潜入開始
数ある中からこの作品を選んでいただあきありがとうございます!
俺は揺られる飛行機の窓から外を見つめた。俺は今アルヴィス連邦領の上空を飛行機で輸送されている。
当たり前のことだがスパイとして潜入するにあたってまず敵国に入りこまなければならない、作戦資料に記載されている説明はこうだ。
(アルヴィス連邦軍兵士の捕虜からの情報によると7月10日の深夜2:00に前線基地に増援の兵士が派遣されることが明らかになった。よってカール少佐にはこの増援の一人に紛れて敵国へと潜入してもらう。
なお地上の警備は突破できないと判断し、飛行機に搭乗させ目標地点まで輸送する)
そういうわけで飛行機に乗ってからもう1時間経つ。
(そろそろか着陸か)
「聞こえるか少佐!」
「いいか!想定より敵の増援の進行速度が早い!」
「着陸してやりたいが、そこまで高度を下げると増援に見つかってしまう!」
「よって降下作戦へと切り替える!すまない!」
(は…?なにいってんだ…?)
ハッチが開き強風が体を襲う。
「飛び降りろ!」
「はぁ!?」
「飛び降りろ!」
「はぁ?」
「このままだと作戦失敗だぞ!?」
「早く!」
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
パイロットの声に押されて俺は飛行機から落ちる。
俺は落ちながら叫ぶ。
「絶対許さないからな!アレマーンんんんんうぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「こんなの絶対!生きてなんかぁぁぁ!帰れるかぁぁぁぁ!!!」
(まずいまずいまずい!!ふざけんな!なんでってばこんな目に!)
運良く墜落するってなったときのためにパラシュートはつけていた。
バサッ
落ち着いてからなんとかパラシュートを開く。
直後体が上に引っ張られた。
「グッ」
(よし、このまま地上に降りる)
少しの間風に揺られた後、やっと地に足がついた。
基地に通ずる道の近くにある森に身を隠し、パラシュートを畳む。
(増援の車列帯が来るまで待機か)
5分ほど経った頃、遠くから車両の走行音が聞こえてきた。
「…来たか」
車列がほとんど目の前まで来たタイミングで
ヒュー―――――ドン
森の奥の方から爆発音が聞こえてきた。
自軍が落とした焼夷弾の音だ。
音につられて車列が止まり、真ん中を走っていた輸送用のトラックから複数人の兵士が降り、森の中へと入ってくる。
(作戦通りだ)
一人の兵士が俺が隠れているほうに歩いてくる。
(よし来た)
近くまで来たタイミングで足を引っ掛けて転ばせる。
その後馬乗りになって両手を首に手をかけて一気に締め上げる。
「あ…が…っ」
死んだことを確認し、服を脱がせて着る。
急いで全身着替えるとピストルやライフルなどを回収した。
死体は草が高いところに隠した。
「…兵士の名前は…ソロモン・カラシニコフ…いい名だ」
「階級は上等兵か、よし準備完了」
(上等兵ならばおそらく最近入隊したばかりの新兵だろう、知り合いもいないはずだ)
帽子を深く被ってライフルを両手で握り、輸送用のトラックの方へと戻る。
トラックの前では上官らしき奴が立っている。
「お前ら!早く乗り込め!」
俺は急いでトラックの荷台へと乗り込んだ。トラックの外から声が聞こえてくる。
「どうやら、焼夷弾のようです目的は不明ですが…」
「ふむ…わかった、お前も乗れ」
「はっ」
報告してたであろう奴が荷代に乗ってからトラックが再び前線基地へと走り始めた。
そのままトラックは前線基地の中へと入った。
(ひとまず、潜入は成功か…もうすでに疲れたな…)
俺はひとまずの成功につい安堵の息を漏らしたのだった。
グランツァ帝国:首都ヴェール 参謀本部
「彼は無事に潜入できましたかね」
アレマン大佐はカールへの心配の声を漏らす。
参謀長官は興味のなさそうな顔で答える。
「無事だろうが無事じゃなかろうが関係はない」
「このスパイ作戦は”もしも成功すれば良いな”程度の作戦だ、要は捨て石」
それに対しアレマン大佐は少し悔しそうな顔を浮かべた。
参謀長官は珈琲の入ったカップを揺らしながら話し始めた。
「彼の我が国への愛国心、忠誠心は他には見ない異様な強さがある。」
「彼がスパイだとバレて殺される事はあっても、裏切ることはない」
「最後まで、使い潰すだけだよ」
最後まで読んでいただきありがとうございます!カールは色々と大変ですね笑これからは名前の通りAKシリーズ片手に頑張って欲しいものです笑。この小説いいじゃんって思っていただいたならコメントなど残してもらえると励みになります!