第九話 「体育祭、見せるは誰も予測し得ない結果」
ケイドロのルールを一応確認しておくと、ケイサツとドロボウに別れてケイサツがドロボウを捕まえる。
捕まったドロボウは「牢屋」と指定された場所に移動する。
捕まっていないドロボウが「牢屋」にいるドロボウをタッチすることで助けることが可能だが、「牢屋」は大抵ケイサツが守っていることが多い。
「よく考えられてるで。
『予想するだけで動か無くていいという考えをなくすため』なんて大嘘やな。」
瀬崎の発言にキョトンとする神谷に、
「やって、紅組と白組両方からケイサツが選ばれるやろ?
紅組のケイサツは、白組のドロボウだけを捕まえて紅組のドロボウを見逃す。
白組のケイサツも、紅組のドロボウだけを捕まえて白組のドロボウを見逃す。」
神谷は少しだけの間納得したような表情をするが、すぐに不安な顔をする。
「いや待って、それなら結局全員捕まるよな?」
ため息を付いた瀬崎は
「白組のドロボウは紅組のドロボウそっちのけで白組のドロボウだけを助ける。
紅組のドロボウも白組のドロボウそっちのけで紅組のドロボウだけを助ける。
つまりは両方に派遣することでちょうどバランスが取れるようになっている。」
「いや、それならケイサツの追加だけでええやん」
俺はそう思った。
「それなら白組が勝てへんやんか。
あくまで救済措置。それに勝者予想に大きく貢献するチャンスでもある。適当な理由じゃない。しっかり考えられての結果やねんこれは。」
「流石瀬崎さん………めっちゃ考えてる。」
「いやすげぇなぁ瀬崎さん。」
俺と神谷は本気で瀬崎の頭の回転の良さに感心していた。
「高橋。感心してないで作戦ターイム!
時間無いから異論も質問も受け付けへんから一回で聞きや?」
❃
「瀬崎と祐介が相手にいる………か。
神谷とか言うのも学級委員やったか?頭は悪くはないんやろうけど瀬崎や祐介ほどの悪知恵は無いやろな。」
紅組のケイサツは俺を含む3名。
白組も同じく3名。この6人は味方であり、敵だ。
白組である3組の捕獲に協力するとは考えられない。
ただ、3組のデブ軍団40人を捕獲するには3人で十分だと思う。
が、瀬崎や祐介が相手となるなら話は別だ。
アイツらの策略に掛からないようにだけ気をつけなければならない。
❃
「よーい、スタート!」
この学校の校庭は割と広い。
本部テントのすぐそこにある朝礼台付近が「牢屋」として指定されているようだがそれ以外のエリアが広いため、仮に「牢屋」の警備に各組1人しか使わなかったとしても、
紅組のドロボウvs白組のケイサツ、白組のドロボウvs紅組のケイサツで実質43対2の勝負が巻き起こることになる。
とはいえ、運動には向かない3組のメンツは続々と捕まって「牢屋」に入っていく。
開始5分で43人中の15人が牢屋に収まった。
紅組は捕まって、すぐ救出しての繰り返しで常に「牢屋」の中は0人を保っている。
制限時間は15分。
残り時間は10分
まずはあと7分。
俺はケイサツから捕まらない事だけを考えさせてもらう。
勝ちに行くのはその後。今はまだその時ではない。
❃
俺は今、紅組側の「牢屋」の番人役をしている。
「ハハハ………これなら勝ちは楽勝かなぁ」
俺の予想では祐介持ち前の悪知恵を使い、逃げ隠れするかと思ったデブ軍団は一切その気を見せずどんどん捕まっていく。
紅組は順調に守りきれている。
残り時間はあと8分。
この余裕を保ち続けて見せる。
❃
私は紅組の様子を見て少しヤバさを感じつつある。
どんどん人が逃げていく。
それを見た白組のケイサツは「牢屋」の警備そっちのけでどんどん捕まえに行くために全員総出で校庭を駆け回る。
少しずつ紅組のドロボウが捕まり始め、4人捕まった当たりで白組のケイサツは全員「牢屋」に戻った。
残り時間はあと5分。
白組のケイサツは動く様子を見せない。
作戦決行は2分後。
このままならうまくいく。
❃
俺達は紅組のケイサツにどんどん捕まってしまって、残り4分になった今はなんと43人中の25人が捕まる事態になった。
誰も運動神経がいい奴はクラスにいないし、白組の追加のドロボウ達は恐らく勝者予想で4組に投票していることだろう。
そんな時だ。
裏役者が現れたのは。
その時、残り時間は残り3分だった。
❃
残り3分。
俺達はもうそろそろ勝ちを確信していた頃だった。
祐介が両手を上げてこちらに向かって歩いてくる。
捕まったのだろう。
「なぁ■■、今の俺、お前にはどう映る?」
【祐介】あぁ〜無様やわ
【■■】ほんまにな。まぁ運動神経は策略じゃ補えんからここはお前の苦手分野やったと思って諦めろ
【祐介】まぁ、運動音痴にしてはよくやったか……