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0008 魔王の物語り7話と8話のあらすじ


起稿20240620

起項20240706

改稿20240708

0008 魔王の物語り7話と8話のあらすじ


7話目

主人公領の防衛用砦 将軍目線

昼頃到着した主人公領の防衛用砦。

見た目だけで言えば、小領の砦の割にしっかりと工夫されている。建てられている場所も、領地に入ってから侵攻ルートを誘導されているような、選択肢を狭める地形を選び、ルートの本数もわざわざ潰している。

強行すれば行けそうな獣道を探索させれば、道を断たれていたり、立ち往生し易い地形だったりと少人数で大きな戦果を挙げるのではなかろうかと思わせる場所に辿り着く。侵攻側には明らかに不利であり攻めにくい。

まずは進むことを優先して、いざ辿り着いてみれば、先行させた二人は無傷であり、何度か矢文でやり取りもしたようだ。

報告を受けた印象だと、対面することはなくとも、激昂するわけでもなく、こちらの対応を真摯に受け止め、ある意味で理性をもっての対応だと思われる。しっかりと教育されているのだろう。


説得して武装解除だけならばともかく、力押しでは、この急場の軍では被害が大きくなりすぎるだろう。

もし、それすらもハッタリだとすれば、なかなかの度胸で、部下に欲しいぐらいだ。


こちらの意図は矢文で知らせた。国が提示したのは、主人公の爵位剥奪。国外追放。領民の殲滅の指示。被害を減らすためにも、このことを領都に報せ、民を逃がせと書いておいた。疑うかもしれないが、疑えば領民の未来はない。最善はもぬけの空になっていればなお良い。

後続が暴れるだろうが、宰相に向けて出した伝令が上手く機能すれば、あえて言えばその程度で済む。


将軍が砦の兵達に開城を求めるが、砦の上に現れた人物は、将軍に要件を問い。武装され威嚇される覚えはないと返答した。

矢文で警告していることを疑ったと言うよりも時間稼ぎに見える。後続の存在も把握している可能性もある。動員している人数がそれなりにいることからも、ある程度の人数を確認していてもおかしくは無い。

先日も攻め込んできていたのだ。アレがいるだけで警戒されても仕方は無い。

まずはその策にのることにして、後続が到着するのを待つことにする。あと数時間もすればここに着くだろう。


到着した隣領の領主は、戦況窺いにきて膠着状態の理由は、隣領の領主にあることを詰問する。

しどろもどろになりながらも関係性はないとしているが、先日攻め込んだのは明白であり、公然の隠蔽。隠す気が無いだろうことさえ腹立たしいのに、ここまで明らかになっていてもしらを切るのは、流石に呆れる。

ここは自分が疑いを晴らすためにも、王の命を遂行するため前線に立つとして、将軍は策があるならば任せるとした。


堂々と攻めることを許された隣領の領主は、道いっぱいに兵士を詰めて、先頭付近の30人程度に突撃を命じた。将軍は目を疑う。作戦は無さそうだ。

砦からいったん距離をとったため、それなりに距離があるのに、ここから走らせれば、疲弊しかしない。

様子を見ていると、門の前が泥濘んでいる(ぬかるんでいる)ようだ。さっきまで泥濘んでいなかったと思うが、その泥濘みに足を取られて転倒したり、歩き出したりで大変だ。

そこを的確に弓で射貫かれている。

隣領の領主は、矢の届かない場所で地団駄を踏んで何やら指示を出しているようだが、千人近くいてもこの地の利では、横にどれだけ詰めても30人がやっと、門に張り付いて門を破壊するにしても、大部分の者達は、砦に弓を放つか、放たれる矢を回避するため盾を傘代わりにするしかないだろう。それにしても気になるのは、迎え撃つ矢の数がヤケに少ない。弓を引く兵の姿も見えないが、上手く隠れ撃っているのだろう。それにしても、一撃必中でも目指しているのか、物資不足かは知らないが、相対する敵の人数に対して圧倒的に少ない。

だが、どんな強弓を使っているのか、矢は恐ろしい速さで放たれている。武技に確かな自信を持つ者でもいるのかもしれない。

門に張り付けば、時間は掛かっても門を破れるかもしれないが、国境を任せて大丈夫なのか不安しかない。

矢は確実に隣領の領主の兵士を捉えている。

この状態では当たらない方がおかしいが……。

他のルートがないにしても、やりようは無いのだろうか、それにしても門が破れない。何をしているのか。


伝令だろうか。一人こちらにやってくる。

助けを求めてきた伝令に仕方なく、いったん引くように指示を出し、仮の本陣に地図を拡げる。

サッサと撤退してきたのか追撃されなかったことに安堵しながらも、戻ってきた隣領の領主は、拡げられた地図を一睨みして文句を言い出した。

何故助けてくれないのかと、本当に呆れるばかりだ。

この地のことはよく理解ているであろうこと、王の命に率先して応えようとした心意気をかって任せれば、何をしているのかと逆に詰問して文句を封殺していく。


ただ真正面から突っ込む。全く策がないことに驚きしかないと嫌みを言ってから、地図に周辺の情報を書き込むように命令する。

脇道、勝手口、知っていることは全て書けと指示したはずだが、筆は進まない。

今までどうやって攻めてきたのか疑問だ。全て部下任せにしても、良策下策の判断も出来ないだろう。


仕方なく詳しい者を招いて書かせるように指示して、改めて作戦を練る。今日は攻めないと宣言し、回り道に少人数探索に向かわせたり、不利ではあるが攻めようがあるルートを選定して、ルート上に空堀があるので、工作兵に橋を架けるために筏状の束ねた丸太を用意させたりと、指示を次々出していく。主人公領の時間稼ぎにもなるだろう。



8話目

主人公領 主人公の分体目線

隣領の軍勢が再び攻めてきたようだ。

兵からの報告によれば、いつもと違うらしい。

先発隊がいて、道中で探索行為もしていて、本気で攻めてきていると思われるらしい。


まだ防衛用砦には到達していないようだが、前回中途半端だったから、再び攻めてくると予想していたこともあり、周辺の監視の目として領境での空間属性の訓練をさせていたのが功を奏したようだ。

ここ10日程で瞬間移動を可能にしたのは、領都では数人と僅かだが、予め場所を決めておくと、目的地がちゃんと記憶通りならば、かなり遠くまで瞬間移動出来ることが判った。物資の運搬や連絡。使用用途は多い。ただ、距離に比例して魔力の消費が大きくなる傾向があるので、連続使用で酷使することは難しい。幸いなのは、移動するときの門の維持にそこまで魔力を必要としないので、一度に大量の物資や人を運ぶのには重宝する。慣れてきた者が最長記録として20kmを一瞬で移動したのは記憶に新しい。事故を防ぐための策を考える必要はあるものの、定期的に長距離移動が可能になる方法が出来つつある。


しかし、いつも突っ込んで来るだけだった隣領の軍勢が探索をし、攻め方を考えているというのは、今までは、ただの度が過ぎる恫喝だったと言うことだろうか。

防備を常に重ね、ルートを減らしとしてきた、こちらの策を無視して真っ正面から突っ込んでくるだけだったのは、それなりの遠慮からだったのだろうか?

まぁ隣国の侵攻対策をしているはずなので、そうであって欲しいと思いもするが、複雑な気分だ。


護衛に、援軍の準備を進めるよう兵舎に指示を出すように指示して、領民の避難準備をどうするか執事を呼び話し合っていると、更なる報せが来た。他の砦にも軍勢が迫っているという、この領を通る大きな街道3つ全てから軍勢が迫っている状態。

本体は王都について、すでに謁見は済んでいるはずだ。だが、戦闘になっているならば、魔王の称号効果による強制転移が発動するが、その形跡はない。強制転移が発動すれば、ガイドは自動的に分体である自分の下に移動する。

本体と分体の役割が入れ替わるから、そのようになる。実験でも確認している。


執事がどのようにするかを問う。

領内で全面戦闘をすることは難しい。正直戦力が足りない。

隣領の軍勢が本気ではないかというのが頷けそうだ。

援軍の要請をしたのか、だが、他の領主と組んでとなれば、占領が成功しても内戦の禁止で領土の没収は免れないはず。

そうならないようになるとすれば、王が主導しての叛逆領地の討伐ぐらいだろう。私的な戦闘は禁止しているのだ。


そうなると本体は領地を没収された可能性が高くなる。どんな失態をしでかしたのか、それとも罠にはめられたのか、自分のことなのにもどかしい。

執事に領民を逃がすことができそうな場所の選定を文官と協議するように指示を出し、自分は空間属性を扱える者で兵舎で待機する者達に会いに行く。


空間属性を使える兵士の兵舎に待機していたのは3名。

狭い領地とはいえ領都を除けば大きめの都市は3箇所。小さな村は対応しきれる数ではないが、都市に避難すれば、多少なりとも被害は軽減する。


この状況を包み隠さず代官に伝え、全領民に向けて近くの都市に避難することを優先して行うよう伝言を頼む。各都市にも空間属性を扱える者は数人はいる。フル稼働で伝言することが出来れば、都市に人を集めるのは可能だろう。

都市に人を集める間に今後の方針を定める必要がある。


各砦に援軍を送ることは難しい。

1カ所であれば、他を抑えつつと言うのも可能だが、3箇所同時の侵攻。流石に兵が足りない。


文官と協議していた執事がやってきて報告を始めるが、他領に逃がすのは難しい。

ため息をつきつつも、領内の都市に周辺の領民を避難するよう指示を出したことを伝えて、無言になって気まずくなる。


そんな中、兵士が新たに報告にやって来た。

隣領の軍勢から矢文のやり取りをしたらしい。

どういった心境の変化かはともかく、矢文で届いた文を確認する。

書かれていたのは、国が提示したのが、主人公の爵位剥奪。国外追放。領民の殲滅の指示。被害を減らすためにも、このことを領都に報せ、民を逃がせと、将軍の署名で書かれている。

隣領の軍勢だが、将軍が率いていたとは驚きだ。それにしても、領民の殲滅が目的である以上、他領に逃げても被害はあるだろう。


意を決し、この報告をしてくれた兵士に、砦の門を土属性の魔法で徹底的にふさぎ、撤退するよう指示を出す。

執事に交戦中の砦にも同様にするように伝え、空間属性を扱える兵士にもう一踏ん張りしてもらう。


何をしても害されるのであれば、徹底抗戦もやむなし。

領都を含む4つの都市に領民を集め、領民にも協力を願おう。

都市に敵を引き寄せ、出来れば敵の兵站を徹底して潰し、早々に撤退してもらう。

援軍の無い我々には、ここにある食料だけが生命線になる。相手の撤退か何処かの仲裁が生き残る可能性を上げるが、仲裁については、王の指示による軍事行動なら期待は薄い。基本的には引き延ばし、防備を固め続けるしかない。

今のうちから補給の確保方法を探さねばならない。


執事に複数の指示を出して退室した執務室に、領都にいないはずの代官を務めている壮年の男性が中に入ってくる。

挨拶をしようとすると、領主が動き回るなと、声を荒げてから笑いかけられた。

父が領主だった頃から代官を務める彼がわざわざ来たのは、浮き足だっていた場合に諫めるためらしい。


落ち着いて座るように薦めると、意外に落ち着いているようで安心したと言われた。


矢文で受け取った将軍の署名の文を見せ、徹底抗戦に転ずる旨を伝える。

徹底抗戦とはいっても、籠城メインの徹底抗戦。

それだけでは孤立無援で先細りであることは代官も理解していて、作戦として都市を餌にして引きつけて、防衛用砦を手薄にさせ、兵站で必ず通る防衛用砦を奪還することで兵站を断つ方向で進めたい旨を伝える。


空間属性の魔法の乱用で成り立つ酷い作戦であることは承知の上で、攻撃面にも魔法を乱用するつもりでいることを伝える。各都市にも魔法の訓練方法を伝え、新しい玩具として多少なりとも慣れた新技術。今のところ、敵方は魔法技術をまだ習得していない。

この差だけでしのげるとは思っていないが、確かな差が現れると、この数時間で実感している。


話を黙って聞いていた代官は、無闇に大将が動くなよと注意しつつ、手足は臣下に任せろと胸を叩き、他の2都市にも防備を固め、今の作戦を形にすべく、領民にも募集をかけると請け負って退室していった。




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