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奇策の裏役者  作者: masterpiece (村右衛門&モ虐)
<中学1年生--2学期>
4/18

第四話「賭け事、見せるは情報の駆け引き」

 

 マウスコム結成から1週間と3日が経過し、夏休みも終わった。

 憂鬱な学校生活が帰ってきて、行事満載の2学期もやってきた。

 体育祭、合唱コンクール………いやよく考えたらそれだけやわ。

 そう思うもののその両方が1つ1つキツい放課後練習や、行事頑張ろうぜ系の陽キャや、自分の運動のできなさや、俺が困る事が多すぎる。

 俺は2学期全部サボろうかなと思う気持ちを押し殺してなんとか学校にやってきた。


 そして、俺達が通っている関西倉北中学校は、体育祭の形式がかなり変わっている。


 いくつかある体育祭の競技の中で、学年特殊枠と言われる競技が毎年1つ存在する。

 各学年は4クラスで構成されているが、

 学年特殊枠の競技に参加するのはそのうちの2クラスのみ。

 競技に出場しない残りの2クラスの全員は、体育祭の競技でどちらが勝つかを予想し、予想が当たった人数分のポイントが各クラスに加算される。


 競技で勝ったクラスと、勝者予想でより高いポイントを取れたクラスの計2クラスには、学年末に行われる学年レクリエーションで何を行うかを決めることができる。


 この学年レクリエーション、2日間にわたり、各学年1日2時間ずつ開催され、1日ずつ各クラスが自由に(とは言っても学校でできる範囲内という制約があるが)内容を決めることが可能ということもあり、関西倉北中学校の学生にとってかなり体育祭の勝敗は重要なものなのである。


 夏休みも明けて、体育祭に向けて頑張ろう!

 的なムードが広がりつつある1年2組の教室で、今日の話題は体育祭の参加クラスの抽選が行われる日だ。

 そして俺はただ一つのことを願っていた。




 どうか競技参加組に選ばれませんように!!



 本気で俺は祈っていた。

 俺は運動は苦手で、やりたくない。


 この枠の競技は、始まるまですべての情報が生徒会によって秘匿され、ぶっつけ本番で行わなければならない。

 俺としては参加する競技が少しでも少ない方が良いし、生徒会から情報を入手できれば予想はかなり楽になるだろう。


 まぁ、競技に参加と言っても借りもの競争やパン食い競争みたいな簡単なものだがプレッシャーというものからは逃れられないものである。


 ただ、今祈っていてもどうしようもない。

 10分後、体育館で生徒会長がガラガラ抽選機で各学年の出場クラスを決めるのだ。


「ほら、高橋く〜ん?移動せなあかんしそろそろ出て〜?

 私鍵閉めなあかんし」

「あ、ごめん。」


 瀬崎が教室の鍵を持って、教室の電気を消しながら俺に声を掛ける。

 マウスコムの活動はあくまで秘匿するつもりだ。

 俺と瀬崎は表では関わりのない2人であるように演出しなければならない。


 さっさと教室を出て俺は体育館に向かう。

 別にどこに座らなければならないという決まりは無いため、とりあえず適当に座ることにする。

 すると■■が俺の隣に座ってきた。


「2組として………いや、祐介としては勝者予想組に回りたい感じか?」

「まぁそやなぁ……俺、■■も知っての通りの運動神経してるからなぁ」


 ■■に完全に読まれている。

 まぁ運動できない面倒臭がりがどんな事考えるかと言われればたしかにこの答えになるだろう。


 右斜め後ろから、優等生(まじめちゃん)の声が聞こえてくる


「あ、ここらへん空いてるやん。

 あ〜でも1つだけかぁ………もう時間無いし………

 ごめんみさっちゃん、一旦分かれてあっち座っといて!

 一緒に見るって約束してたけど無理そうやし、今モタモタしてたら遅れそうやわ!」


 瀬崎は何をしてるんだろうか。

 みさっちゃんと呼ばれた女子は気づいていないのだろうが俺の視線の左斜め前にある席には2つ並んだ空きがある。

 が、どうやら瀬崎が「あそこ空いてる」と指した席の隣に"みさっちゃん"と仲の良い友達がいたようだ。

「あ、みさっちゃんこっち空いてるで〜」

「あぁ!里奈ちゃん!今行くー」

 彼女はそこに座り、里奈、と呼ばれたその女子と話し始めた。


 瀬崎の一番近くにある空きといえば俺の横だ。俺の左隣にいるのは■■であることからマウスコムのメンバー(・・・・・・・・・・)で並びたいだけ(・・・・・・・)なのは明確だった。

 おそらく初仕事に関わる重要な情報をみんなで同時に知りたいのだろう。


「なぁ高橋、賭けやらへん?」

「果たして1年2組は俺の望み通り勝者予想組に回るのか、或いは俺の望まない結末として競技参加組に回るか、で賭けってことか? やったら、負けた方は勝った方に無条件でなにか情報をプレゼント。それでどう?」

 俺は即座に条件を提示する。


「え?賭け?」

 キョトンとしてる■■は放って置いて瀬崎は

「じゃあ私は高橋が不幸にも競技参加組に選ばれると予想しまーす!」

「俺は勝者予想組になる。そう信じとく。」


「え?俺無視?

 うーん………じゃあ祐介は勝者予想組になると予想しとこかなぁ」


 そして、体育館のステージに備え付けられている大きなスピーカーから声が響く。

「それでは只今より抽選を行います。

 このガラガラから出てきたボールに書かれた数字の組が競技に参加していただくクラスになります。

 それでは1年生から回します。」



 運命の抽選が始まった。




【瀬崎】いやぁ、私達が不幸にも競技参加組になる………私はそう思うよ。

【祐介】いや、お前の場合競技参加組にななれたらめちゃくちゃ嬉しいやろ

【瀬崎】あ、バレた?

【祐介】バレバレだよ!何ドヤ顔してんだよ!


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