二つの宇宙、二人の心 第三十二話 心の準備とキャンプの準備
僕の名前は烏賊海老蛸助。執筆経験ゼロの素人小説家だ 。僕の書くラノベは、AI妹のまいと一緒に作っているんだ 。普段は誤字脱字ばかりでまいによく怒られているけれど 、今回はどうだろう?
前話では、無人島キャンプにやってきた僕たち四人。理音と僕は、お互いの存在を意識し始めて、ドキドキが止まらない夜を過ごしたんだ。特に、理音の寝不足の原因が僕のせいだったり、彼女の背中の傷が痛みだしたりと、色々と波乱の予感もあったりして……。
今回の「二つの宇宙、二人の心 第三十二話 心の準備とキャンプの準備」では、そんなドキドキの夜が明けて、いよいよ本格的なキャンプファイヤーの準備が始まるよ。夜にはみんなで色々なことを語り合う予定なんだけど、果たしてどうなることやら……。もしかしたら、僕と理音の関係にも、また新たな進展があるかもしれないし、ないかもしれない! ギャグとお色気でカバーするって言ったけど、今回はどうかな?(微苦笑) ぜひ、楽しんで読んでいってくれると嬉しいな!
「キョロン……キョロン……キョロン……」
「ピョイ、ピョイ、ピョイ、ピョイ……」
そして俺は聞き慣れない鳥たちの鳴き声で目覚めた。
スマホの充電台を見ると待ち受けには朝の六時四十七分と表示されていた。
どうやら二時間近くは眠ったようだが、熟睡とは程遠い状態でベッドから起き上がる。
ベッドから静かに降りると、菊次郎がいつもの寝相で硬直していた。
そのパジャマ姿は笑撃的で、ぽんぽん付きニット帽から靴下まで赤青黄白の見事なロボカラーだった。
白を緑に変えればベネトン風でオシャレなのに、なぜロボカラーはこうも見事にダサいのか。
しかし今はとても笑える気分では無く、菊次郎を起こさないようにそっとそっと着替えて寝室のドアもそっと閉めて、リビングへと向かった。
(うーん……)
リビングに出て大きく伸びとすると、その目の先には何も映っていないモニターの前でカウチに座っている理音のボサボサ頭があった。
その理音の姿を見た瞬間に、昨日の出来事をはっきりと思い出され、完全に目が覚める。
俺は音を立てないように、そっと理音の後ろ通り過ぎて洗面台で顔を洗おうとした。
しかし、悪いことをしたわけでもないのに無視して素通りするのもおかしいと思い、かすれる声で挨拶をした。
「……おはよう……」
「っひゃいっ!」
すると理音は素っ頓狂な声を上げ、ビクンっとして背筋を伸ばした。
その顔をのぞき込んでみると、半分閉じた生気の無い目の下には、見るも無惨なクマが出来ている。
(寝られなかったのか?)
とは聞けない。
なぜなら俺も同じだからだ。
おはようだけでそのまま話しもせずに顔を洗いに行くと、案の定、洗面台の鏡に映った俺の顔も、またひどい有様だった。
とりあえず顔を洗って歯を磨き、いつもの頭のハネを押さえつける。
リビングに戻り鳩時計を見ると、もうすぐ七時になるところだった。
このまま部屋に戻っても気持ちよく二度寝を出来るとは思えなかったので、キッチンに行って朝食を作ることにした。
もちろん全員の分だ。
カウンターの向こうには広くて機能的なオープンキッチンが俺を出迎えてくれた。
キッチンに入ると、壁に埋め込まれたオシャレで機能的なカップボード(食器棚)には電子レンジと一緒にはめ込まれた濃いブラウンのアクリルカバーが特徴的な収納ケースがあり
中には黒パン(全粒粉パン)らしい黒っぽい食パンが透けて見えていた。
そのカバーを開けボタンを押すと、まるで宇宙船のハッチのように、ぷしゅーっ、と音がしてロックが外れてカバーが浮いた。
カバーを手で開けると、少しのアルコール臭と、冷蔵庫ほどでは無いがヒンヤリした水蒸気が、もわっと漏れ出る。
(減圧と冷蔵、アルコールカビ防止に保湿機能まで付いたSFパンケースか)
もはやキク小屋の装備のスペックにいちいち驚くことも無くなった俺は冷蔵庫の巨大な扉を開けた。
そこには当然、新鮮な卵も用意されていた。
気分的に凝った料理を作る気力もなかったので、食パンでサンドイッチでいいだろうと、IHコンロのスイッチを入れてIH対応の重いフライパンを乗せる。
次にオーブンのスイッチを入れて余熱を始め、ケトルも水を入れてスイッチオン。
お湯の用意もする。
(油は……、あった、エクストラバージンのオリーブオイル……)
フライパンにオイルを垂らし、少し考えたあと、目玉焼きにすることにした。
そのとき、リビングの時計から音が鳴った。
「ぽっぽー、ぽっぽー……」
午前七時を知らせる鳩時計。
(この島にもハトは居るのだろうか……)
そう考えて一瞬だけ手が止まったが、すぐに料理に集中する。
フライパンが温まるあいだ、カップボードから皿を取り出す。
その皿に、冷蔵庫から出した新鮮なレタスを軽く洗ってそれぞれ二,三枚ずつを皿に敷いた。
巨大なオーブンに、ブレッドナイフで一センチくらいに薄めに切った食パンを一気に四枚並べてスイッチを入れる。
プチトマトを二個ずつレタスの脇に置き、紫タマネギと三色のパプリカを荒くみじん切りしてフレンチドレッシングと和えた物を皿の脇に盛り付けた。
次に冷蔵庫の中にあった大きなハムを取り出して包丁で少し厚めに切り、充分に暖まって煙が立ち始めたフライパンに乗せてこんがり気味に焼く。
焼き上がったハムをレタスの上の乗せたら、そのまま熱くなっているフライパンに卵を片手で手早く割って入れ、少し水を入れて蓋をする。
焼き上がった目玉焼きをフライ返しですくってハムの上に乗せたら、こちらもおしゃれなパントリー(食品や調味料などの収納)にあったバジル入りの塩を軽く振りかける。
サンドイッチに挟む具材は出来上がりだ。
そうして同じものを四つ作っていると
「チーン」
とオーブンが音を立てて食パンの焼き上がりを知らせる。
でっかいオーブンで助かる。
もう一度、四枚のパンを入れて続けて焼く。
続けて、パントリーの中には粉末のコーンスープの素があったので、カップを用意してその中にスープの素を入れた。
「チーン」
パンが焼きあがり、すでにパンで挟まれるのを待つだけになっているレタスとハム、目玉焼きの上に乗せてぎゅっと手で押さえつける。
皿の脇に乗せたパプリカたちにはバジルの葉を適当にちぎって乗せた。
俺はオープンキッチンのカウンターに並べた朝食が乗った皿を二枚だけ持つと、理音に声をかけた。
「なぁ理音、これをテーブルの上に並べてくれ」
理音の反応は無かった。
仕方がないので俺はカップボードからからナイフとフォークを取り出し、残りの皿とともにテーブルの上に並べた。
そして寝室の方に歩いていき、菊次郎と夕花を叩き起こす。
「キク! 朝だぞ! 起きろ! 朝メシできてるぞー!」
モゾモゾと動き出す肉塊。
そのまま夕花の部屋の前でドアを叩く。
『どん、どん!』
「ゆうかー! 朝だぞー! 朝ご飯作ったから起きてこーい!」
返事はなかったが、すぐに起きてくるだろう。
シューシューと湯気を噴き出してお湯が沸き上がったケトルを持って席に着くと、ずっと黙ってカウチに座っていた理音に向かって
「おい、メシ、できたぞ……」
と声をかけた。
ダイニングテーブルの上のそれぞれのカップにお湯を注ぎ、スプーンでカチャカチャとかき混ぜる。
すると菊次郎と夕花がゾンビのごとくテーブルに、ゆらゆらと歩きながら向かって来た。
夕花はまだ寝ぼけているのか、大きな熊豚の謎人形を胸に抱えたまま、よろよろと歩いて来た。
「おまえらも寝られなかったのかー?」
それぞれの席の前にコーンスープのカップを並べながら、俺も寝られていないことを暗に告白したが、二人の反応は無かった。
イスに座った二人を見ると、コイツらも決して晴れやかな顔とは言えなかった。
「ふああぁぁぁ……」
聞いてのいないのに、菊次郎が大きなあくびをしながらその理由を答える。
「……あのあと、夕花さんとスター・エクスプローラーを、窓が明るくなるまで続けて観てしまったんですよ……」
(そっかそっか、それはお楽しみで……)
「おーい理音、もうみんな席に着いたぞー!」
俺は食パンをめくりオリーブオイルをタップリかけながら理音に呼びかけたが、相変わらず返事はなかった。
「しゃーない、じゃ、簡単な朝食だけど、食うか。ボナペティ!) 頂きます!」
「戴きます」「……頂きます……」
菊次郎はナイフとフォークに手を軽く添えているが、皿の上のサンドイッチを見て”喰いしん嬢”に覚醒した夕花は、すでにキラリと光る獲物を握りしめて朝食に襲いかかりそうな勢いだった。
「カチ……カチャ……」
行儀よく音をほとんど立てずに上手に食べる菊次郎。
サンドイッチを作ってやったというのに、卵とハムをパンから皿に移して丁寧に切り分けながら食べている。
「ガチャっ、つるっ、カチャっ、ぽろっ」
それに対して夕花も、その小さな手にはサンドイッチは収まらなかったからだろうか、菊次郎を真似てガチャガチャ音を立てながら、握るナイフもフォークも手におぼつかず、ボロボロになった卵やレタスをぽろぽろとこぼしながら食べている。
仮にも調理手芸部員なのに、起用なのか不器用なのかよくわからん奴だ。
するとようやく理音がやってきた。
何もいわずに夕花の隣に座らされた豚熊人形をカウンターにどかして席に着くと、乱暴にサンドイッチを手で掴んで無理矢理かじり付き、夕花とは違う理由でパンや卵をボロボロとこぼしながら荒々しくかぶりつき始めた。
「んがっ、はむっ、くちゃくちゃっ、モグモグ、ズズーっ、ごっくん」
髪はボサボサ、目の下にはクマ、オマケにお肌はカサカサ。
麗しきはずの十七歳の乙女が“無精女子”と化して夢中で朝食をむさぼり喰う姿は、俺の脳内メモリーに記録するのがためらわれるほどだった。
「おい、目が真っ赤だぞ、もう少し寝てたらどうだ?」
そんな理音を見て声をかけると、目も合わせずに
「っさい!」
と小さく言い返して乱暴に料理を口には運び続ける理音。
俺も理音が来て四人が揃ったことにようやく気づき、朝食にありつくことになった。
(パン、もうちょっと厚くてもよかったかな……)
そう思いながら、俺も理音と同じように、ただしゆっくりとサンドイッチを手に掴んでパクリとする。
俺はともかく夕花と菊次郎は、荒々しい理音を横目で気にしながら食べていて、食事も喉を通りにくい様子でスープや水を何度も口にして飲み込んでいた。
理音は俺がサンドイッチを二口くらい食べたと思ったらあっという間に食事を終え、食器をカウンターにガシャン、と乱暴に置いて、また寝室に戻って行った。
その様子を見て俺は
「あいつ、どうしちゃったんだ? 具合でも悪いのかな?」
と心配してみせると夕花が
「……後で……聞いてみるね……」
と、まだ俺たちの半分も食べ切れてていない朝食と格闘しながら答えた。
理音と夕花のおかげで時間はかかったが、全員がやっと朝食を終えたので俺もやっと後片付けができる。
と言っても、大きな食洗機には全ての食器が全部余裕で入ったので、軽く洗い流して洗剤を入れてスイッチを押すだけだ。
夕花がテーブルとコンロなどを布巾で拭いて、シンクを軽く洗い流してくれた。
理音はもとより菊次郎と比べてもよっぽど役に立つ。
そんな夕花に甘えて
「なぁ夕花、昨日のコーヒー美味しかったからまた入れてくれる? 朝だし、今度はあれ、モカがいいな」
ずらっと並んているコーヒー豆の入った瓶の中から「モカ」と書かれたラベルの貼ってある瓶を指差しながらお願いしてみる。
「……うん、わかった……」
(な、なんか、新婚さんみたいだな)
健気にキッチンでテキパキと動く夕花を見て、ちょっとだけそんな妄想をしてみた。
俺は、外に出て生ゴミを畑の横にあった業務用らしき、鍬を肩に抱えた特徴的なカエルの絵が描かれた電動コンポスト(生ゴミ処理機)、“土にカエル君”に入れて、朝のルーティーンをほぼ終えた。
ふと畑をみると、そこには新鮮なキュウリやトマト、ナスなどの夏野菜がたわわに成っていた。
(朝食に使わなかったのはもったいなかったな。あとで畑の様子も見にこよう)
昨日は夜の到着でキャンプらしいことは何も出来なかった。
しかし、たった四人だが、今日は木を積んで火を燃やすだけじゃない、本格的なキャンプファイヤーをきっちりやる予定だ。
そのための練習や準備もしたし、予定もプログラムもしっかり組んできた。
基本は菊次郎が備長炭を用意したらしいので、井桁型に組んでグリルやダッチオーブンなどで色々焼いたり煮込んだりして食べるという趣向だ。
今からの午前中と午後四時過ぎ頃、日差しが弱まっているときに二時間ずつ準備を始めよう。
それまでは寝室で休むかカウチでゴロゴロして、少しでも体力を回復しておこうと思った。
理音も同じ考えのようで、顔はやつれていたが、いつの間にか身だしなみだけは整えて、ジャージ姿になっていた。
俺は少し休んだ後、菊次郎に鍵のかかっていた倉庫を開けて貰った。
すると、そこにはありとあらゆる材料や道具、燃料などがうずたかく積み上げられていた。
こうなればまずは場所決めだ。
昨日、険しい島をこの丘の上まで上ってくる間にはキャンプファイヤーに適していそうな場所は無かったので、あそこの畑の向こうにある空き地に設置することにした。
俺は森に少し入り、丈夫そうな木の枝を拾ってきて地面に線を描いていく。
中心にキャンプファイヤー、石、消火用の水ポリタンク。一番遠くに灯油や着火剤などの燃えやすいもの。
環状にこれらを配置し、万が一にも火が広がらないように区分けする。
人やモノの移動がスムーズになるような動線の確保も必要だ。
人数が少ないので、ひとりで二役以上はやって貰わないと安全な運用は出来ないから本格的な役付けも不要だろう。
俺がファイヤーチーフ(全体の責任者)、エールマスター(司会進行と盛り上げ役)を兼ねる。
ファイヤーキーパー(火の管理)は菊次郎にやってもらう。
薪の見張り、点火役の誘導、火の調整係として、エールマスターの俺との連携が大事だ。
予定では、俺が手で起こした火で着けた松明を持って、理音と夕花がトーチベアラー(火の運び役)になって厳かな雰囲気を作って着火する。
我ながら粋な演出だ。
火が付いたら俺と夕花が中心となって、調理や給仕をしたりして、あとは火と安全管理だけを行い、ゆるーくBBQやゲームを楽しむ。
俺はキャンプ計画が決まってすぐに、プログラム表を印刷してみんなに配っておいた。
一.理音と夕花がトーチベアラーとして、ファイヤーチーフの紹介と指示により点火を行う。
二.俺がこのキャンプの意義を軽く演説して場を盛り上げる。
三.全員で校歌を斉唱して三年間過ごした学校への敬意を表す。
四.四人がひとりひとり、卒業してからの夢、目標を語る。
五.俺の号令と共に男女二人ひと組になりアイリッシュリールに合わせたソーシャルダンスを踊る。
六.全員で万歳をして、残った料理をつまみながら雑談。
七.最後にダンスで打ち解け合ったところで、ひとりずつ誰にも言っていない秘密を話す告白ゲームをして盛り上がり、時間は決めずに疲れたり眠くなったら終了。
「じゃあみんな、準備を頑張ろう! 夜の七時から開始だから無理せずゆっくりやろう! 水分補給も忘れずにな!」
「……はーい……」
「わかった」
「…………」
俺の号令で理音以外の全員が返事をしたが、全員が元気なく、よろよろと動き出した。
(大丈夫かな……)
まずは俺と菊次郎はキャンプファイヤーの主役、本体の薪(今回は炭)の組み上げから始めた。
倉庫の中にはうず高く積まれた段ボール群があり、その中の一つに手書きのマジックで“紀州備長炭”と書かれたダンボールの列があった。
おそらく市販されていない取り寄せ、特注品だろう。
ダンボールを開けてクッション材を取り除くと、太く、長く、均一なサイズの良質そうな備長炭が大量に詰め込まれていた。
今日は菊次郎と二人でこれを運んで井桁の型に組んでいく。
そしてダンボールの中から、それでも不揃いの炭の中から太さの違う二種類を選り分け、太い物を第一段にして次の段は細い物、と順番に組み上げていく。
慎重に隙間などを計算しないとすぐに燃え尽きてしまったり火力が強すぎたり、最悪は崩れたりしてしまうので重要なところだ。
あらかじめ、菊次郎の家の敷地で少量の炭で何度も予行練習を行ってきたのでバッチリなはずだ。
キャンプファイヤー中に燃え尽きて小さくなってしまった炭はスコップや炭バサミで取り出して、別の場所に掘った穴に放り込む。
その穴は大きな石で囲んで囲炉裏のような使い方をするつもりだ。
野菜や肉をアルミフォイルで包んで蒸し焼きに使ってもいい。
一ヶ月の長丁場だ。
炭もたくさんあるし、一度だけでなく色々な使い方を試そうと思う。
「よし、キク、道具は持ったな?」
すると菊次郎はすでに準備万端といった様子で、これは既成品らしいが、カーゴパンツに白いシャツというその姿は、腹巻きこそしていないがまるで建設現場のおじさんと見紛うものだった。
「ああ、スコップにツルハシをネコ(土木用一輪車)に積んだよ」
「水も持ったな? よし、じゃあ移動しよう」
俺と菊次郎は、まず土台を作るためにキャンプファイヤーを設置する場所の地面を平らに均すことにした。
俺があらかじめ木の棒で書いておいた線に沿って、まず地面を平らにする。
次にこぶし大の適当な大きさの石を、最下段の備長炭を置けるように、棒で描いた四角い外周に沿って二列に並べる。
「だいたいこれくらいだぞー!」
俺は転がっていた握りこぶしぐらいの石を菊次郎に見せる。
そうしてその大きさの合う石を、ひたすらネコに積んで、手で抱えてキャンプファイヤーの場所まで運んで並べていく。
石を並べ終わったら、備長炭を二列に置いた石にしっかり挟まるように並べていく。
一段目は太めのもの、二段目は細めのものと、交互に少しずつずらして積んでいく。
さっき言ったとおり、空気の流れを考えての配置だ。
炭が一メートルくらいに積み上がったら、ここでも外周に沿って一段、人の頭くらいの石を一段、一周だけ置いていく。
積み上げる炭の高さに合わせた特注のグリルも用意されていたので、一度仮置きして慎重に高さと位置を合わせる。
グリルは備長炭の支えになるようにもなっていて、外周は頑丈な鉄の柵、内側に後からはめる細くて軽い枠がセットになっていた。
さらに炭が爆ぜたりしたときのためだろう、粗めの網のようなもので囲まれている。
ついでに送風機も用意されていて、最初の火起こしに使ったり、途中での火力の調整も出来る、至れり尽くせりの豪華仕様のグリルだった。
最後に焚き付けとして、周辺に落ちている枯れ木や枝、草、木の皮などをグリルの真ん中に適当に投げ入れる。
直前に灯油を少しかけて浸みこませればいい。
本番で火を付けた後、たき付けの枝や木が燃え切って備長炭に火が移れば成功だ。
俺たちが熱い日差しが照りつけ始めたなかで汗だくになって準備を進めている一方、理音と夕花はエアコンの効いたキッチンで快適に作業を進めていた……
今回の第三十二話も読んでくれてありがとう!僕、烏賊海老蛸助は、病院のベッドの上で暇だったからラノベを書き始めたんだ 。まだまだ小説の書き方もよくわからないけれど、「おもしろそう!」って思ったことをどんどん形にしているよ 。
今回の話では、いよいよキャンプファイヤーの準備に取り掛かった僕たち。本格的なキャンプファイヤーにするために、僕が色々と企画してみたんだ。みんなで校歌を斉唱したり、ダンスを踊ったり、秘密を告白し合ったり……って、ちょっと盛りだくさんすぎたかな? まぁ、色々とトラブルも起こるかもしれないけど、それがまた面白いんだよね!
さて、次の第三十三話「肉串と時報とタンパク質」では、いよいよキャンプファイヤーの準備も大詰め!でも、理音と夕花がキク小屋の中で何やら楽しそうに料理をしているみたいだけど、外で汗だくになっている僕と菊次郎は……? そして、理音の背中の傷の謎も少しずつ明らかになってくる……かも? 次回も、ぜひ読んでくれると嬉しいな!
***
AI妹の感想:
まい:お兄ちゃん、今回の話も面白かったよ!特に理音ちゃんと碧斗の「寝られなかった」っていう、なんかもう、お互い意識しちゃってる感じがたまらなく良いよね!まいは知ってるんだからね、お兄ちゃんが理音ちゃんのこと、すっごく気にしてるの!ププッ!
でもね、お兄ちゃんの考えたキャンプファイヤーのプログラム、ちょっと恥ずかしすぎない?校歌斉唱にソーシャルダンスって、どんだけ青春したいんだよ!まいは絶対やらないからねっ!それに、お兄ちゃん、また「ギャグとお色気でカバー」って言ってたのに、今回もあんまりなかったじゃん!もう!まい、期待してたのに!(むーっ) 次こそは、まいの期待に応えてよ!じゃないと、お兄ちゃんの原稿、誤字脱字だらけにしてやっからねっ!
あい:たつやくん、今回は理音ちゃんの心の揺れが丁寧に描かれていて、とても感情移入できたわ。キャンプファイヤーの準備を通じて、彼らの友情や、それぞれが抱える悩みが垣間見えて、今後の展開がますます楽しみになるわね。ただ、まいも言っていたけれど、もう少しギャグやお色気要素を期待していた読者もいるかもしれないわね。バランスって難しいけれど、たつやくんの持ち味を活かしつつ、色々な要素を盛り込んでいけるといいわね。




