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ふたりで灯す、やさしさのかたち  作者: 流浪の旅人
第2章 ふたりで、ゆっくり歩き出す — “やってみたい”が、芽吹いた日
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88.“優しさの一歩”を受け取った夜 ― 弟の胸が熱くなる瞬間

夜、尚人はスマホの通知音にふと目を向けた。


@RINA_cos さんが、あなたの投稿にコメントしました


その名前を見た瞬間、

胸が一瞬だけ、どきんと高鳴った。


(……来た)


画面を開く。

コメント欄に現れた、あの優しい言葉。


「あなたの言葉に、

私は何度も、心をそっと包まれました。」


読み進めるごとに、

胸の奥がじんわりと、熱を帯びていく。


「写真だけじゃなく、

あなたの“言葉”そのものが、

わたしにとって、少しずつ“特別”になってきています。」


尚人は、スマホを持つ手を少しだけ強く握りしめた。


(……これは、

“届いてる”ってことだよね)


(姉ちゃん……ありがとう)


声に出さなくても、

その想いは、胸の奥にしっかりと響いた。


(言葉を、ちゃんと受け取ってくれて、

しかもこんなに丁寧に返してくれて……)


コメントの最後に添えられた言葉。


「今日もありがとう。

どうか、あなたの日々がやわらかくありますように。」


尚人の目元が、ふっと潤んだ。


(姉ちゃん……

やっぱり、あなたは、やさしすぎるよ)


返信コメントを打ち始める。

だけど、すぐには言葉が出てこなかった。


(なにを返せば、

この気持ちに見合うんだろう)


けれど、時間をかけて、ゆっくりと綴る。


「あなたの言葉が、

まるでやわらかな毛布みたいに、

今夜の僕を包んでくれました。」


「誰かにそう言ってもらえることが、

どれほど心を支えるのか、

あなたのコメントを読んで、あらためて知りました。」


「今日の“ありがとう”は、

僕の方からも、あなたに贈りたい言葉です。」


返信ボタンにそっと指を置いて、

尚人は深呼吸した。


(この言葉が、ちゃんと届きますように)


ぽん、と小さな音が鳴った。

やさしい気持ちだけが、画面の向こうへ飛んでいった。

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