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145話 復活と裏切り


「銅像……ここだね」

「そうだね。ここしかないはずだよ」


 桐生公園の裸の男女が抱き合っている青色に変色しきっている銅像。何か意味があったのだろうがもう知っている人はろくにいないだろう。

 現にボクも美咲さんもどういう意図で作られたか知らない。


「やっほー。あら? 二人はまだかな?」


 現れたのは風斗さんでも椎葉さんでもない。

 ティオが何食わぬ顔で闇の中からヌルりと現れる。


「ティオッ……!!」


 今から風斗さんと椎葉さんも来る。四人がかりなら奴を倒せるかもしれない。

 ボク達はすぐさま変身道具を取り出し装着する。


「まぁ待て。次戦うのはオレじゃない。さっきちょっとやりたいって申し出があってね。

 短い時間だったから雑なセッティングだったけど許してくれよ?」


 ボクの後ろから小さな何か飛んできて背中に突き刺さる。

 青い花弁だ。鋼鉄のような硬度のそれはボクの背中を突き刺す。


「誰だっ!?」


 花弁を引っこ抜き、すぐさま傷を再生させる。


「久しぶりね。寧々の彼氏さん?」


 そこには変身済みの塔子が花弁を辺りに舞わせながら立っていた。

 その時全ての合点がついた。こいつはティオと連んで裏で悪事を働いていたのだ。だからこそあの謎の変身道具も貰えたのだと。

 あれは大方ティオのつけているやつの試作品といったところだろう。


「生人君!? 奴は!?」

「峰山塔子……人間のクズだ!!」


[ラスティー レベル30 ready…… アーマーカード ドラゴンホッパー レベル49 start up……]

[open…… キュリシティ レベル35]


 ボク達はすぐさま変身して塔子に攻撃を仕掛ける。ティオは非常に不快な笑みを浮かべて、寄生虫の力で地面を蹴って跳び近くの建物の屋上に乗り観戦を決め込む。


「あなた達の攻撃は当たらないわ」


 この前の時のように花弁が舞い奴の体が消えようとする。


[スキルカード 疾風]


 だが消えるまでの一瞬の間に加速して奴の左肩を掴み上げる。美咲さんも合わせてくれて直後に右肩を締め上げてくれる。


「ちっ。流石はDO……これくらいは対応するのね」


 逃すわけにはいかない。こっちは寄生虫。耐久ならこちらが有利だ。ここで掴んだまま仕留める。


[スキルカード オートアタック]


 突如剣が飛んできたかと思えば空中でありえない軌道を描き塔子の背中を何度も斬り裂く。


「風斗さん!!」


 風斗さんと椎葉さんがたった今駆けつけてくれて、言葉を交わさずとも状況は察してくれて加勢してくれる。


「大丈夫か生人!! それよりあれは……やっぱり指揮官は……」


 風斗さんの顔からすぐに迷いが消え、目の前の塔子の背中に一発重たい一撃を斬り込む。


「おいおい。四対一なんて卑怯だな。まぁ今から三対三になるんだけどな……」


[スキルカード ブースト]


 ボク達の方に向けて何かが高速で突っ込んでくる。それにより塔子含めて椎葉さん以外の四人が吹き飛ばされる。

 

「よっ! 久しぶり〜。最強の先輩、田所浩一郎の登場だよ〜」


 この緩い声色にふざけた半分の口調。そして蜘蛛とバイクのアーマーに手に持った銃。

 そこにいるのは間違いなく田所さんだ。


「ちょっと……何で私ごと吹き飛ばしたのよ?」

「ままっいいじゃん助かったんだしさ」

  

 田所さんはこちらではなく塔子に手を伸ばし立ち上がらせる。

 

「田所先輩……生きてたんですか!?」

「あぁ。まぁ生き返ったって表現の方が正しいけどな。

 でも自分は今は……風斗ちゃんにとっては敵だ」


[マシンガンモード]


 銃から放たれる数多の弾丸が風斗さんの体を削っていく。


「やめろっ!!」


 動揺と困惑の狭間で対処できずにいる彼を助けるべく田所さんの腕に掴みかかる。


「田所さん何やってるんですか!? 何で風斗さんを撃って……」

「あっ、生人ちゃん背中気をつけた方がいいよ?」

「えっ……?」


 背中に強い衝撃が走りボクは銅像の方に飛ばされ台座に激突してしまう。

 

 どこから……? 田所さんと塔子は視界内に入れていた。ティオの攻撃も警戒していた。じゃあ一体誰が……


 ボクが居た場所には椎葉さんが立っており、マイクからは強い摩擦でもかかったのか煙を出している。


「ごめんね生人くん。アタシ君が思うほど良い人じゃないから……」


 彼女の鎧の一部がボコりと膨れ上がる。細長いそれは芋虫のように鎧を動き回る。


[parasite……テネブルアイドル レベル50]


 鎧が剥がれ落ち、新しい漆黒の鎧が彼女の体に装着されていく。

 鎧の顔部分に造られた瞳が不気味に紫色に光り、その二つはこちらを、まるで獲物を捉えるように見つめている。

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