155話 召喚&装着
「やった……実験は成功だ! これであいつに一泡吹かせられるぞ!!」
美咲さんが子供のようにはしゃぐ。
全身から力が漲り溢れ出す。この力があればもう誰にも負けない。みんなを守ることができる。
「新しい鎧……? いいわ。真正面から叩き潰してあげる」
[スキルカード アーマーゾーン]
奴はまた花弁の鎧を纏う。それもあってか強気に前に出てきてボクの射程圏内に入る。
「うぐっ……!!」
奴が避けようと反応を示す前に腹を殴りつける。防御もできず花弁の鎧も貫通しダメージを与える。
「無駄だよ。もう小細工は通じない。ここでお前を倒してみんなを守る……!!」
「下民風情が調子に乗るな……!!」
[スキルカード リバイブ]
奴は四枚のカードを取り出しそれらを具現化させサタンを召喚する。
蛇、蝙蝠、ライオン、ドラゴン。どれもいかつい見た目をしており一目で普通のサタンとは格が違うことが分かる。
「このまま数の差で押し潰してくれるわ!」
「生人君! アーマーカードをセットして装置の部分を強く押すんだ!」
どう対処するか考えていたが、すぐに美咲さんが助け舟を出してくれる。
ボクは蛇のアーマーカードを取り出しランストに挿入する。するとカード挿入口と例の装置の部分が半分外れかかり押し込めそうな形となる。
ボクは美咲さんの言ったことが理解でき迷わず左の部分を強く押し込む。
[summon……スネーク レベル80]
ボクの真隣に蛇の鱗が全身に巻き付いたような鎧を来た人間が現れる。
「これは……召喚?」
「そうだ。その装置は君の寄生虫としての能力を応用して、自由自在に召喚した存在を操れるんだ!」
ボクが目の前の蛇型のサタンを倒して欲しいと念じると、彼はこちらに頷いてくれて戦闘を始める。
その実力は圧倒的で、全ての攻撃を容易に受け流し、その隙を突いて拳を何発も叩き込み弱らせる。
「スネークの必殺カードを使うんだ! 今なら彼と一緒に使えるはずだ!」
「分かった!」
ボクはデッキケースからスネークの必殺カードを取り出す。それをセットすればまた装着とカード挿入口が外れかかる。
「両方同時に押すんだ!」
ボクは指示通りに、押した後手をクロスさせる形で両方同時に力強く押し込む。
[必殺 スネークロード]
ボクと彼は黄緑色のエネルギーを全身に纏い宙に浮く。
そして蛇型サタンを打ち上げ二人で締め付けるようにエネルギーで雁字搦めにしてそのまま捻り千切る。
奴がカードとなり消滅した後、蛇鎧の彼もこちらに親指を上に立てながら消滅する。
「何だその力は……その強さは!?」
「こんなものじゃないさ!」
ボクは迫り来るサタンの攻撃を躱しながら、今度は牙を剥き出しにする金色の毛皮のライオンに狙いを定める。
[summon…… タイガー レベル80]
こちらも金色の獅子の鎧を来た者を召喚する。
[アックスモード]
彼は斧を持っていたのでこちらもそれに合わせて斧を取り出し装備する。
[必殺 トップビースト]
お互いの斧に熱が籠り金色に光り輝く。それを交差させるよう振り、そこから放たれた灼熱の黄金波は斜め十字を描きライオン型サタンを四等分する。
[summon……バット レベル80]
獅子鎧が消えてしまったので、今度は蝙蝠鎧の者を召喚する。
[必殺 エンペラードリル]
ボクの背中に蝙蝠の羽が生え、二人同時に自身の羽に包まり跳びながら回転する。
やがて回転速度は真空波を発生させるほどとなり、それらを纏って蝙蝠型サタンの両胸を二人がかりで貫く。
[summon……ドラゴン レベル80]
着地した次に龍鎧の者を召喚し、二人で空を自由自在に飛び回るドラゴンと対峙する。
[必殺 ドラゴンラエダー]
龍鎧の彼は跳び上がり空中で体を変形させ巨大な赤色の龍となる。
[ブレイドモード]
ボクはアムバイスで剣を取り出し、それを持ったまま龍の上に乗せてもらう。
二匹の龍が互いに睨み合い、こちらが先に動き出す。龍は衝撃波を纏いそれを膜にして自分の体を守って奴のお腹に勢いそのまま頭突きをかます。
[必殺 ヒートブレイド]
アムバイスにスキルカードを通し、頭突きの衝撃が伝わった際に飛び出てまだ怯んでいる奴の胴体を灼熱の剣で真っ二つにする。
龍はボクを咥えて塔子の前まで運んでくれた後に消滅する。
「次はお前だ」
自分の身を守ってくれるサタンはいなくなり、奴はたった一人橋の上に取り残される。
ボクは情けをかけずホッパーのアーマーカードをセットする。
「生人君! 今度はいつものカード挿入口の方を押し込んでくれ!」
ボクは今度は右の方を力強く押し込む。
[armed…… ホッパーアーマー レベル100]
ボクの鎧が外れかかり、一回転して表裏逆になる。虹色だったものが黄緑色メインのものに変わっており、形としての変化は足がゴツくなっている。
[必殺 ホッパーハイキック over flow!!]
地面を大きく抉りながら奴の腹にハイキックをお見舞いする。奴の傷口から虹色の光が漏れ出し、爆炎と共に変身が解けた塔子がむせ返りながらこちらに転がってくるのだった。