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奇策の裏役者  作者: masterpiece (村右衛門&モ虐)
<中学1年生--2学期>
8/18

第八話 「体育祭、見せるは波紋への前哨戦」

 

「えー、今日は、文字通り雲1つない晴天でぇ………」

 校長が朝礼台に乗ってマイクに向かって話している。


「あーだる」

 そういえば昨日の夜は、今日のことを考えると興奮して眠れなかった。


「おい祐介ぇー寝るなー!体育祭の開会の言葉で寝るやつとか聞いたことないし見たことないぞ!」

「おい■■。嘘は良くない」

「は?」


 キョトンとしている■■に「今寝てんの見たやろ」とだけ言って俺は再び眠る。



 ❃



 ーーー綱引き。


 ただの力比べでしか無いこの競技、周りのキャリー無しには俺の勝利はありえない競技だ。


 紅組と白組の参加者全員がぶつかり合うこの脳筋競技に勝てるのか、そう問われれば「味方次第」としか言えない。

 すでに俺がいる時点で白組はすでに人選ミスを犯しているのだが、これ以上の人選ミスが起きていた場合、どれほど高いポテンシャルを持つ人でもフォローが難しくなるだろう。



「「「せーのッ!!」」」



 暑苦しいというか、漢臭いというか、そんな声が運動場全体に響き渡る。

 確か参加してる半分ほどは女子だったはずだが、それを全て忘れさせるようなむさ苦しさだ。


 その力なのだろうか?あるいは紅組が人選ミスを犯したのか?

 何故かはわからないが圧勝できた。

 とりあえずいい仕事ができた。



 ❃



 ーーー大玉転がし。


 紅と白の直径5m程の大きな球があり、それを転がしながらリレーに使うトラックを走り回り、リレー形式で球を運び続ける。


 順調に球を運び、この競技もしっかり勝つことができた。

 まぁこの競技には俺は全く貢献していないが。



 ❃



「それでは、学年特殊枠の競技を発表しようと思います。」


 ついに来た。

 学年特殊枠。


 競技の勝利クラス、及び予想的中者が多いクラスには、学年末に開催される学年レクの内容を決めることができる権利を与えられる。


 競技内容は開催ギリギリまで秘匿され、生徒会本部メンバーと教師陣以外には開催までの間、投票時を含めなんの情報も明かされない。

 生徒会本部メンバーの参加、投票は不正防止のため原則禁止とし、完璧な徹底ぶりだったわけだが、瀬崎の盗聴というとんでもなく原始的な方法で情報を手に入れる事ができた。



「競技内容は………■■■■です。」



 頭が真っ白になった。

 知らない。こんな事知らねぇ………


「高橋ッ!神谷!」瀬崎が焦って話しかけて来てるが何を言ってるか内容が入ってこない。


「白組の抽選の結果は、1-2神谷、1-2瀬崎、1-2高橋となりました。

 運動場に集合してください。」


 意味がわからない。放送の内容はかろうじて理解できた。

 ただ、その内容に行き着いた経緯がわからない。



 ❃



 まずいまずい。

 2つの競技で負けて雰囲気が悪くなっている。

 学年特殊枠は1年から3年で順番に行われるため、ここで流れを作るべきなのは1年生………つまり(■■)達だ。



「それでは、学年特殊枠の競技を発表しようと思います。」



 もう何も怖くない。

 瀬崎からの情報で、4組の勝利は確実だと聞かされている。

 実際の得点に影響があるかと言われたら0だとしか答えられないが士気だけは上がるだろう…………多分。



「競技内容は………■■■■です。」



 …………………は?

 瀬崎が嘘をついたか?

 いや、生徒会が急遽予定を変更したか。


 やはりそうしたか。まぁあんなことをしたんだから当然といえば当然か。


 ただ、この競技なら勝ち目は3組にはないだろう。


「1-1■■となりました。運動場に集合してください。」


 そう信じて闘うしか無いだろう。



 ❃



「いいんですか会長?急に予定変更とか。」

「仕方ないやろ。1年の……何君やった?あの子が教えてくれへんかったら1-2組はセコい手ェ使ってボロ勝ちやってんから。

 当然の報い受けてもらわな。」

「確か、桐生君とかじゃないですかね?」

「そうそいつだ。」


 生徒会本部に昨日寄せられた情報。

「生徒会室の前で会議の内容を盗聴していた1-2が他のクラスを騙してセコい手を使って勝利を狙っている」と。


 急遽予定を変更し、そのセコい手を使わせない用に競技をパン食い競争から変更したのだ。


「それでは、学年特殊枠の競技を発表しようと思います。」

 僕は少しためらいながらも、

「競技内容は………ケイドロです。


 最後に牢屋にいる人数が少ないクラスの勝ちです。」


 その変更した後の内容で放送を行った。


「3組、4組の皆さんは全員ドロボウとして逃走していただきます。

 1組、2組からケイサツを派遣します。ついでにドロボウも数名派遣することとします。

 予想するだけで動かなくていいという考えをなくすためだそうです。」


 抽選を行い、ケイサツと追加のドロボウの名前を発表する。


「紅組の追加のドロボウは1-1田中、1-1山本、1-1■■となりました。

 運動場に集合してください。

 ………最後に白組の追加のドロボウです。

 白組の抽選の結果は、1-2神谷、1-2瀬崎、1-2高橋となりました。

 運動場に集合してください。」





【瀬崎】ケイドロとか懐かしいね〜

【美咲】小学生の時にやったねぇ

【瀬崎】なんかこう、朝礼台の上とか登り棒の中とかよく"牢屋"になってたよな

【美咲】あ、そうやね〜藤棚とかも……

【瀬崎】あ!そうやなそうやな!懐かし〜


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