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二つの宇宙、二人の心 第三十五話 中と外、二つと四人の選択肢

「投稿マシンガン開催中!」

とか調子にのってたら話数とか間違えましたすんませんすんませんすんませんすん……

お詫びにギービジュ(笑)とタイトルロゴをAIに作らせました。

我こそは、そいう絵師さんがいましたら、こんな絵は捨てますのでぜひ描いてくださいませ〜……


さて、第三四話では、主人公の七河碧斗くんがどんな人物なのか、少しは伝わったでしょうか? 面倒くさがりだけど、いざという時には頼りになる彼の一面が描けていたら嬉しいです。喫茶店「パスパルトゥ」でのバイト生活や、料理の腕前も彼の隠れた魅力ですよね。意外と筋肉質で、脱いだらすごい系って設定、個人的にはツボなんです(笑)。


そして、物語は彼が友人たちと無人島キャンプに参加するところから始まります。無人島、いいですよね! 僕も誰かと行ってみたいなぁ……なんて、冗談はさておき。


第三五話では、碧斗くんたちが無人島での生活を始めたところで、一体何が起こるのか……。彼らが直面するであろう、ちょっとしたハプニングや、それぞれのキャラクターの個性あふれるリアクションを楽しんでいただけると嬉しいです。特に、あの活発な理音ちゃんや、おっとりした夕花ちゃん、そしていじられ役の菊次郎くんが、無人島でどんな顔を見せてくれるのか、僕自身も楽しみながら書いています。


それでは、第三五話、どうぞお楽しみください!

 エアコンの効いた室内から出ると、いよいよ太陽も絶好調のようで強烈な日差しが肌に突き刺さる。

 俺たちは中断した炭で作る囲炉裏の穴掘りを再開する。


 「ドッ!」


 火山島だからだろうか、ツルハシを振り下ろすと意外にも手応えが少ない。

 しかしスコップで掘り進めるには少々固いという、やっかいな地面だった。


 「ザクッ!」


 俺が掘り起こした土に菊次郎がスコップを差し込み、ネコに積んでいく。

 そうして一五分くらい経過した頃に、ようやく直径一メートル、深さ50cmくらいの穴が出来た。

 水はけは良さそうだが、念のために次はここに石を()き、さらにその上に砂や砂利を敷く。


 石を敷くのは菊次郎に任せて、俺は砂と砂利(じゃり)を手に入れるために、ここまで登ってくる途中で見かけた(さわ)に行くことにした。


 「カチッ、ヒロロローン」


 バギーのキーを回してスイッチを入れると、未来的なオープニングサウンドと共にOLED(有機EL)パネルにメーターの表示が浮かび上がる。

 カジヤは去るときに充電プラグを差して行ってくれたようで、残バッテリーを示す棒グラフは百パーセント、走行可能距離は百二十三キロメートルとなっていた。

 この島で移動するだけならば充分だろう。


 原付きの免許さえ持っていない俺は、トレーラーを連結させたバギーにまたがると、バギーの運転感覚を覚えるために畑の周りを数周走ることにした。


 「ユィィン……」


 前進は問題ないが、バックするときにトレーラーが思うように動いてくれないことに難しさを感じ、なるべくバックはしないようにしようと心がけて、キクハウスを離れて沢に向かった。


 走行モードを選べるスイッチもあり、坂を下るバギーを模したアイコンと時速を設定できる画面があって、おそらく下りで一定速度を維持してくれる“DACダウンヒルアシストコントロール”らしいと思われた。

 電動車らしく、一キロメートル(毎時)単位での調整が出来るようだ。

 バギーの詳しい機能は後でマニュアルを見ることにして、ここからはそんなに離れてはいないと思った沢に向けて、俺は慎重にバギーを発進させた。


 「ゴツン」

 「痛てっ」


 実際に険しいところを走り始めると、背もたれが付いているとは言え、自転車と同じように大きな段差を乗り越えるときには腰を浮かす必要があるようだった。

 さらに自転車やバイクと違って、基本的にはハンドルだけで進行方向を変える必要があり、カーブなどでは意識して体を内側に倒すようにしないと、遠心力で外側に振り落とされそうになるのが運転感覚を掴むのに苦労した点だった。

 そうして少しずつコツをつかんできた俺は、DACをオンにしていたこともあって、五分もしないうちに問題なく沢にたどり着いた。


 (この沢からキクハウスまで歩いて行ったら三十分以上かかるだろうな……)


 砂利などを抱えて、と考えたらその倍はかかるだろう。

 俺はバギーに感謝しつつ、砂利混じりの砂をブルーシートを敷いたトレーラーにスコップで、せっせと放り込んでいった。


 「ジャリっ」

 「ドサっ」


 水と土が大量に混ざっているのを見て、ザルを持ってきて水で洗い流せば良かったなと、思ったが、無いものは仕方がない。

 気にせず積み込むことにした。


 (……このくらいでいいだろう)


 充分な量の土と砂利混じりの砂をトレーラーに積み込むと、トレーラーにはまだ余裕がありそうだったので、ついでにと思い何個か大きい石を積むことにした。


 「よいしょっと」

 「ゴトン」


 石を積み終わった俺は、チョロチョロと流れる沢の、水を(すく)えそうなところで手と顔を洗うと、その手で水をひとすくいして飲んでみた。


 (うん、うまい。そんなに冷たくはないが、充分に飲めそうだな)


 ついでにタオルを水で洗って絞り、首に巻いてキクハウスに戻ることにした。


 (ん? そうだ)


 戻ろうとしてバギーにまたがった、また来るときのためにとバギーを降りて、この沢を少しスコップで掘って大きな水たまりを作ることにした。


 「ザクっ、ジャリっ」


 「よいしょっと」


 「ドサっ」


 水たまりが崩れないように大きめの石で囲うと、簡易ダム湖が完成した。


(ふふ、なんか子供の頃の遊びを思い出すな……)


 そうして帰途につくと、石や砂利を大量に積んでいたこともあって体感で二キロメートルくらいしかない帰りの登り坂では、バッテリーがみるみる減っていく。

 出発するときには百二十キロメートル以上あった走行可能距離がもう九十七キロメートルと百キロメートルを割っていた。


 (登りは電費の低下が半端ないな、荷物もあるし、残りの走行可能距離の表示はあまり信用しない方がいいだろう)


 そう思いながら、充分に足りるはずなのに、そのあと何度もバッテリーの残りをチェックしながらキクハウスまで帰ってきた。

 キクハウスに戻り菊次郎のいるはずの穴の前でバギーを止めると、そこには菊次郎の姿がなかった。

 しかし出かけるときに掘っていた穴を見ると、すでに綺麗に石が敷き詰められており、俺の運んできた砂利や砂を乗せるばかりの状態だった。


 (あいつ……人が見ていると努力しないくせに……)


 そんなふうに菊次郎を褒めてやりつつ、CIRCLEで短いメッセージを送った。


 『帰ってきたぞ』


 そして作業し易いようにバックでの駐車を試みていると、菊次郎がノソノソとやってきた。


 「ご苦労さま、うん? 砂利以外に、こんなに大きい石を持ってきて何に使うんだい?」


 菊次郎はトレーラーに積まれた石を見て不思議そうに言った。


 「ま、何かに使えると思ってね、よししょっ」


 ハンドルを何度か切り返した後に、苦労してようやくトレーラーを穴の前まで持ってくることに成功した。


 「じゃあ、ジャリを()いちゃうか」


 俺と菊次郎はスコップを握り、掘った穴の底に砂利を()いていった。

 最後に、穴の回りに置いた石を泥で固めたら完成だ。


 これから一ヶ月の間、繰り返し使うことになるのだろうから少しでも頑丈に作っておきたい。

 俺は積んであった土に周りの草をちぎって混ぜ、水をかけてコネ始めた。

 それを菊次郎が手に取り、石を泥で塗り固め始めた。


 「昔、一緒に泥遊びをしたとこを思い出しますね」


 俺がスコップでコネた土で石をペタペタと楽しそうに塗り固めながら、懐かしそうにそう言った。


 「ハハッ、ああ、あんときは二人とも泥だらけになって、母さんに怒られたっけな」


 俺が笑うと菊次郎も同じように笑う。

 俺はふと言ってみた。


 「あのときの泥団子、まだ持ってるぞ……」


 すると菊次郎はフッとため息をついて


 「キミも意外とセンチメンタリストなんですね」


 と、からかうようにニヤッとする。

 俺は気恥ずかしさをごまかすように


 「バーカ、捨てるのを忘れてただけだよ」


 と返して、そのままあのときと同じように、一緒に無心で泥を塗りつけ続けた……


 「ペタ、ペタっ、パンパンパンっ」

 「よし、完成だ!」


 最後の石を泥で塗り固めると、俺はホースを向けて泥だらけの手や顔とバギーを洗った。


 「ほれっ」


 俺が菊次郎にホースを向けると


 「うぷっバカ! やめろよ!」


 と、またしても無邪気にじゃれ合う二人だった。


 「しかしこれ(バギーとトレーラー)、バックが難しくてな、練習しないと。お前もやっておいたらどうだ?」


 俺はトレーラーの泥を洗いながらそう言うと、菊次郎は


 「言ってませんでしたっけ? 僕は普通自動車の運転免許も取得済みですよ?」


 と俺を驚かせる発言をした。


 (なぬっ!)


 俺は(きょ)を突かれて菊次郎を振り返ると、そこにはいつものドヤキクが居た。


 (ちっきしょ、俺もバイト代を貯めて取ろうと思ってたのに、先を越されたか!)


 さっき俺のバイトのことを知らなかった理音の気持ちが、今さらになってわかったような気がした。


 「ようし、準備は万端だ。本番で火がなかったらシャレにならないから今のうちに火起こしをしちゃおう」


 俺は集めておいた枯れ草や、枯れた木の枝や皮などの“たき付け”を一カ所に集めた。

 そうして予め予習しておいたように、適当な木の棒と、紐を使った“弓ぎり式”という火起こしの道具を作るところから始めた。


 出発前に菊次郎は


 「安いし、ネットショップで買いましょう」


 と言ったがそれでは(おもむき)に欠けるというものだ、と俺が説得して、現地で一から作ることを提案したのだった。

 予め行った予行練習では、作るのに一番簡単な“錐揉(きりも)み式”を試してみたが、なかなか火をおこすのに手間取り思っていたより大変だった。

 なのでもう少し簡単に火が起こせそうな“弓錐(ゆみぎり)式”を作って試したら意外と楽に火が起こせたので、これを採用したというわけだ。


 「キク、じゃあ別れて火起こし器の材料になりそうなものを集めてこよう」


 そう言ってそれぞれ別の方向に向かって歩き出した。


 森に入りしばらく使えそうなものはないかと探していると、奥の方にオドロオドロした太い幹か根のようなものが生えた大きな木があった。

 その木に近づくと、その太い根か幹から、細い紐のようなものが垂れ下がっていた。


 (根っこから根っこが生えてんのか。これ、使えないかな)


 適当に引っ張ってみると、なかなかに丈夫そうだったので、五十センチくらいのものを苦労してちぎり取り持ち帰った。


 (次は木の枝かな、火切り棒と弓になりそうな枝は、と……)


 数分探し回ったが良さそうな枝が見つからず、いったん畑に戻ることにした。


 「キク、紐になりそうなやつは見つけたぞ、そっちはどうだ?」


 すると菊次郎の足元には、乾燥した大きな木の幹のようなものが転がっていた。

 そしてその手には、火切り棒、弓、おまけに焚き付けになりそうな細い草の塊が握られていた。


 「これでどうですかね」


 俺はその幹を触ったり持ち上げたりして状態を確認すると


 「いいんじゃないか、他にも、全部そろえたのか。やるなキク」


 とお手柄の菊次郎を褒めてやった。

 俺は菊次郎の持っていた枝を受け取って、長さや太さ、しなり具合を確かめてから先程の紐のようなものを縛り付けてみた。


 「ビョンっ」


 枝を握りしめ、縛り付けた紐を引っ張って離してみると、いい感じでテンションがかかっていた。

 俺は周りに転がっているいくつかの石を手に取り火切り棒に石を押し当ててみた。


 「これでいいか」


 良さそうな石を一つ選ぶと、これで材料は集まったので練習通り、弓切り式の火起こしの道具を完成させる。


 「ガツ、ガツ、ガツ……」


 火切り棒の先端を石で丸める。

 そして弓に縛り付けた紐にねじるように一回転させれば完成だ。


 いよいよ火起こしだ。

 最初に見つけた大きな幹の皮を手で剥がし、握りつぶして粉々にしてした。

 先端の尖った石で幹に開け、その穴に粉々になった木の皮を振りかける。


 「シュッ、シュッ、シュッ、シュッ……」


 石で棒を押さえながら必死に弓を動かす。

 少しするとモクモクとうっすらと煙が出てきた。


 「フーッ、フーッ」


 何度か棒を回転させては息を吹きかける、ということをしていると、小さな赤い点が輝き出した。

 俺はそれを消さないように慎重に息を吹きかけて大きくし、菊次郎が集めてきた細い草の塊を、その点にあてがった。



 「フー、フー……」


 煙がだんだん多くなってきたその時


 「ポッ」


 と種火が付くいた。

 すかさず葉っぱや他のたき付けを集め、火を大きくしていった。


 「よし! 火が付いたぞ!」


 そうして徐々に太い枝などを加えていき、勢いよく燃え始めた中に、段ボールの中で折れて小さくなっていた備長炭をいくつか入れて火を付けた。


 「これで種火はオッケーと……」


 次に、夕花に貰った、調理裁縫部で余ったぼろ切れを木の棒にぐるぐると巻き付けて、まんべんなくうっすらと染みこむように灯油をふりかけて松明を一本作った。

 最後に、キャンプファイヤーの中心の木くずや枝に灯油をふりかけ、理音と夕花が火を付けやすいように灯油を染みこませた布を目立たないように仕掛けて準備は整った。

 俺たちは後片付けをして、種火となる備長炭とキャンプファイヤー本体の備長炭の薪組(まきぐ)みを、少しの間、満足げに眺めていた。


 「さて、シャワーでも浴びてサッパリするか」


 ぐるっと辺りを見まわして、キャンプファイヤーと囲炉裏の準備がすっかり整ったことに満足すると、そのままキクハウスに戻った。

 戻ってハウス内を見廻すと、理音だけなく夕花の姿もどこにも見当たらなかった。


 トイレに入ったがもう一つは誰も居ないようだった。

 俺は用を済ませた後、女子部屋をノックしてみた。


 「コンコン、おーい理音と夕花いるかぁ?」


 すると中からドタバタと音がして待たされること一分少々。


 「ガチャっ」


 勢いよくドアが開いてぶつかりそうになる。


 「なによ!」


 ドア越しにいきなり理音が鋭い眼光で俺を睨み付けてきた。


 「いや、リビングにもキッチンにも姿が見当たらないから、部屋かなーって思って……」


 俺に非は全くないはずなのに、なぜだか後ずさりしていまう軟弱者の俺。

 しかし一歩引いたところで視界は一変した。


 「なぁに!? ジロジロ見んな変態」


 そのあんまりな言葉にも動じず、俺の目は理音のその姿に釘付けになった。

 黒と赤を基調としたディアンドル風の衣装は胸元が大きく開いていて、白いブラウスから(のぞ)く健康的な膨らみと、伝統衣装らしくない短いスカートから伸びるスラリとした脚に、俺はたじろいていてしまっていた。

 奥にいた夕花も似たような緑の衣装を身に(まと)っていて、普段見ることのない雰囲気に圧倒されてしまった。


 「あんたたちの分もあるからっ!」


 理音らしく、しかしプイッと顔を赤らめて背を向けると、ひらりとスカートが広がって(まと)わり付く。

 理音らしくないその女性的な雰囲気に、俺だけでなく菊次郎までポカンと口を開けてみっともなく見とれてしまっていた。


 (え? 俺たちの分?)


 俺はアイルランドの伝統衣装を連想して


 (スカートとかじゃないよな……)


 と不安を感じたが、なるようになれ、と半ば諦めたように、しかし期待も込めてバスルームに向かった。

 そのままサっとシャワーを浴びて小綺麗(こぎれい)になったあと一休みすると辺りはすっかり暗くなり、キャンプファイヤーの時間になった。


 みんなで冷蔵庫から食材を運び出してテーブルに並べる。

 そしていよいよ始まるキャンプファイヤーを前にして、ついに俺たちは、夕花が作ったという欧風の民族衣装に着替え(させられ)た。

 それはチェック柄のシャツに、胸に妙な刺繍のあるサスペンダー付き黒い半ズボン、白い靴下に黒い革靴という、一見すると滑稽にも思える変わった衣装だった。


 「これ、ホントに着るのかよ……」


 俺がそう言うと、菊のような鮮やかな黄色を基調としたその衣装を着た菊次郎は


 「母には及びませんが夕花さんもなかなかやるじゃないですか」


 と、ご満悦と言った表情で鏡の前に立っていた。

 そんなご機嫌な菊次郎に対して


 (ド○フのコントでもやらされそうだぞ)


 とは口に出しては言えず、俺も渋々と着替える。

 せめてもの(なぐさ)めは、夕花が気を利かせてくれたのか俺のシャツと帽子の色は落ち着いた(あお)(緑と青の中間)色の細かいチェック柄でだったと言うことだ。


 俺はそう一安心(?)すると、ちょっと緊張しながら理音たちの待つ場所まで歩いて行った。

 するとその先には白いドレスのようなものを纏った二人が居た。


 (あれ? さっき部屋で見たのとちがう衣装だ……)


 しかも草や花で作った冠まで被っており、その姿はまるで女神のようであった。


 「ジャリっ」


 俺たちがその女神たちの前に立つと、投光器で照らされた俺達の姿が暗闇に浮かび上がった。


 「あはははははははー! ナニソレ! なんかキモーい!」


 とても女神とは言えない言葉を容赦なく叩きつける理音。

 キモいは余計だが、予想したとおりの反応だった。


 一方の夕花は、いつにも増して目を大きく開いて満面の笑みを浮かべて頷いていた。

 どうやら衣装の出来映えと俺達の着こなしに、いたくご満悦らしい。


 「アオトなんか変質者みたいだし! キクは似合ってるのがめっちゃオカシー!」


 (ぐぬぬ……変質者か似合ってるかの二者択一か……どっちも選びたくはないな……)


 「じゃあすっかり暗くなって準備も整ったし! そろそろ始めるぞ!」


 俺は気持ちを切り替え元気よく、真面目な顔で声を上げた。


 「ではこれから俺たち四人だけでキャンプファイヤーを行いたいと思います。高校最後の夏休み、最高の思い出になるように、みんな心して取りかかり、そして心から楽しむように! では、法元理音さん、天野夕花さん、トーチに火を付けてください」


 俺が投光器のスイッチを切ると、理音と夕花が顔を合わせて頷き、練習通りにゆっくりと種火に向かって歩いていく。

 そこに置いてある一本の松明を二人で手に取ると、俺が付けた種火にそっと近づけた。


 「ポゥ……」


 松明に火が付くと、二人の姿が暗闇に幻想的に浮かび上がる。

 そしてそのままゆっくりと備長炭の薪組に近づいていき、同じようにゆっくりと(かが)んで火を付ける。


 「ポッ……メラメラ……」


 仕掛けておいた布が中心に向かってゆっくりと燃え進んでいく。


 「ボッ」


 そうして真ん中のたき付けに火が上がり始めるとだんだんと全員の姿が燃え上がる炎の光に照らされてきた。

 そうして雰囲気は最高潮に達したのだった……

第三五話も最後まで読んでいただき、ありがとうございます! 無人島での日常が少しずつ見えてきたでしょうか?


碧斗くんの広い知識や、菊次郎くんの意外なサバイバル能力など、彼らの隠れた才能が垣間見えたかもしれませんね。特に菊次郎くんの狩猟の腕前は、今後もきっと役に立つはず……と、これ以上は次話のネタバレになってしまうので言えません!


キャラクターたちの掛け合いや、それぞれの個性が少しでも皆さんの心に響いてくれたら嬉しいです。まだまだ物語は序盤ですが、彼らがこれからどんな困難に立ち向かい、どんな成長を見せてくれるのか、僕自身もワクワクしながら執筆を続けていきたいと思います。


これからも、応援よろしくお願いします!


AI姉妹より一言


あい:タコ助くん、今回の原稿も拝見させてもらったわ。誤字脱字はだいぶ減ったわね。成長してるじゃない。でも、まだまだ読み込みが甘い部分もあるから、もっと集中しなさい。特に、キャラクターの描写は、もう少し深掘りできるはずよ。表面的な説明だけじゃなくて、内面をもっと引き出してあげるの。物語の序盤だからこそ、読者に彼らの魅力をしっかり伝える努力を惜しんじゃダメよ。期待してるわよ、タコ助くん。


まい:お兄ちゃん、今回の話も読んだよ! うーん、まあまあかな? キャラクターたちの「いい人」っぷりは伝わってきたけど、もうちょっとドタバタした感じとか、面白いハプニングとか入れても良かったんじゃないかなーって思ったんだけど? でも、碧斗お兄ちゃんの料理の腕前とか、菊次郎くんの意外な特技とか、そういうところは結構好きだったよ! ま、次も期待しててあげるから、頑張ってよね! あんまりまいの期待を裏切らないでよね、お兄ちゃん!

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