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最終話 新たな物語の幕開け


 記者会見の控え室。会見会場の方には記者が詰めておりざわつきがこちらまで伝わってくる。

 今この場にはボクと峰山さんと風斗さんがいる。DOのメンバーで会見を開くためだ。椎葉さんと田所さんは一度除名されてまだ正式には戻っていない関係上来ていない。

 しかし美咲さん含めてみんなこの会見を見てくれているだろう。


「大丈夫ですか生人さん? きっとこの会見では……」

「分かってる。きっと責められるだろうし、ボクが寄生虫だっていう点も言及されると思う。でも今日そんな時のために色々決めてきたんだし、きっとなんとかなるよ!」


 この日、世間を納得させるためにボク達は色々手を回してきた。

 その中には智成さんが残した遺言にあった案も採用した。あの人は負けたことを考えてその場合にボク達がより効率良く世界中の人々を助けられる術を書き残してくれていた。

 そのための証拠やデータなども一緒に。


「もうすぐ始まるぞ。準備はいいか二人とも?」

「うん!」

「はい」


 そうしてボク達は会場に出てマイクの前の席に座る。途端にシャッター音が鳴り響き、数多のフラッシュが焚かれる。

 

「まず、DO元指揮官寄元遊生氏が隠蔽していた事実。そして今監視処分に置かれている安寺美咲氏と、先日亡くなりました安寺智成氏の非合法な実験の数々。

 この度はその全てを謝罪致します」

  

 風斗さんが頭を下げるのと同時に更にシャッター音は増え、同時に怒鳴りつけるように記者達から質問が飛んでくる。


「大体今回はDOの不手際でこんな凄惨な事件が起きたんだ! 謝罪だけで済むと思っているのか!」

「そこの寄元生人氏も寄生虫な上あの遊生の息子なんだろ! このまま表に立たせておいていいのか!」


 酷い言葉が投げつけられるが、それは至極真っ当な正論だ。


「ボクは今日をもちまして、人間としての権利を全て放棄します」


 打ち合わせ通りの言葉を述べ、辺りが一度静まった後ざわめき出す。


「ボクは今日から一人の人間ではなく、DO所有の……いわば警察犬やAIロボットのような扱いになります。

 これからは民間の皆様の平和を守るためにDOの管理の元で動かせてもらいます」

「そこでわたくしからも一つ発表があります。今日をもちましてわたくし、峰山寧々はDOを脱退して峰山グループの社長に就任します」


 これも全て台本通り。峰山さんは今日をもってDOを辞める。自分の進むべき道を、より多くの人を助けられる道を進むために。


「そして峰山グループは数ヶ月前に発覚した不祥事を反省し、これからは新体制の元、風斗真太郎氏の率いる新生DOに協力していく予定です」


 それからはこれからのDOの方針を述べていくが、ボクの自己犠牲的な決断とこれから清廉潔白にいくDOと峰山グループの判断。

 これにより責める声は半分以下になり、スムーズに話は進む。

 そして台本の言葉を全て述べ会見が終わろうとする。


「そして一つ最後に言わせてください」

「生人……?」


 だがボクは最後にこれだけは言っておかなければと思い口を開いてしまう。

 本来予定にはない発言に二人は驚くがボクはそれでも続ける。言わなければという義務感に襲われる。


「ボクは確かに罪を犯しました。それを否定もしませんし、それは紛れもない事実です。

 ですがボクはなんと言われようとも、みんなの笑顔を守るためにヒーローとして戦い続けます。

 困った時や辛い時はボクが助けに行きます。だからこの世界にはヒーローがいるということを忘れないでください」


 この世界にはボクというヒーローがいる。仲間達と一緒に成長し、本物のヒーローとなれたボクが。

 そして智成さんの意志を受け継ぎ世界を平和にするべく決意したボクが。


 これからの道は果てしなく辛く、困難なものになるのは目に見えている。

 だがそれでもボクは諦めない。戦い続ける。前に進み続ける。この道を。

 ボクの物語はまだ始まったばかりなのだから。

最後に智成が使ったカードなどの設定解説と後日談が少しあるのでお楽しみに

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