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159話 容赦のない一撃


[armed……バット レベル100]

[スキルカード ショット]


「このドラゴンは好きなように動かしてくれ!」


 鎧から蝙蝠の翼を生やし、ボクはドラゴンから飛び降りてそのまま翼を展開させてカラスの大群の中を飛び回る。

 襲いかかる数多の嘴ではボクの鎧を傷つけることなどできない。次々とカラスを殴り倒しカードに変えていく。


 一方キュリアの方は槍の先に風の弾丸を纏わせてそれを突きによって速度を乗せて放つ。

 それにはドラゴンによる加速も乗っており、避けようとしても空いた方の手から出される乱気流により飛行が制御できずそれも叶わない。


 ボク達二人の猛攻に大群だったカラス達はみるみるうちに数を減らしていく。

 一分もすれば大多数のカラスがカードと化し、最後にボク達は息ぴったりにカードを挿入する。


[必殺 マッハスピン]

[必殺 テンペストランス]


 キュリアが放つ災害級の嵐を纏い、ボクの回転で威力を増加させながら残りのカラスを蹴散らしていく。

 圧倒的な速さと威力。カラス達は一匹残らず倒され、犠牲者を一人も出さずにサタンを殲滅する。


 やはりキュリアは強いし、同じ寄生虫なだけあって思考速度もボク同等に速くこのように事前に何も話し合ってないのに動きを合わせられる。

 もし彼がティオを倒すのに協力してくれるのなら大変心強い。

 ボクと彼の二人なら確実にティオを逃すことなく倒せるだろう。


「やっぱりオレは生人……お前に協力する。差を改めて感じたぜ。

 さっさと邪魔な遊生達を倒して、強くなったオレと戦ってもらうからな!」

「分かってるよ。もちろん負ける気はないけどね!」


 キュリア程ではないが、ボクも相当な負けず嫌いだ。

 今までは敵として接していたからこんな楽しみという感情を抱けなかったが、友として組み手をするのならまた別だ。

 ボクとしても共通点が多く波長が合う彼とはこれからは仲良くしたい。


 お互いに打ち解けて良くなった雰囲気はお婆さんがいた部屋が爆発する音によって掻き消される。


「ぐぁっ!!」


 美咲さんが変身した状態でお婆さんを抱えて、爆風を背中で受けて飛び出してくる。


「婆ちゃん!!」


 キュリアがすぐにお婆さんの心配をするが、美咲さんが盾になってくれたおかげで傷はあまりない。

 

「遊生が攻めてきた……二人とも頼む!!」


 爆破した家の方から赤い閃光が迫ってくる。それは美咲さんとキュリアを殴り飛ばしこちらにも迫ってくる。

 しかし極限まで引き上げられているボクの反射能力はその速さに対応でき、振り抜かれる拳を受け止める。


「硬いな……これが新しいお前の力か。これは厄介だ」

「お前らしくなく迂闊だったな……ここで倒させてもらうぞティオ!!」


 ボクは手を振り上げて奴の意識を刈り取ろうとするが、その手は後ろから与えられる衝撃によって防がれてしまう。

 巨大な球体がボクの体を弾き飛ばし、ボクと奴を離させる。


「よくやった椎葉! ナイスタイミングだ! いや〜それにしても容赦ないね〜」


 背後にあった川の方から椎葉さんが姿を現す。漆黒の鎧に包まれいるが、下り坂にいい感じに体を隠していたので視認できなかった。


「椎葉さん……もうやめてよ!! どうしてこんなことするの!? ボク達は仲間じゃなかったの!?」


 容赦なく距離を詰めて今にも攻撃してきそうなその手はボクの一言により静止する。正確に言えば震えているのだが。

 彼女には迷いが見られる。まだ説得すれば戦わずに済む可能性があるかもしれない。


「ごめん……ごめんね。アタシ、そんな良い人間じゃないから。自分中心の最低な……寄生虫だから」 

 

 背中にこびり付いたものを払い落とし、腹を決めてこちらに攻撃を仕掛けてくる。

 こちらは防御してダメージを最小限に抑えるものの反撃はしない。できない。


「やっぱり椎葉さんはこんなこと嫌なんだよね!? ならどうして!? 脅されてるの!? それなら……」


 ボクは戦いの中で油断してしまう。椎葉さんが本気でボクを殺しにかかるわけがないという先入観が判断を鈍らせる。

 彼女の闇を纏う足がボクのお腹の真ん中を捉え、お婆さんの家の方まで飛ばす。


「おらっ!!」


 空中で無防備になったボクの体にティオの肘が落とされる。

 ボクは地面に叩きつけられ背中が痺れる。もしも前までの鎧だったらここで解除されていただろう。


「おいおい椎葉。お婆さんの家に当たったら可哀想だろう? こんなボロ臭い家撤去する業者さんが」


 お婆さんもボクも、そして椎葉さんも小馬鹿にする態度でボク達を苛立たせる。

 しかしそれでも椎葉さんはティオへの反抗心を芽生えさせず、順々とまるで奴隷のように指示に従う。


「おっと! キュリアちゃんは自分の相手をしてもらおうか!」


 キュリアはこちらに助けに入ろうとするが、家の方から田所さんが飛び出してきてその道を塞ぐように銃を乱射してそうはさせてくれない。

 

「ぐっ……おい美咲!! 婆ちゃんを連れて離れろ!!」

「あぁ確かに私が適任だな……」


[スキルカード 疾風]


 美咲さんは逃げ道を模索し、迷いなく即断でお婆さんを抱えて逃げ出す。

 

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