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ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
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93.届いてしまった“やさしい願い” ― 弟が揺れた夜

夜。

尚人はベッドの上で、なんとなくスマホをいじっていた。

ふと画面を更新すると――


その瞬間、心臓がふっと止まったような気がした。


@RINA_cos さんがコメントしました


指が勝手に動き、コメント欄へスクロール。

そして、目が止まったのは――


「ふとした瞬間に、

“この人と、静かなカフェとかで向かい合って、

こんな話をしてみたいな”って思ってしまうことがあって。」


瞬間的に、息が詰まった。


(……これって――

“会ってみたい”って、ことだよな)


脳内で何度もリピートされる言葉たち。


「静かなカフェ」

「向かい合って話したい」

「今の距離も好きだけど」――


(まさか、姉ちゃんが……?)


尚人は、スマホを持つ手をぐっと握りしめた。

心臓が、どくどく鳴っている。


(もし、もし本当に、

この言葉が“俺”に向けられてるなら……)


(俺だって……会いたいよ)


目を閉じる。


頭の中に浮かぶのは、

自分のことをずっと応援してくれた、

言葉で支えてくれた、優しいあの人。


名前を知らない。顔も知らない。


でも――


(あの言葉を聞いたとき、

俺の中で何かが変わった)


(“この関係が好き”で終わらせたくないって、思ってしまった)


尚人は、スマホの画面を見つめながら、

小さく呟いた。


「姉ちゃん……俺、

もう、あなたの言葉に触れすぎてしまってるよ」


まだ、返信はできなかった。


だって、もし――

この気持ちが届いてしまったら、

今の“関係”が変わってしまう気がして。


でも確かに、尚人の心には――

“同じ願い”が、生まれていた。

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