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3話 主人公の帰還(キュリア視点)

 焚かれる数多のフラッシュに耳に入るシャッター音。オレが運んだアセットの場所に椎葉ことアイが宣伝する化粧品を手に持ち被写体となる。


「はい撮影終了でーす! お疲れ様ー!」


 撮影が終わりオレは手筈通り片付けを始める。


「ありがとねキュリアくん!! おかげでいい撮影になったよ!!」


 撮影用の衣装のまま片付け中のオレにいつもより高い声で話しかけてくる。


「ん~そうだな……」


「どうしたの元気ないじゃん! あっ……生人くんがいないからか」


 生人は少し前にエジプトにある遺跡の調査に向かっており、その間ずっと会えず一緒にゲームをできていない。

 だからか寂しさやストレスが溜まってきており最近は元気が出ない。それでもオレの力は人間とは比にならないほど強いため今日も峰山グループの仕事をこうして手伝っていた。


「生人さんならもうすぐ帰ってくるらしいですよ」


 肩を落とし落ち込んでいるオレの耳に朗報が入ってくる。スーツ姿の寧々がオレに生人とのメッセージのやり取りを見せてくれる。

 それによるともう空港に着いたらしくあと数時間後に峰山グループの本社のビルに来るそうだ。


「よっしゃ! じゃあ今すぐ……」


「こら。まずは片付けでしょ?」


 外に飛び出そうとしたが服の裾を寧々に掴まれ引き戻される。オレは今すぐにも空港の方へ飛んで行きたかったが、約束は約束なので渋々片付けを続ける。数十分後にはそれも終わり、三人で高級車に乗って部下の男に運転を任せて本社のビルに向かう。


「ちょっと止まってください!!」


 空いている道を走る中寧々が突然車を止めさせる。急ブレーキが踏まれたため後部座席にいたオレと椎葉は前に放り出されるようにして頭をぶつける。


「痛たた……もうなに寧々ちゃん? UFOでも見つけたの?」


「いえ……あそこに生人さんが……」


 寧々が指差した方向には横断歩道を渡ろうとする生人の姿があった。何を考えているのか虚ろな瞳で心ここにあらずといった様子だ。


「どうしたんだあいつ……ちょっと様子見てくるわ」


 オレは制止を振り切り虫の姿となり車の上に出てから人間態に戻り、そこから反対車線を跳び越えて生人のすぐそばに着地する。


「ひっ……」


 オレが勢いよく音を立て着地すると生人はまるで女の子のような声を漏らし驚く。そこには若干の怯えも含まれておりなんというか生人らしくない。だが姿形は完全に生人だし、虫の力で感知してみたが気配は生人のそれだ。


「びっくりした……キュリアか。驚かせないでよ」


 いつもの声色になっている。先程の違和感など嘘みたいだ。今目の前にいるのは間違いなくオレの最高のライバルであり親友の彼だ。


「今寧々と椎葉と一緒にビルに向かう途中だったんだよ。お前も乗ってけよ」


「う、うん……そうさせてもらうよ」


 いつもなら明るく返事をするところだが、今日のこいつはどこか辛気臭い。

 だが長旅で疲れたのだろうと結論を出しオレは生人と一緒に車に戻る。


「やっほー生人くん久しぶり! エジプトどうだった?」


「すごかったよ。ピラミッドやスフィンクスは絶景だったし……」


 車に入りオレ達は生人からお土産話を聞いていた。そうこうしないうちにビルまで着きオレ達は車から降りようとする。


「うわっ!!」


 しかしその際に生人が足を車の縁に引っ掛けてしまい顔から地面に落ちる。


「大丈夫ですか!?」


 すぐさま寧々が生人の手を取り立ち上がらせる。


「ありがとう峰山さん」


「なぁ大丈夫かお前? 体調でも悪いのか?」


 普段とは異なり鈍くさい生人に一抹の不安を覚える。オレ達寄生虫は自分達でも身体構造を完璧に把握できていない。未知の病気を患っている可能性もある。


「大丈夫だから……とにかく話の続きは中で……」


 心配は拭えないが、オレ達四人はエレベーターを使いビルの高層階の一室に、広い応接間に入る。

 だだっ広い部屋にオレ達だけ。快適な空間に来てオレは早速ソファーにダイブする。


 こっそりとダイアを装着しながら。


「なぁ寧々。椎葉。お前らもオレと一緒の考え?」


「そうですね……」


「やっぱりおかしいよね。今日の生人くん」


 二人ともランストを装着し、オレは手を突き出しソファーから跳び上がり生人の眼前まで迫る。


「えっ……な、何?」


「お前……誰だ?」

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