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2話

 帝立サモン魔法学園入学式。


「―――で、あるからして、栄えある我が校の―――」


 学園長の話は長いものである、先人の有難い話であるものの偉大なる魔法使いとはいえ一部のファンにしか受けてない話を永遠とされるのも、正直しんどい。


 しんどいので周囲から察せられない程度に鋼属性強化魔法で足を棒のようにして力を抜いて直立する。


 学園長の話を要約すると、帝国は貴族平民共に魔法が扱える稀有な国家であり、次代を担うためによく学び、切磋琢磨しましょう。特に貴族は幼少期に与えられた召喚刻印があるからそれに胡坐をかかず平民の良き手本になるようにうんぬんかんぬんである。


 あとは自分の若いころの体験談だの失敗談だの、それはそれで興味は引くものの脚色された感じのする話しぶりに嫌気がさしてあくびの一つも嚙み殺しながら黙って聞くこと三時間ようやく話が終わりそれぞれのクラスに移動した。


 教室に移動する中様々な説明がなされた、今回なんと上級クラス二つに分けるという説明、これはこの世代に上位印持ちが全員揃っているため場合によっては教員では手が付けられなくなるための措置で、上位印持ちを五人ずつに分けて二クラスで受け持つことにしたらしい。


 教室前で名前が呼ばれる、まず呼ばれたのはうちの兄達、アレス、ガレス、ソーレス、ネレスだ、そしてもう一人皇帝家より皇太子であるシャアケ殿下だ、残りはその取り巻きとかそんな貴族がちらほら入って行った、正直公爵家五人固めになる可能性すら危惧していたのだが、庶子にもなると流石に一緒にしたら問題がありそうだと思ったのだろうか、こちらとしては有難かったがここで一つ気になることが出来てしまった。


 それは、シャアケ殿下の印が上位印ではないということだ。


 この身に五つも刻まれてしまった刻印がアレは同類ではないと告げている。それと同時に馴染み深さも感じている、アレは恐らく公爵家が開発した成長刻印だ。


 長年兄達のサンドバッグをやってきたからこそ感じるあの刻印の独特な雰囲気が伝わって来た。そういえばシャアケ殿下の母親であるイクーラ皇妃はあの男と出来てるみたいな噂はあったが……流石に節操なしが過ぎるのでは……? かといってシャアケ殿下が不義の子というわけでもないらしい、単純に懇意にしているだけか。それはともかくでは皇族に受け継がれるはずであった上位印はいずこに、となるが、俺には心当たりがあった、いや相手の刻印を確認するために神経を研ぎ澄ませた結果知ってしまったというべきか。


 リーシャだ、平民の特待生のはずの彼女から上位印の気配を感じる。


 何故彼女がというのは平民の特待生扱いということで彼女が皇帝の落胤なのか隠された庶子なのかはわからないが、皇太子が受けるはずだった上位印は彼女の背中に宿っていた。


 庶子ならば男女問わずその施術は顔面だという決まりがあったはずだが、俺の両手足と同じく事実を隠さねばならない疚しいことがあるのだろう。


 ともかく皇太子と兄四人、そしてその取り巻きたちをAクラスとし、残る者たちはBクラスへと移動を促された。


 教室に着くとそれぞれ机の角に名前が彫り込まれているとのことでそれに従って席に着いた。


「はーい、それじゃーあ、まずじこしょーかいをしましょう!」


 担任の女教師の間延びした声が教室によく響いた。


「はい、わたしはーツゥーナ・シィツキンです、ツゥーナ先生と呼んでくださいねー」


 まるで幼年学校の教師の様な喋り方をする教師だ……俺は諸事情(虐待)で幼年学校は行ってはいないが、大体前世の幼稚園から小学校低学年ぐらいまでの学校だ、うっすら前世記憶持ちなのでそんなところに行かずともまるで困りはしなかったが、恐らく行っていればあんな感じの教師に囲まれたことだろう。


「ではー、右から順に名前とーあとー、特技なんかもー教えてくれるとうれしーなー」


「ではわたくしから、わたくしの名は、レイン・ボゥ・トゥラートサモン、この帝国の第一皇女ですわ、特技は中位刻印による召喚と、属性は光と水ですわ」


 なんとうちに五つ上位刻印が回って来た原因の女である。仇敵にあったような気分だが、ぐへへ中々かわいいじゃーねーか……などと思わなくもないし、どことなく顔立ちがリーシャに似ている、違いがあるとすればリーシャは天然おっとり系なのに対して、リーシャの顔をやや釣り目にしキリっとかっこよくさせた感じだ、特に嫌いにはならないし恐らくは、皇帝陛下やらその辺の思惑があるのだろうから彼女に非がないのは明白だ、それに皇族なのに中位刻印というのは周りの貴族に舐められる、降嫁が決まっているようなものであるからだ。


 幸いにもうちのクラスにはそのような感性の生徒が一人もいないようで、お姫様と一緒ということに浮かれている様子だった。


 その後何人かのモブ(すまないそのうち名前覚えるから)の自己紹介をスルーし、次に順番が回ってきたのは教室に入ってから俺が気にかけている何人かのうちの一人……上位印持ちの公爵令嬢の番になった。


「ごきげんよう、私はクローニン公爵家が長女、カロシーヌと申します、特技は主に魔法、属性は炎です」


 綺麗な赤毛の子だ、髪は属性の特徴が出やすい、これは人や動物、魔物なんかにも通じていて炎は赤、水は青や水色、地は茶髪に、風なんかは薄緑になる、光は金髪、レイン殿下やリーシャはこれだ。


 俺の鋼属性は黒ずんだ銀髪をしており灰色の髪と侮辱されることもある。




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