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74話 打ち合わせ

「良い案思いついた! どうせもうすぐ変身して出し物の当番するんだし、今変身しちゃえばいいんだ!」

「それなら服とか関係ないですし、乾くまでの時間を稼げそうですね」


 父さんにメールで伝えてみたが、文化祭関係で安全に使う分なら許可が降りたので、峰山さんは早速ランストを装備してカードをセットする。


[エンジェル レベル1 ready……]


 いつもの天使の鎧を纏い、純白の鎧のおかげで透けた下着を隠すことができる。


「これ生人さんも変身してクラスの出し物を宣伝しながら戻りませんか?」


 さぁ戻ろうとしたが、峰山さんから一つ提案を持ちかけられる。


「そっちの方が良いかもね。よし! じゃあ僕も変身!」


[ラスティー レベル1 ready……]


 僕もいつもの鎧を纏う。安心感のある配信で何十回も映っている鎧だ。

 それから僕達は周りの人達に僕らのクラスの出し物を宣伝しながら、使わせてもらっている展示品が飾られている教室に向かう。

 道中周りの人達から写真を撮られたり、サインを求められたので、僕達はそれらに快く対応して時間ちょうどに出し物がある教室に着く。


「あれ? 生人くんに寧々ちゃんもう変身してるじゃん」


 僕達と交代になる岩永さんが近寄ってきて話しかけてくる。


「ちょっと色々ありまして。それより展示の方はどうですか?」

「いやー大盛況だよ。これも寧々ちゃんと生人くんのネームバリューのおかげかな?」


 確かにかなり多くの人が集まっており、他校の文化祭は見たことないが、僕のような素人目から見てもかなり人が集まっている方だと分かる。


「それじゃあウチは友達と回ってくるから二人ともよろしくね!」


 岩永さんに後を託され、僕達はクラスの出し物の運営に回る。

 教室の中は僕達が作った物がズラリと並んでおり、僕と晴人が作ったエンジェルマンティスアーマーの像もある。

 それだけでなく、峰山さんと岩永さんが作ってくれたラスティーホッパーアーマーの像や、僕が峰山さんと一緒に作ったサタン生態図鑑などがある。


「改めて見てみますと……自分の姿があるって結構恥ずかしいですね……」

「そう? 僕はみんなに認めてもらえているようで嬉しいけどな。それよりお客さんも来てるからファンサービスしとかないと!」


 恥ずかしがってても仕方ないので、来てくれた人達に展示している物への解説や、僕のファンに対してはサインや写真を撮ったりをしてあげて、そうしているうちに気づけば数時間は経過していく。

 

「あっ! 僕そろそろ時間だから離れるね」

「そういえば用事があるとか言ってましたね。結局あれは何の用だったんですか?」

「えーとそれは……きっとそのうち分かると思うよ! それじゃ!」


 椎葉さんからライブの直前打ち合わせの件で呼ばれていたが、そのことはサプライズ登場の都合上言えない。

 僕は嘘をつくのが下手なので、勢いで誤魔化して変身を解除して教室を飛び出し椎葉さんが待っている場所まで向かう。


「あ! 生人くん時間ぴったりだね!」


 誰も使わない、誰も来ない空き教室で椎葉さんが椅子にもたれて待ってくれていた。


「それで直前の打ち合わせって何するの?」

「とりあえずあれを見てくれるかな」


 僕は指差された窓の外を見る。

 ここは五階なのですぐそばの広い運動場がよく見える。


[マシンガンモード]


「今年も花火ショーやるぞぉぉ!! これが自分の新作だぁぁぁ!!」


 田所さんが変身した状態で、空に向け改造された銃を撃つ。

 あれはつい先日自慢げに話していた、美咲さんに作ってもらった元々の武器をベースにした花火専用銃だ。

 基本的なモードチェンジに加え、光弾ではなくランダムな色の花火が射出されるようになっているらしい。


「うぉぉぉ!! 何だあれ!?」

「頭がおかしい人がいるぞ!!」


 彩りのある花火は大盛況だったが、果たしてあれは本当に許可を取っているのだろうか?

 正直言って美咲さんや田所さんは結構悪ふざけをする方だ。何だか少し心配になってきた。


「花火綺麗だね」

「いやごめんそっちじゃなくてあっちのステージの方を見てもらいたかったんだ」


 椎葉さんが田所さんの奇行に苦笑いを浮かべながら、僕の顔を掴みグイッと視線を動かす。

 そっちには今回の文化祭のためだけに設置された特設のライブ用ステージがあり、急遽作ったものだが出来栄えは中々だ。


「この前言った指定のセリフの時にスモークが出ることになってるから、そのタイミングでスモークを突っ切るように出てきて欲しいんだ」

「前の海でのライブみたいな感じで?」

「そうそう! 覚えててくれたんだね嬉しいな」


 沈み始めている太陽の光がちょうど彼女の笑顔を照らし、それがこの空間に僕と彼女しかいないということを意識させる。


「じゃ、最後に君が担当する曲の確認でもしようか。ライブは夜の最後にあるからまだ時間はあるし」


 そうして別に特段何かが起こるわけでもなく、僕が出るライブの確認などをして時間を潰すのであった。

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