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奇策の裏役者  作者: masterpiece (村右衛門&モ虐)
<中学1年生--2学期>
6/18

第六話 「裏切り、見せるは反乱の片鱗」

 

「「学年特殊枠の勝者予想、どうせどっちかが負けなあかんならさぁ、ボスを出し抜いて俺/私達が勝って一泡吹かせへん?」」 


 昨日瀬崎が持ちかけてきた話はまさに俺が考えていたことであり、とてもメリットのある話だった。


 学年特殊枠の勝敗を操作すると、負けて犯人探しが始まった場合マウスコムに矛先が向く可能性が高い。

 ということは、表立って動かない■■は犯人として見つかっても問題はないが、幹部としていろんな人間から情報を収集し集約する(予定の)瀬崎や俺はもし情報操作を行いクラスを負けに追いやった人物ともなれば今後の活動に大きく支障をきたすだろう。

 それも、クラス内にそこまで嗅ぎ回ることができる奴が居ればの話だが。


 それに、学年特殊枠で予想がうまく行った場合は学年レクで行う内容を決める権利がクラスに与えられる。

 そのメリットの為にクラス全体が血眼になって情報をさがしているところに競技の内容などの情報を渡せば確実に信頼度は高まる。



 俺はクラスの中に特段仲が良い奴はいない。

 が、特段仲が悪いやつもいない。

 誰とも普通の会話はできるぐらいの距離を保っている。

 それは学級委員のこいつにも言えることで、


「よぉ神谷!今日一人?一緒に学校行かへん?」

「おぉ高橋!いいよ。行こ!」


 そこそこの仲、それをキープするのはなかなか難しい。

 ただ最初にある程度存在を認知してもらうだけではヨッ友になりかねない。

 それを回避するためにある程度の頻度でその人物とある程度の関わりを用意する。

 自然な形で世間話をするだけで良い。


 最近見たニュースの話、流行ってるスマホゲームの話、広告でたまに見るクソゲーをやってみたら以外に奥が深くて面白かった話、ネッ友と付き合ってい(・・・・・・・・・・)た同級生が別れた話(・・・・・・・・・)………

 そうやって何気ない会話をして、コツコツ情報(ゴシップ)を集めつつ、情報網となる人物を逃さないのが俺のやり方だ。


 ただ、もう少し規模を拡大したい気はするが。


「なぁ神谷ぁ〜学級委員なら学年特殊枠の競技の中身って分ったりせーへんのぉ?」


「いやぁそれがさぁ………俺らは何も教えてもらえへんのよなぁ……」



「―――なぁ神谷、昨日生徒会室のすぐそばで会議を盗み聞きして内容知ってて、その上で1組を騙してうまいこと勝つ作戦まで用意してる、って言ったら乗るか?」



 ❃



 昨日―――


「瀬崎も俺も考えることは同じって訳か。

 まじめちゃんと組むのはなんか嫌やけど■■……いや、ボスに一泡吹かせられるなら頑張るわ。」

「私はそんなじゃないけどな?で、実は作戦を用意してまーす。」

「おぉ!どんな作戦?」


「まず、軽くルールの確認。学年特殊枠の競技は投票前に開示されない。

 投票終了後に競技内容の発表とルール説明。すぐに競技に移る」

「え?競技前に投票なん?」

「そうやで。だからこその作戦を立ててきた」


「ほほぉ……その作戦とやらを聞かせてもらおか」


「まず、今回の競技はパン食い競争です。

 普通に考えたら、何故か異様にデブが多くて給食も爆速で食べる3組が勝つよな?」


「まぁ普通に考えれば。

 4組確か『食い終わるのギリギリやわー』みたいな感じやったしな」


「だからウチのクラスには真実を伝えた上で3組に投票させる。

 やけど、ボスには『今回の競技は学年特殊枠としては異例の徒競走の可能性がある。

 その場合早く走れる人が多い4組が圧倒的有利やと思う。この勝ちは譲る』とだけ言う。

 1組に真実を伝えないように口止めはするけど」


「そんな作戦うまく行かへんって………

 よく考えろよ。全員が3組に投票するように仕向けるためには当然全員に作戦を伝えなあかん。その上で1組に作戦を一切漏らさへん必要がある。

 1組の友達がいるとかで情報を漏らすいい子ちゃんがいたらどうすんの?」


「それは私にいい考えがあるから大丈夫。」



 ❃



「そんな作戦………」


「なかなかおもろいやろ?」


 俺が作戦を説明するだけで、神谷は勝手に俺が考えた作戦だと勘違いしてくれる。

 どう間違っても瀬崎 佳奈(まじめちゃん)が考えたなんて思わないだろう。


「なぁ、瀬崎さんとかあーゆー系の人どうすんの?」


 オブラートに包まれた言葉を直訳すると、

「いいこちゃんが他のクラスに喋って本当のことをバラしちゃったりするんじゃねぇの?」

 的なこと言っている。


 瀬崎は表では性格いいキャラで売ってるらしいが、まだ知り合って間もない俺でもわかるぐらいには瀬崎は性格がクソだ。

 神谷は当然ながらそんなことを知らない訳で、彼のそのセリフもマウスコムに入る前なら納得できただろう。


 ただ、2学期が始まるまでにした雑談や、昨日の放課後の作戦会議で瀬崎の腹黒さはめちゃくちゃ理解してしまっている。

「あーそれやけど。それはこっちで策考えてるから大丈夫。」


「まぁ……そういうことなら………」


「じゃ、学年特殊枠の勝者予想に勝つための作戦、やりますか!」




【神谷】そういえば広告でよく見るピン抜くゲームやってみたんやけどさ、

【祐介】あぁ、あのお宝取るやつね。俺もたまに見るわ〜

【神谷】あれ、あのミニゲームはおまけでメインは普通のソシャゲやった

【祐介】え!?そうなんや……


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