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ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
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89.優しさが心に満ちて、ただ涙がこぼれる ― 姉が受け取った返事

夜。

部屋の灯りは落とし気味で、

ことりはひとり、ベッドの上でスマホを開いていた。


何度も確認していた投稿。

そっと更新した画面に――

@trace_nao からの返信コメントが表示されていた。


指先が少し震えた。

怖いような、でも、ずっと待っていたような――

そんな気持ちのまま、スクロールする。


「あなたの言葉が、

まるでやわらかな毛布みたいに、

今夜の僕を包んでくれました。」


読み始めた瞬間、

胸の奥が、じわ…っとあたたかくなっていく。


「誰かにそう言ってもらえることが、

どれほど心を支えるのか、

あなたのコメントを読んで、あらためて知りました。」


そして最後の一文。


「今日の“ありがとう”は、

僕の方からも、あなたに贈りたい言葉です。」


ぽろっ。


ひと粒、涙が落ちた。


自分でも、こんなに自然に泣いてしまったことに驚いた。


(なんで……

たった数行の文章なのに、

こんなにも優しくて、苦しくて…あたたかいんだろう)


まるで、

自分が長い間探していた“本当の言葉”が、

今、ようやく届いたような気がした。


(“ありがとう”って、

こんなにも心に沁みる言葉だったんだ)


スマホをぎゅっと胸に抱えて、

ことりは静かに目を閉じた。


「知らない誰かに惹かれていくことって、

こんなにも、苦しくて――

でも、あたたかいんだね」


涙は止まらなかった。

でもその涙は、悲しさじゃなくて、

心の奥まで優しさが満ちた証だった。

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