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豚まんとたこ焼きと豚串とエポンジュと…… 第八話 ドン・キホーテと四従仕と聖剣

はじめまして、またはこんにちはばんわ~!


今回は、前回からの流れで……あれ? なんかグルメ漫画だったっけ? ってくらい、食べ物への愛が大爆発してます(笑)


串カツ! たこ焼き! スイーツ! そして……俺(碧斗)の……豚まん(涙)!


なんか気づいたら、料理一品一品に全力でアツいバトルみたいな描写してたんだけど、いやこれ、ほぼ食レポラノベじゃん!! って自分でツッコミながら書いてました(笑)


あとね、キャラたちそれぞれのリアクションにも注目してもらえると嬉しいかも。

理音は強気に突っ走るし、夕花はおっとりしてるけどツッコむときはツッコむし、菊次郎は……相変わらず隠れ猛者だし。


そんでもって、安定の碧斗くんは……まあ、いつも通りです(笑)


そんなわけで、第八話、開幕ぅぅぅ!

 そして最後は真打(しんう)ち、俺の豚まんが(まん)()して登場した。


 「ではみなさんお待たせいたしました。本日のメインイベント! 僭越(せんえつ)ながら、私こと七河碧斗の戦士、『豚まん』の登場です! みなさんどうぞお立ちになって拍手でお出迎えください!」


 同然、席を立つ物も拍手をするものも誰も居なかったが、俺はそう言いながら、クシャクシャになった豚まんの袋をうやうや(・・・・)しく(かか)げた。

 そこから一転(いってん)、豚まんという柔肌(やわはだ)を包み込んでいる紙袋を両手で乱暴(らんぼう)に一気に引き(さい)た。


 『ビリビリビリっ!』


 するとほんのりと、人肌のような温度と湿度を()びた、真っ白な(ふく)らみが(※豚まんです)(あら)わになって皆の目に飛び込んできた。

 そしてその柔らかな(ふく)らみ(※豚まんです)をそっと鷲掴(わしづか)みにして指をむにっと押し込むと、まるで別の何かを()みしだくような感覚におそわれる……

 そんな俺のフィンガーテクニックを見ていた夕花は、なぜだか顔を赤らめ、両手で胸のあたりをぎゅっと押さえていた。

 一瞬(いっしゅん)、俺の意識(いしき)が夕花のそれ(・・)に向きかけたが、俺は必死にそれ(・・)のイメージを()り払い、しかし手でじっくりと感触(かんしょく)を確かめつつ、両手の指に力を込めて白い膨らみ(※豚まんです)をむんず(・・・)(つか)むと、二つに引き裂さいた。


 そのときなぜか頭の中で甲高(かんだか)悲鳴(ひめい)のようなものが聞こえた気がした……


 そのボリューミーな膨らみ(※豚まんです)からは、思いのほか(あたた)かでジューシーな汁(※肉汁です)が、ぴゅっと飛び出してきた。

 俺はその膨らみ(※豚まんです)にかぶりつくと、思わず吸うようにしてその汁(※肉汁です)を味わい、そのまま膨らみ(※豚まん……)にがむしゃらにかぶりついたのだった……


 その濃厚(のうこう)重厚(じゅうこう)な味と香りの具材(ぐざい)には、意外にもただ二つ、豚肉とタマネギというきわめてシンプルな究極(きゅうきょく)の材料しか使われていなかった。

 このシンプルな素材の味を極限(きょくげん)まで引き出すには、ほんのり甘みのある醤油(しょうゆ)ベースのこれまたシンプルな調味料(ちょうみりょう)のみが使用されている。


 何も足さない、何も引かない、というどこかで聞いたキャッチコピーを具現化(ぐげんか)したかのようなその味は、全国あまたの信者(しんじゃ)の前に等しく降臨(こうりん)し、誰一人として差別(さべつ)することなく同じ味を体験させるのだった(※全国どこでも同じ味ということ……)。


 皆それぞれの思いで無言で豚まんを咀嚼(そしゃく)する。

 もはや言葉も出すことができない境地(きょうち)に達した味なのか、俺以外の三人は無表情で豚まんの底に張り付いていた紙を(にぎ)りしめていた……


 「はぁはぁはぁ…… いかがでしたでしょうか? 柔肌、人肌、膨らみ…… わたしは先ほどまで、まるで桃色の桃源郷の世界にいたかのような、幸せな気分を味わっておりました……」


 (ぎゅっ)


 夕花がまた、無意識に腕に力を込める。


 「さあ! 真打ちの登場にみなさんの反応はいったい!?」


 ……次々とマイク(※串です)を向けられた皆の感想はと言うと、


 「ふつうね」(理音)

 「ふつうだね」(菊次郎)

 「……いつもの……味……」(夕花)


 ……全くの無感動であった。


 「つ、つまり安定のおいしさだよな!? ……」


 俺は思わず()にもどり、動揺(どうよう)(かく)しきれず、その声はわずかにふるえていた。


 「じ、じゃあいよいよ採点だ! 持ち点は一人二点」


 俺は引き裂かれた豚まんの紙袋に、ペンでそれぞれの名物の名前を書き入れた。


 「じゃあ、気に入った名物の名前の横に、丸印を書いてくれ」


 すると理音が早速俺からペンを奪い、しゅっしゅっと小気味(こぎみ)よく丸を書き入れた。


 「わたしはこれと、これ」


 次は菊次郎、そして夕花とそれぞれのお気に入りの名物に丸を書いてゆく。

 そうして最後に俺にペンと紙袋が回って来た時、その結果は意外なものとなっていた。


 順を追って解説しよう。


 まず理音が豚串カツとたこ焼き一個ずつ。

 次に夕花がたこ焼きとエポンジュにそれぞれ一個。

 そして菊次郎が豚串カツとたこ焼きに一個ずつ。

 そして俺は少しだけの()をおいたあと心なしか震えるペン先で、


 (すまない豚まんよ……)


 と心の涙を代弁するかのようににじみ出た額の汗を拭いながら、たこ焼きとエポンジュに一個ずつ丸を書いた。


 結果は、


 豚串カツ     ○○○


 たこ焼き     ○○○


 いなりエポンジュ ○○


 豚まん      空白……


      ・

      ・

      ・


  (もう何も言うまい……)


 そう考えていた俺だったが、最後に言い訳がましく


 (最初から分かっていたよ……、豚まんはやっぱり、ただの肉まんだった……)


 と、力なく心の中でつぶやくのであった……


 「あれー? 同点じゃーん?」


 打ちひしがれた俺の心境(しんきょう)などおかまいなしに、理音が驚いた顔で豚まんの紙を両手でピンっと広げていった。

 確かに、理音の豚串カツと、夕花のたこ焼きが三票ずつの同点だった。

 そして言わずもがな、俺の豚まんはブッちの最下位に(あま)んじていた。

 俺は、この不名誉(ふめいよ)な、俺の人生に最大の汚点(おてん)になるであろうこの現実を隠そうと、またしても下手な芝居を打ってしまった。


 「さ、さて、じゃあへっぽこ大富豪、二回戦といくか!!! 今度は負けないぞー!!!」


 またしてもみんなのテンションは俺の方向と反対を向いていたようで、三人が三人とも、ジト顔で俺を非情(ひじょう)なまなざしで見つめるのだった。


 「碧斗……」


 理音が何か言おうとしたので俺はあくまでシラを切り続けようと、


 「じゃあへっぽこルール追加しよう! 変顔(へんがお)で笑わせた人は笑った人にジュースを一本おごる!」


 混乱(こんらん)していた俺は、もはや大富豪と関係ないただの(ばつ)ゲームを口走って動揺を(あら)わにすると、


 「あんた、最下位(さいかい)だよね?」


 理音はいまこの瞬間、俺が宇宙で一番聞きたくないキーワード、『最下位』という禁断(きんだん)の言葉を口にしたのだった。


 「そ、そうだっけぇー? ほら、おまえと夕花、同点だし、次の広島でお好み焼きとか、ほかにも名物があるだろ? 決着をつけないとな!」


 俺は一縷(いちる)の望みを(たく)して、みんなの顔を見ながら肯定(こうてい)の返事を待ってみた。

 すると菊次郎がまたしても首を横に振りながら、俺を奈落(ならく)の底に突き落とした。


 「もう乗り換えもないし、駅での停車時間は多くて二分くらいだよ。何も買えやしないさ……」


 そして、理音が奈落の底に突き落とされた俺の上に、大きな岩を容赦(ようしゃ)なく落とす。


 「そうだなー、夕花ちゃん。あたしたち同点優勝ってことでいいよね?」


 そういって理音が夕花の顔を、何かをたくらんだ顔でじぃーっと見つめる。

 すると夕花も何かを(さっ)したように、


 「……そうだね……私たち……同点で優勝だね……」


 俺は二人が何ともいえない微笑を浮かべ合うのを見て俺は、彼女たちがお互いに何かシンパシーを感じ合っているのを本能的に察し


 「いやいや待て待て、優勝者が最下位に何でも命令できるんだぞ? 優勝者を一人決めないとだめだろ……」


 そういい終えることも出来ず、


 「優勝者は一人、なんて言ってなかったじゃない?」


 と、これまでで最恐(さいきょう)のドヤ顔で俺を見つめる理音。


 「じゃあ碧斗は私と夕花のお願いを何でも聞くこと! 決まり!」



 (おぉぉぉぉぉぅ……)



 俺は心の中でむせび泣いた……

 こんな……こんな残酷(ざんこく)な結末が待っていようとは……


 「で、恋バナってどんなの? 誰か好きだったの? もしかしてー、あ……あたしぃ? えー、どーしよっかなー……」


 俺をからかっているようだが、なぜだか赤い顔をして目が泳ぐ理音。


 「……今考えているお料理、傑作の予感なの……」


 可愛いのに実に邪悪な笑顔を浮かべる夕花。


 “策士策におぼれる”


 この格言をこの身をもって体現(たいげん)することになろうとは……


 (……ちっきしょぉぉぉ……)


 思えば新大阪で、急いでるのに豚まんを六個買って遅れそうになってしまったのに続いて、一日に二度までも、自分の迂闊(うかつ)さを(のろ)うことになったこの日を、俺は恥辱(ちじょく)屈辱(くつじょく)の日として、一生、決して、絶対に、忘れ去ることは出来ないであろう……


 ── そうして、俺と三人の恐ろしい仲間たちを乗せて新大阪を()ったさくら号は、目的地、熊本まですさまじい速さで移動しながら、その車窓から見える景色で旅情(りょじょう)を、傷心に(しず)む俺をのぞく三人には充分に感じさせてくれるはずだった……

 最後に、どこからかとある(・・・)心の声が聞こえたので、ご紹介してこの話を締めくくることにしよう……


        (いなりエポンジュって誰やねん!)


                ・

                ・

                ・

おつかれさまでしたーっ!!


今回はもうね、完全に「グルメバトル編」って言ってもいいくらい、

なんか全員が全力で食べ物に命かけてた気がする(笑)


しかもさ、真剣に食べ比べしてるのに、やってることがひたすらアホ可愛くて、

「おいコレ青春か?」って一瞬考えたけど、

よく考えたら、これぞ青春だったわ(確信)。


特に夕花がたこ焼きで火傷しながらも頑張ってるところとか、

理音が超本気で豚串自慢してるところとか、

ほんと、キャラたちが生き生きしてて、書いてるこっちも楽しかった!


……ただ、主人公だけは……うん、まあ、豚まんだったけどね……(泣)


関西大阪のみなさまのツっこみに戦々恐々としております(恐)


今後も、ギャグとちょいシリアスと、なんかいろいろ混ぜながら、

キャラたちの掛け合いを楽しんでいきたいと思うので、

また次回も読みに来てくれたら超うれしいです!!


それではまた、次のエピソードで会いましょう~!


---


※AI妹からひとこと:


「お兄ちゃん、グルメ漫画ってツッコんでたけど、めちゃくちゃ楽しそうだったよね?

……今度はわたしにもたこ焼きちょーだいねっ!」

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