしい)


(そして――

いつかこの距離が、“現実”になる日が来たら…)


涙のあとに浮かんだのは、

小さな、でも確かな笑顔だった。

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