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ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
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90.あたたかさだけで、涙が出た ― 姉が受け取った愛のかたち

ことりは、ベッドの上で静かにスマホを手にしていた。


小さく深呼吸してから、通知を開く。


@trace_nao さんが、あなたのコメントに返信しました。


その一文だけで、

胸の奥がきゅっとなった。


(返ってきた…)


コメントを開く。

そして、目を通した瞬間――

胸の奥に、ぽっ…と灯がともるような感覚が広がった。


「あなたの言葉が、

まるでやわらかな毛布みたいに、

今夜の僕を包んでくれました。」


「今日の“ありがとう”は、

僕の方からも、あなたに贈りたい言葉です。」


文字を追いながら、

知らないうちに目元が熱くなっていた。


(なんで……

こんなにやさしいの…)


ことりは唇をぎゅっと結んで、

スマホをそっと胸に抱いた。


返信の中に、名前はない。

特別な言葉もない。

それなのに、そこに込められた想いは、まっすぐだった。


(この人は、

ちゃんと私の気持ちを受け取ってくれたんだ)


そのことが、たまらなくうれしかった。


ぽろり。


涙がひとすじ、頬を伝う。


声にはならないけれど、

心の中で、小さくつぶやいた。


「…ありがとう。

ほんとに、ありがとう…」


それだけで、

今夜はぐっすり眠れそうな気がした。


(まだ名乗らないままでいい。

でも、このやり取りが続いてくれたら――

それだけで、今は十分)

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