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141話 殺す償い救う償い(寧々視点)


 みんなの温かい声が心に響く。

 自暴自棄になっていた自分の頭を冷まさせてくれる。


 そうだわたくしは……彼と一緒に……


 生人さんはこちらに手を伸ばす。わたくしのことを必死になって助けようともがいている。


「生人さん……!!」


 サタンの体から抜け出し彼の手を掴む。伸ばした手は受け取られ、もう離さないという強い意志を感じられる。

 力強く引っ張られサタンの体から抜け出す。


「クソ……貴様ァ!! 償いから逃げる気かァ!?」


 わたくしが抜けた反動でふらつき激昂し怒鳴る。


「わたくしは逃げない……戦う。この罪と……そして勝ってみせる!!」


 ランストを装着した後に、いつのまにか右手に握られているカードに気づく。


「これは……?」


 恐らく奴から抜け出した時に入手したものだろう。ならこれは罪と向き合うことを覚悟した自分へのプレゼントといったところだろうか?


「変身……!!」


[エンジェル レベル1 ready…… アーマーカード ヴァルキリー レベル50 start up……]


 天使の衣を纏った後。目の前に巨大な青色の鎧が降ってくる。

 まるでロボットアニメの機体のような構造だが、真ん中だけポッカリと開けた空間がある。


「これはどうすれば……」


 訳も分からず機体に触れる。すると機体が動き出しわたくしに覆い被さる。その開けた空間に取り込まれ、足と腕が拘束される。


「わぁ何それかっこいい!!」


 生人さんはこのロボめいた鎧に興奮しているようで、だが正直自分にはこの良さは分からない。

 手足は鎧と連動しているようで、この空間は操縦席のようなものなのだろう。


「皆さん手を出さないでもらえますか? こいつは……わたくしが越えないといけない壁です。自分一人で倒します」


 駆動音を鳴らしながら奴と向かい合い決着をつける戦いの鐘が鳴る。


「クソ……クソがァァ!!」


 奴は叫び声を上げながら白く発光し、両踵と両肩から刃だけの鎌を生やす。


「ふんっ!!」


 肩の刃を抜き、それをこちらにブーメランの要領で投げる。


[スキルカード 乱舞乱射]


 機体の両腕両足から機関銃やミサイルの弾が出てくる。

 わたくしが全力で戦えるよう他の三人は倒れている人達を外まで運ぶ。


 これで心置きなく戦える。

 わたくしの乱射は刃を撃ち落とし、弾丸は奴の体を抉りミサイルの爆風が奴を焦がす。

 そこからこの巨体を動かして奴に迫り巨大な鋼鉄の拳で殴り抜く。壁にぶつかり、それを壊して外まで飛び出していく。


[スキルカード ショックウェーブ]


 衝撃波を腕に纏い、それで地面を殴りジェット機のように真っ直ぐに高速で移動する。

 人を握りつぶせそうな程大きな拳でブレーキをかけて奴の前で旋回しながら止まる。


「罪から逃げる気か……償いから逃げる気か!?」


 もう負けを薄々感じているのか、勝ちを捨ててこちらに問いかけてくる。


「わたくしは逃げません……ただ、誰かを裁く償いではなく、誰かを救う償いをしていきます。

 あなたのような怒りに身を任せて現実から逃げたりはしない!!」


[必殺 斬突打乱舞]


 目の前に槍と斧が融合した先端、刀のような危ない持ち手の道具が出てくる。

 わたくしはそれを奴に向かって放り投げつつ、機関銃とミサイルで一斉攻撃を仕掛ける。


 奴は槍に貫かれ銃弾に抉られる。

 爆風で更に武器を体内に押し込まれ、斧が傷口を広げて刀が傷口を更に抉る。


「クソ……私は……すまない……」


 最後に何か呟き、奴はカードなり消滅する。


「やったね峰山さん!」


 三人が駆けつけてきてくれる。同時にわたくしの変身が解ける。


「あれ……視界が……」


 疲労からか視界が歪み、わたくしの意識は暗転するのだった。

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