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165話 人殺し


「ゲホッ……!! だ、大丈夫ですか生人さん!! 変身が……それに体が!!」


 あの爆風に巻き込まれてボクは変身が解除されてしまい、更には峰山さんに覆い被さるように庇ったので特に背中にダメージを負ってしまい、背骨が露出して肉が焼き焦げている。


「これくらいじゃ死にはしないけど、再生までにかなりかかりそう……」


 周りを見るにキュリアは無事そうだったが、美咲さんと風斗さんは多少ダメージをくらってしまっている。峰山さんもだ。


「ちっ……C4か? いや寄生虫関連で威力を増強させた特殊なものか……?」

「考察している場合じゃないだろ……おい! 動けるやつは周りを警戒しろ! これだけじゃ終わりじゃないはずだ!」


 ボクもこの体でもやれることを探し、視力を上げて辺りを見渡す。


「風斗さん後ろ!!」


 丘の上に光るものを発見し、それが田所さんの持っている銃だと気づく。

 ボクの声のおかげで風斗さんも発射される前にそれに気がつきギリギリのところで弾を回避する。


「あらら〜気づかれちゃったか」


 丘の上からこちらまで崖をタイヤを走らせ下る。

 その後ろからは変身済みの椎葉さんも現れ俯きながらもこちらに明確な殺意を向けてくる。


「さっ、愛ちゃん。あれを使うんだ! 遊生のために時間稼ぎしなくちゃ!」


 あれとは何か問い質したかったが、今は再生に集中しなければならないのでそっちに尽力する。

 どちらかが動けば激しい戦闘が始まるこの緊迫した状況下で真っ先に動いたのは椎葉さんだ。

 謎の黒い球体を取り出し、そこに三枚のカードを捩じ込む。カードは吸収されるように飲み込まれていき、球体が怪しく光り割れたかと思うとそこから三体の見覚えのあるサタンが飛び出す。

 最近戦った妙に強かったサタン達だ。三種の動物が混ざった奴に、武者の鎧を着た奴。そして体に縦半分に亀裂が入りそれに沿って色が分かれている奴。


「ちっ……遊生も随分と皮肉な発明をしたな……」


 美咲さんの舌打ちと共に戦いの幕が開く。

 サタン三体は峰山さんがなんとか抑え、田所さんはキュリアが、椎葉さんは美咲さんと風斗さんで抑える。


「椎葉さん……何でこんなことするの!? サタンを操って悪さして……人を苦しめて……殺して……!! そんなことしたかったんじゃないでしょ!?」


 傷の再生に集中するべきなのだが、苦しそうに戦う椎葉さんを見ていると自分を抑えられなくなりつい声を荒げてしまう。

 その発言にピクリと反応し動きを止めてこちらの方を鎧の仮面についた黒く禍々しい瞳で見つめる。


「生人くんだって……生人くんだって人を殺してるくせに!! キミがアタシにとやかく言う資格なんてないでしょ!!」

「確かにそうだけど……ボクはそれを償うために戦っているんだ……だから椎葉さんもこっちに戻ってきてよ!」


 美咲さんと風斗さんはこの状況で攻撃するわけにもいかず、彼女が喋り終わるのを待つ。

 実際それにより傷の再生の時間稼ぎになるのでありがたい。

 だがそれを理解しつつも彼女は気持ちを制御できずに言葉を続ける。


「そのことじゃないよ……美咲さんと決着をつけたあの日からの……少し前から出現し始めたサタンのことだよ!!」

「ま、待て愛君!!」


 静止していた美咲さんが動き出し椎葉さんの口を塞ごうとするが、一対一では何もできず払われ殴り飛ばされてしまう。


「大丈夫か!!」


 風斗さんは追撃の拳を剣で受け止め、美咲さんを掴み上げて一旦退避する。


「あのサタンは……元々人間だったんだよ」

「えっ……そんな……」


 サタンの由来が寄生虫によるものなのだからその話にも信憑生が十分にある。ということは今まで戦ってきた内の数体は元人間だったのだろうか?

 そんな事実がボクの再生のスピードを緩めてしまう。


「ねぇ……葵ちゃんって覚えてるよね? 生人くんの先輩のバレー部のあの子」

「覚えているよ。確かまだ行方不明に……まさか!?」


 ボクはある一つの真実に辿り着いてしまう。

 一部のサタンが元人間だという情報。最近のあの異質なサタン達。そして三月に戦った奇妙なサタンが出現したのとほぼ同時に行方不明になった日向先輩。

 ボクが殺したあのサタンは日向先輩だったのではないか?


「山で戦ったあのサタン……生人くんが燃やして殺したあいつは葵ちゃんだったのよ!!」


作者が交通事故にあったので更新遅れるかもしれません

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