始まり
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―1941年 7月3日 グランツァ帝国:首都ヴェール
近頃はアルヴィス連邦との戦いが本格化したことで街は少し騒がしかった。
俺は軍服から時計を取り出して確認しながら急ぎ足で参謀本部を目指した。
1941年6月、西部連合国との戦いで行き詰まるとアルヴィス連邦の豊富な工場地帯目当てに東部に位置するアルヴィス連邦から砲撃を受けたとでっちあげ、攻撃を仕掛けた。帝亜戦争の始まりである。
―グランツァ帝国:参謀本部
軍服を軽く整え、ドアをノックする。
「カール少佐か開けてよいぞ」
部屋に入ると直々の上司であるアレマン大佐もいた。
「まぁ座り給え」
「はっ、失礼します」
少佐の俺を参謀本部に呼び出してなんのようだろうか
「ところで君はとにかく上官からの信頼が厚いと聞く」
「間違いないな、アレマン大佐」
「はい、間違いありません」
「そんな君にとある任務を任せたいのだ」
「その任務内容というのは伺っても?」
参謀長は一呼吸置き、口を開いた。
「敵国への潜入任務だ」
(潜入…え?)
「君にはスパイとしてアルヴィス連邦軍に潜入してほしいのだ」
「我々が望むのは敵国の状況報告と奴らが開発している謎の兵器についての報告」
「りょ…了解しました…」
「これが作戦資料だ」
白く、分厚い紙が手渡される。
「君が信頼が厚いと聞き、我々を裏切ることはないだろうと考えての人選だ、期待しているぞ」
「決行は1週間後だ頼んだぞ」
「了解しました…」
そうして、俺は上官とともに部屋を後にした。
しばらく上官と二人、一言も喋らず無言で廊下を歩く。
そして参謀長官の部屋から十分離れた所で
「アレマン大佐…」
「ぐっ…」
「これはどういうことですか!」
受け取った分厚い作戦書を叩きながら鬼の形相で睨みつける。
「申し訳なかったと思っている!君のことを思い、断りたかった気持ちも山々だ」
「だが、参謀長官の前では逆らえなかろう!君も軍人ならわかるはずだ!」
彼の言っていることはただただ正しい、どこまで言っても正論だ。
軍人として、上官の命令は絶対。
「すまなかった」
「いえ、こちらこそ上官に図々しい態度を取ってしまいました」
「いいのだ、どうか、健闘を祈る。絶対に生きて帰ってこい。いいな」
「はっ!」
寮の自分の部屋に戻り、机に座って街を見下ろす。
敵国へのスパイ任務、それは一番危険と言っても過言ではない任務だ。スパイがバレたら殺される。俺は、生きて帰れるだろうか。
…いや!俺は絶対に生きて帰る!
―1941年 7月10日 アルヴィス連邦領上空
ハッチが開いて強風が体を襲う。
「飛び降りろ!」
「はぁ!?」
「飛び降りろ!」
「はぁ?」
「このままだと作戦失敗だぞ!?」
「早く!」
「はぁぁぁぁぁぁ!?」
パイロットの声に押されて俺は飛行機から落ちる。
俺は落ちながら叫ぶ。
「絶対許さないからな!アレマーンんんんんうぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「こんなの絶対!生きてなんかぁぁぁ!帰れるかぁぁぁぁ!!!」
最後まで見ていただきありがとございます!カールは少しの間アレマンへの憎しみを感じながら任務につくことになるのでしょうね笑。この小説いいじゃん!ってなったらどうか高評価やコメントをよろしくお願いします!今後の励みになります!