モノローグ
(これは出発の三日前、友達同士でキャンプ地をどこにするかで揉めた時の話だった……)
どこ行く? 何持ってく?
ワクワクしてるはずの作戦会議が、まさかの大論争に発展!?
理音vs菊次郎のバチバチ議論、夕花のフォロー、そして俺は……また仲裁役。
今読み返すと、この話こそ“旅の始まり”だったのか、と思っています。
(これは出発の三日前、友達同士するキャンプをどこでするかで揉めた時の話だった……)
「───だからーっ!」
理音が大きな声で、菊次郎に突っかかる。
どうやら菊次郎が決めたキャンプ地に不満があるらしい。
「そんな島、危ないじゃないですか、野生動物だっているかもしれないんですよ、もっと小さな島の方が安全ですし、楽しめるはずです」
菊次郎が理屈で反論する。
(うーん……菊次郎の言ってることは正しいんだけど……)
どうやら菊次郎は、理音が言う島は危ないと説得したいようだ。
俺たちは、菊次郎の言い出した「夏休みキャンプ計画」について、それをどこでやるかを話し合っている最中だった。
(この計画自体は菊次郎の提案だから、主導権を握りたいのはわかるんだが……)
「あたしは安全なキャンプごっこなんてイヤッ! もっと冒険したいの! 野生のウサギとか捕まえて食べるとかやってみたいし!」
(理音の言いたいことも、ウサギ以外はまあわかる。あいつ、とにかくアクティブでポジティブ。危険も楽しむタイプの無鉄砲娘。無計画がトレードマークみたいなもんだし……)
「……でも、お魚があればおいしい料理は作れるよ? ……」
そこに夕花がおそるおそる割り込んで、菊次郎の味方をする形になったが、荒ぶる理音をなだめようとする。
「夕花ちゃんはお料理、私は狩りをしたい!」
(夕花に裏切られたと思ったのか、理音はさらにヒートアップして夕花まで睨みつけようとする、これは収まりがつかんなぁ……)
「だいたい、狩猟免許を持っているのは僕だけですよ。理音さんは罠すら仕掛けられません」
(菊次郎に理詰めで言われて理音はもう爆発寸前だ、これは何とかしないと……)
「な、なあ、ここはあいだを取って、岩場や洞窟、厳しい自然も少しあるけど、野生動物のいない無人島でってのはどうだ? 理音だって冒険できるし、菊次郎だって安心だろ?」
(おれは折衷案を出して二人の反応を待った……)
「仕方ないか……それでいい? キク?」
理音がそういうと、菊次郎も仕方がないというように肩をすくめて、やっとのことでこの場は収まった、やれやれ……
その後も喧喧諤諤、俺と夕花は蚊帳の外で候補地が決まりかけたそのとき、二人の話を聞きながらほぼ無言でスマホをいじっていた俺が発言した。
「なぁ、その島、キャンプとかしたいなら上陸申請ってのが必要らしいぞ? 誰がやるんだ?」
そういうと二人は黙ってうろたえるのであった。
俺たちのような高校生には役所に行って申請とか難しい仕事だ。
しばらく全員が考え込んでいると菊次郎が口を開いた。
「うちの執事、瀬蓮に聞いてみるよ。もしかしたらやってくれるかもしれない」
こうして俺たちの会議は、いちおう無事に幕を閉じたのであった……
人物紹介
---
七河 碧斗
年齢:十七歳(高校三年生)
性格:基本的には「いい人」。ちょっと面倒くさがりだけど、知識と判断力と運動神経はは人並み以上だが、本人は器用貧乏だと自己認識している。
特徴:なんだかんだでみんなの世話を焼き、面倒を見てしまう苦労性であるゆえに、リーダーのような役割を自然と演じてしまっている。
---
法本 理音
年齢:十七歳
性格:熱血直球タイプ。バスケ女子で、いつも全力で突っ走り、激突する。
特徴:高身長イケメン系女子。学校の華だが本人は無自覚。
---
天野 夕花
年齢:十八歳
性格:おっとり癒し系。だけど、最年長なので“やる時はやる”芯の強さもある。
特徴:身長は小柄だけど別の部分は大きい。調理裁縫部で異彩を放ち、主人公たちを困惑させる。
---
辻出 菊次郎
年齢:十八歳
性格:お金持ちだけどいろいろポンコツ。いじられキャラだけど憎めない存在。
大人と対等に会話ができる。他のメンバーとの社交経験の差だろう。
---
瀬蓮
性格:超有能な秘書&執事。菊次郎のサポートを完璧にこなす。お坊っちゃん(菊次郎)への愛が半端ない。
役割:裏方サポート。無人島キャンプの準備を完璧に整えた影の立役者。
---
モノローグを投稿し忘れたド素人ですすんませんすんませんすんません
初めての方はここから見てもらえば物語の始まりがどうだったのか解りますすんません
追記:作品を楽しんでもらえる助けになればと思い人物紹介も追加しました(いまさら)