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6話 絶望の中にも (キュリア視点)

「あの二人もか……おい美咲!! 一体何がどうなってるんだ!!」


 訳の分からないことの連続。昏睡状態の三人に死んだと告げられた生人の件。自然と語気が強まり瞳には燃え盛る炎が宿る。


「私にも限られたことしか分からない。ただ今の寧々君の状態には見覚えがある。私の復活システムだ」


 今考えてみれば確かに黒い稲妻と、美咲が復活する際のゲートには同じ雰囲気を感じる。


「あれの延長線上と考えれば、これは生き物の本質、魂を別空間に移動させている可能性が高い」

 

 美咲は寧々に突き刺さっている稲妻を割れた窓ガラスを用いて抜こうとするが、触れた瞬間に手が弾かれる。


「やはり物理的な切除は不可能か……これは元凶をどうにかしないといけないみたいだね」


「いやそれより今外にいる人達をどうにかしねぇと!!」


 そうは言いつつもオレは外から聞こえる音が静かになったことに気が付く。見てみればサタンの姿がなくなっている。先程までのことが嘘みたいだったがそれが誤りであることは地面に転がる稲妻に刺された人達が証明している。


「サタンが消えた……?」


 オレが頭を出し辺りを見渡す間椎葉がここであったことを美咲に事細かに伝える。


「なるほど……恐らく元凶の二人組の女の子の方に異常が起きて、もう片方がその対処に当たるせいでサタンを動かせないといったところか」


「でもどうする? オレの力でも正直倒せる気配がなかった。男の方は強いしガキの方はどれだけ傷を負ってもすぐ治りやがる」


 いま戦えるのはこの場の三人のみ。あの二人に加えまたいつ出現するか分からないサタン。とてもじゃないが対応できない。


「それとまた悪い知らせですまないが、どうやら死人が、田所君の親友や真太郎君の妹が生き返ってサタン同様に暴れていた」


「愛花ちゃんが……!?」


 椎葉が誰でも分かるレベルで動揺し瞳孔を大きく開かせる。

 自分の体の元の持ち主。本来ありえるはずがないが、魂をコントロールしてるとしたらそれもありえなくはない。


「今は恐らく消えているが、またいつ現れるか……うん? 電話?」


 美咲のスマホが音を鳴らしその相手を見て彼女は顔を強張らせる。通話先は須藤という生人と共にエジプトに行った男だ。美咲はスピーカーにして通話を始める。


「み、美咲さん!! 大変です!! 生人隊長が……生人隊長が何者かに乗っ取られました!!」


 そうしてオレ達はこの事件の真相へと迫っていくのだった。

 彼の話によると遺跡の棺桶からモルスと思われる少女が出てきて生人と戦闘となり、外で民間人を避難させていると中からモルスと長身の男が出てきて例の稲妻をばら撒きインフラをめちゃくちゃにしていったらしい。

 去り際に見たらしいのだが、モルスが生人を持ち運んでいて、生人を取り込んだ後彼の体に変化したそうだ。


 どういうことだ……? モルスも寄生虫なのか? でもあいつ自身からはそんな気配感じ取れなかった。でも男の方は間違いなく寄生虫だ。ならあいつがモルスを造り出したとかそんなところか?

 

 いくら考えても答えは出ようもない。それにこういうのは美咲の専門分野だ。オレがやることではない。オレがやるのは体を動かすことだ。


「美咲。何を調べようにもまずはデータ収集だよな? それにいつまたサタンが襲ってくるか分からない。オレにはこういうのがあってるよな?」


 オレは生人にエックスとして会って来いと言われた際に貰ったランストを手に持つ。


「あぁ。こっちからも何か必要があれば連絡する。その際はランストのビデオ通話機能で頼む」


「おっけー!」


 オレは首をポキポキと鳴らして窓際に立つ。雨と風がオレの体を包み込むがそんなものでは今のオレの熱意は抑えられない。


「さぁ! ヒーローの出番だ!」


 オレは窓から飛び降りてヒーローとしての使命を果たしにいくのだった。

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