表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

182/216

174話 ラスボス降臨


「父さん……何故ここに? いやそれよりもどうして遊生を抱えている!?」


 突如として現れた父親の姿。そして先程まで目の前に居たはずのティオを抱える彼。

 今まで情報を巧みに操り上に立っていた彼女がそこから突き落とされ激しく動揺する。


「この世界を救うためだ……ワタシは楽園を創造し、もう二度とこんな過ちが起きないように正す」

「ぐっ……智成テメェ……オレに隠れて何を作ってやがった!?」


 ティオが血反吐を吐きながらも反抗の意を示し智成さんを睨みつける。


「楽園を作るための装置……さ。そしてキミはもう用済みだ。キミのような害虫は駆除するに限る」

「うっ……!!?」


 智成さんの手がティオの胸に深々と突き刺さる。

 そしてティオがどんどんと萎んでいき、引き抜かれた手の上には赤黒く光る輪郭がボヤけた物体が浮かぶ。


「そしてワタシが……楽園を創造する神だ」


 その光を飲み込んだ途端全身に寄生虫が体内にいるかのような模様が浮かび上がる。瞳が神々しくも不気味に光り、大気が揺れ動く。


「変身……」


 そしてランストを取り出し、装着してからそこに一枚のカードを挿入する。


[parasite…… stage finale]


 辺りの大気を吸い込み、神秘的で神々しい光を纏い智成さんは赤と金色の装飾が施された鎧を身につける。


「何か分からないがみんな変身しろ! 今の父さんは敵だ!!」


 みんな彼の行動について何も理解できなかったが、命の危険が迫っていることは肌で感じていたので迷わず変身する。


[open……キュリシティ レベル35]

[complete…… レベル80 armed……ホッパー レベル100]

[スーツカード エンジェル レベル1 ready…… アーマーカード ヴァルキリー レベル50 start up……]

[スーツカード ホルスター レベル20 ready…… アーマーカード スパイダーバイクアルファ レベル55 start up……]


 みんな鎧を身に纏い、ボクは即座に倒れた椎葉さんを安全な場所に一瞬で移動させる。その間智成さんは待ってくれて動きすらしない。

 運び終わったあたりで緊張が高まる中、風斗さんが剣の切先を向けながら問いかける。


「智成さん……何故あなたがランストを持っているのですか? それと楽園とは何なんですか?」

「そうだな……ワタシとしたことが説明を省いてしまった。キミ達には知る権利がある。話そうか」


 その場にあった丁度良い高さの岩に腰掛け、彼は戦闘の意を見せず言葉を進める。


「ワタシの今完成したこの鎧は楽園へ行くための切符といったところだ。

 そして楽園についてだが……キミ達は全ての不幸が存在しない、因果が全て管理された世界というものを考えてみたことはあるかい?」


 つまり言いたいことは、あらゆる不幸が起こらず全ての生物が幸せに暮らせる世界といったところだろうか?


「ワタシはその世界を楽園を名付けた。そしてワタシは創るのだ、楽園を。そのためにこの世界と大多数の人間に犠牲になってもらう」


 智成さんは対話を止め立ち上がる。

 ボク達全員が一斉に構える。剣や銃に斧にミサイルを彼に合わせる。いつどこからでも攻撃できるようにする。


「まずはこの状態でも作動するか確かめるか……」


 智成さんは左手を宙でスライドさせる。するとそこに五つの円状のボタンが出現する。まるでホログラムのように映し出されたそれらのうち中央のボタンに手を伸ばす。


「何かするぞ! みんな気をつけろ!」


 風斗さんが叫ぶのと同時に各々次の行動に移っていた。

 ボクは彼の正面に走って向かい、峰山さんはミサイルを発射する。

 田所さんは銃を撃ち美咲さんはボクの援護に入る。

 風斗さんも少し遅れて大剣を持ち上げ美咲さんの後に続く。


 何をしようが崩せそうにない布陣。

 だがこれは一瞬にして瓦解することになる。


 ボクの体に衝撃が走り大きく後ろに後退させられる。

 動きが一切見えなかった。だがそんな動揺周りの被害を見れば簡単に掻き消される。


 峰山さんが木に叩きつけられる。風斗さんが宙を舞った後地面に激突する。田所さんが爆風に包まれる。

 そして美咲さんの頭が吹き飛び消滅する。


 変身が解けていないのはボクだけ。美咲さんはすぐにゲートを潜って帰ってきて復活するが、彼女もボク同様何が起こったのか分かっていないようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ