第九話 悪徳領主は眠れない
ハウエル領の領主、ダニー・ハウエルは悪徳領主である。
領内の税金は国法で定められた上限を超えて搾取し、公共事業には領主と懇意の業者に発注してリベートを受け取る。
隣国との間で人の往来が激しいことを利用して密貿易も行っていた。
全ては私腹を肥やすため。
領民からも、「守銭奴」「金の亡者」と評判の領主だった。
そんな悪徳領主に支配されたハウエル領は、しかし栄えていた。
理由はいくつかある。
まず、悪徳領主ダニー・ハウエルは基本的に小心者だった。
高い税と言っても、領主の裁量で可能な上限に計算を誤魔化して少し上乗せした程度だ。それで生活苦になる領民はほとんどいないし、ばれても下っ端の役人を処分してごまかせる範囲になっていた。
密貿易にしても御禁制のヤバい物は扱ってはいない。こちらもばれてもちょろまかした関税を国庫に納めれば、厳重注意程度で終わるはずだった。
こうしたせせこましい不正を数多くこなして不正蓄財を行っているのが悪徳領主ダニー・ハウエルという男だ。
領民にも知られている悪事の数々は、一つ一つはせせこましすぎて国も本腰を入れて追及することははない。
そして、特定の個人や組織に被害が集中しないため、経済活動を妨げることもなかった。
次に、領主は小心者の小悪党だったが、家臣はそうではなかった。
ハウエル伯爵家は歴史ある貴族家である。その家臣もまた由緒ある一族だ。
代々ハウエル家に仕え支えて来た家臣の一族は、その使命と領地運営のノウハウを受け継いできた。
例えば、ハウエル領では社会保障制度が充実している。
重税で生活苦に陥る領民に対しては、税の減免措置や生活再建のための給付金や貸付制度等が各種用意されているのだ。
領主の重税はある意味格差の解消に一役買っている側面もあるくらいだ。
隣国との交易で潤うハウエル領は他国や他領へ行き来する人が多い。生活苦に陥った領民を放置していると、容易に領外に流出してしまうのだ。
だから、領主が何と言うと、家臣たちは社会福祉を縮小や廃止することはない。これをやってしまえば領が廃れることを理解しているからだ。
領主が多少ぼんくらでも、彼らがしっかりしている限りハウエル領は盤石なのである。
家臣だけではない。
公共事業を請け負う業者も長年ハウエル領のインフラ整備を行って来た歴史がある。
領主にリベートを渡してまで事業を独占した理由は、悪質な業者に手抜き工事を行われたり、他所から来た新参者に土地柄に会わない施工をされることを避けるためだった。
色々な人の努力もあり、悪徳領主の被害や悪影響は最小限にとどめられたが、それでも領主が不正蓄財を作れたのはハウエル領が元々豊かだったからだろう。
グランツランド王国の隣国と呼ばれる国は、南東のアウセム王国と南西のガザム帝国の二国になる。
ただし、それらの二国と国境を接しているわけではない。農作に適さず不毛の大地と呼ばれた土地に建国されたグランツランド王国の周囲にはいまだに人が住まず、どこの国にも所属していない場所が多く残っている。
そんな中、位置的に近く、直通の街道が整備されているのがこの二国だった。
ハウエル領はこのうちガザム帝国に続く太い街道が通っている、交易と交通の要所である。
度々戦争を行うアウセム王国とガザム帝国との間に入って三角貿易を行うこともあった。平和な時期でも開戦の機運が高まると直接の貿易が制限されるため、安定した取引を求めて長期契約する場合も多い。
そして輸入品は国内各地に送られるし、他領の特産品も輸出用に集まって来る。
領内の治安を良くして安心して商売できる環境を整えておけば自然とハウエル領は潤う。
そういう状況を代々の領主とその家臣が作り上げてきたのだ。
本当なら、せせこましい不正などせずとも、先代からの方針を踏襲するだけで十分に多額の税収が見込めるのだ。
ハウエル領の予算とハウエル伯爵家の私財の区別がないダニー・ハウエルにとってはそれで十分に思えるのだが、それでも自分専用の財産を作らないと気が済まない辺りが小物である。
ともかく、領主のみみっちい不正ごときではびくともしないほどに豊かなのがハウエル領なのだった。
このまま何事もなければ、どこにでもいる普通の領主として歴史に埋もれて行ったことだろう。
だが今、ハウエル伯爵は窮地に陥っていた。
グランツランド王国そのものが滅亡の瀬戸際にあるから、ではない。
不穏な噂は広がり始めてはいるが、本格的な国の崩壊が始まるのはもう少し先の予定である。
サンソン商会を始め、情報に敏感な商人が動き始めているが、まだ表立って影響が出るほどではない。
しかし、悪徳領主に迫る危機は、もっと直接的なものだった。
(な、何で王太子殿下が自ら査察に来ているんですかぁ~!)
グランツランド王国は王家の権力の強い中央集権的な国家だった。
国によっては領の内政は領主の権限であり、国王であっても容易に干渉できないことも多い。
だが、この国の領主は国法に縛られる存在だった。領内であっても国法を守らなければならないし、国法に反する法律を施行することはできない。
グランツランド王国は小さく歴史の浅い国だ。そして領地が集まって国ができたのではなく、国ができた後に領地が整備されて行ったという点も他国とは異なっている。
この国ではどれほど歴史ある領地でも、領主はこの三百年以内に国王によって任命されたラグバウト王家の家臣、その子孫なのである。
だから、領民もグランツランド王国の国民であるという国への帰属意識が高いし、領主も国の官僚システムに組み込まれているのだ。
領地や領主に対する査察も行われていた。
当然、悪徳領主としては査察対策も万全だった。
査察日程に合わせて隠蔽工作は行うし、やってくる査察官には接待漬けにする。その上司にも付け届けを怠らない。
直接やって来るのは下っ端の役人だし、官僚システムというものは上に報告が届かなければ動かないのだ。
しかし、今回の査察は色々と異例だった。
予告なしの抜き打ちだった――懇意にしている王都の役人からの情報漏洩もなかった――ため、隠蔽工作も査察官の好みに合わせた接待や賄賂の準備もできなかった。
そもそも、事前情報が無くても知られているアベール王子の気質からすれば、買収は期待できない。
賄賂の利かない真面目な査察官相手にはその上司を丸め込むのが定石だが、王太子の上には国王しかいない。
いずれにしても、悪徳領主ごときがどうこうできる相手ではない。
(仕方ありません。軽い不正の一つも見つけてもらって、お引き取り願いましょう。)
ハウエル領で行われている不正はいずれも小さなもので、本来ならば間違っても王族が出張って来るものではない。
不正を暴かれることは不名誉だが、致命的ではない。
(そ、それに、殿下は息子と学友だったはず! 息子にとりなしてもらえばどうにかなるかもしれません。)
ハウエル伯爵の長男、デビッドはアベール王子と同年代、王都の学園で共に学んだ仲である。
ハウエル伯爵も息子からアベール王子と交流があったことは聞いていた。
そのデビッドがやって来た。
「はい、アベール殿下。これが親父の不正の証拠一式ね。」
ドン! と分厚い資料が置かれた。
「ちょっ! デビッド、おまえ、何を!」
「何って……殿下の手伝い。」
まさかの息子の叛逆に、伯爵は慌てる。
一件一件は些細な不正でも、罰金、課徴金、返還金等、全てまとめるとかなりの額になるし、下っ端に罪を被せても管理責任を問われることになる。
それでもまだ甘い考えだったことが分かるのはすぐ後のことだ。
ハウエル親子が漫才をやっている横で、アベール王子は黙々と資料を読み進めて行った。
「なるほど、さすがは『小さな不正の見本市』と言われるだけのことはある。」
アベール王子が感心したように呟く。
ハウエル伯爵の所業は王族の耳にまで届いていた。しかし、実際に見てみるとその一覧だけでアベール王子をうならせるものがあった。
とにかく量が多い。『見本市』と呼ばれるだけあって、考えられる限りの小さな不正が行われていた。
その一方で、露見すれば一発で失脚するような大きな悪事は全く行っていないのだ。
「しかし、いくら小さな不正でも、これだけ数があると……『白薬』を持った使者が来ることになるな。」
「えええ!? そんなぁ……」
アベール王子の言葉に、ハウエル伯爵は青くなる。
貴族は法や礼を守らなければならないが、刑罰を受けることはないという原則がある。
名誉を重んじる貴族にとって刑罰を受ける不名誉は耐えがたいものがあり、また国の恥ともなる。
しかし、法を犯し国益を損ねた貴族を無罪で放置するわけにもいかない。
そこで、罪を問われた貴族は、刑罰を受ける前に自主的に責任を取るのである。
よくあるのは引責辞任。国の役職を辞したり、貴族家の当主を引退したりするのだ。
他にも寄付や見舞金の名目で被害者に金を渡したり、自腹で慈善事業を行うこともある。
実質命令であるが、自主的に行ったことにして面目を保つのである。
そして、最も重い罪に対しては、賜死――つまり自害させられるのである。
死を賜るほど重い罪に問われた場合、貴族であっても裁きの場に呼び出されることになる。
その時、貴族を呼び出すために訪れた使者は、持参した自害用の毒薬を渡すのだ。裁かれる前に自死せよということだ。
この自害用の毒薬を『白薬』と呼ぶ。
自ら死んで見せることで国に対する叛意は無いことを証明する。身の潔白を示す薬と言うわけだ。
つまり、『白薬』を持った使者とは死を賜るほどの罪に問われるという意味になるのだ。
なお、自害すれば最低限の名誉は保たれるが、拒否すれば貴族位を剥奪されて不名誉な処刑が待っている。他に選択肢はないのだ。
ハウエル伯爵の場合、小さな不正であっても数が多すぎた。
この国の法律では罪の数だけ刑罰は累積する。例えば懲役一年の犯罪を百件犯せば懲役百年で実質終身刑になる。
また、同種の犯罪を幾度も繰り返すと刑罰が一段上の重いものになる制度もあった。
罰を重くして常習犯を防ぐことが目的だが、大量の贈収賄や職権乱用を繰り返したハウエル伯爵はこの規定に引っかかった。
全ての不正をまとめると、死罪にまで達したのである。
「しかし、今は国の方も忙しくて、これだけの案件を精査している余裕がない。国の計画に全面協力してくれるなら、これらの不正は不問としても良い。」
「ほ、本当でしょうか!」
守銭奴と呼ばれつつも小心者のハウエル伯爵は、命は惜しいし王家と事を構える気概もない。
実のところ、ハウエル伯爵が不正を行っていることはよく知られていた。だが本気でその不正を暴き、伯爵の責任を追及しようとする者がこれまで現れなかった理由は、せせこましい不正であることに加えて数が多いことも挙げられる。
些細な不正であっても丁寧に隠蔽されているから証拠を集めるだけで一大事、そんな不正が山ほどあるのだ。しかも、頑張って不正を立証しても単体では厳重注意で済まされる程度の軽微なものばかり。誰もハウエル伯爵の罪の立証などやりたがらなかった。
まさか全ての罪を集めると死を賜る所まで行くとは、伯爵自身を含めて誰も思わなかったのだ。
今回、内部告発によって不正の詳細と証拠がまとめて得られたが、その詳細を精査するだけで年単位で時間がかかるだろう。
ハウエル伯爵が本気で抵抗するならば、出頭を拒否し続けて正式な手続きが終わる前に国外にでも逃げればよい。
罪状がみみっちすぎるので、グランツランド王国としても罪人の引き渡し要求などできないだろう。
ただ、そもそも国を追われるほどの大罪を犯すつもりのなかった伯爵は、国外に逃げる覚悟も準備もなかった。
結果、ハウエル伯爵はアベール王子の提案に飛び付いた。
数分後、ハウエル伯爵は再び顔面を蒼白にしていた。
「あの~、殿下。グランツランド王国が滅びるというのは……」
「確定事項だ。後五か月足らずでこの国は消滅する。」
何度も言うが、ハウエル伯爵は小心者である。国が滅びるといった大事は荷が重かった。
「このことは最重要国家機密だ。不用意に洩らせば国家反逆罪で首が飛ぶから注意するように。」
アベール王子は容赦なく追い打ちをかける。ハウエル伯爵は震えながらこくこくと頷くだけだ。
なお、ハウエル伯爵が迂闊に情報漏洩すれば、国が処分するよりも前に、情報操作で民衆の不運が爆発するのを必死になって防いでいる諜報部に消されかねないのだが、それは言う必要のないことだった。
「ハウエル領はガザム帝国に向かう窓口だ。パニックや暴動がおこると避難計画に支障が出る。計画に従って、領民を冷静に避難させるのだ。」
「ハ、ハウエル領の領民も国外に避難させるのですか?」
「ああ、この辺りも人が住めなくなる。全員国外に避難させなければならない。」
ハウエル伯爵は絶望的な表情になった。
領地から領民がいなくなれば、領地そのものが消滅したに等しい。
ここにきて、ハウエル伯爵は国が滅ぶという意味を実感した。
「周辺国には避難民の受け入れを打診しているが、待遇は期待できない。そこで、避難と避難後の生活に必要な物資を集めて欲しい。」
渡された購入物資のリストを見て、ハウエル伯爵はもう一度顔を青褪めさせた。
「こ、この量は……領の予算が底を突いてしまいます!」
一国の大半の国民の引っ越しとその後の生活に必要な物資となると膨大な量になる。多少裕福なハウエル領でも全てを賄うには無理がある。
もちろんアベール王子はその辺りのことはしっかりと理解していて、各領地の財政状況に応じて可能な範囲で負担を割り当てていた。
「来年はグランツランド王国もハウエル領も存在していないから、後先考えずに予算を注ぎ込んで構わないぞ。」
アベール王子はとことん容赦がなかった。
「親父の貯め込んでいた隠し資産も領の予算に組み込んでおいたから、ギリギリ足りるはずだよ。」
息子はさらに容赦がなかった。
グランツランド王国に限らず、領地の予算と領主の私財の境界は曖昧なことは多い。
領地が栄えれば領主の懐も温かくなるが、領の支出が増えれば領主の財産も目減りする。
ダニー・ハウエルという男は、贅沢をしたいというよりも純粋に資産を増やすことが趣味のようなところがあった。
この巨額の出費は、彼の心に大きなダメージを与えた。
「まあまあ、親父にはまだガザム帝国の貴族に預けて運用している資金があっただろう?」
「バカ者! あやつらはワシがハウエル領の領主だから協力しているだけです! 領主でなくなったら知らん顔をして自分のものにするに決まっています!」
「なるほど。ガザム帝国の貴族の中に不正な資金供与を受けている者がいるのだな。この事実をちらつかせればさらなる協力を得ることも……」
一応父親を気遣うそぶりを見せるデビッド、やけ気味になっているハウエル伯爵、利用できるものはとことん利用する気のアベール王子と三者三様の反応だった。
ただ、ハウエル伯爵の貯め込んだ私財はその大半が消費されることは確定したようだ。息子も知らない隠し財産が無い限りは。
「助かったよ、デビッド。ハウエル領の対応は頭を悩ませていたんだ。」
伯爵と別れたところで、アベール王子は学生時代に戻ったような調子で話しかけた。
聖女の喪失に伴うグランツランド王国の滅亡に対しては、信頼できる領主に話を通して秘密裏に国民の脱出計画の構築を進めていた。
これは元々国王の手で何年も前から始めていたことだ。
しかし、これまで話を通していない領主も何人もいた。ハウエル伯爵もその一人だ。
理由は様々だが、ダニー・ハウエルの場合は単に信用がなかったからだ。
小物過ぎてどう動くか見当が付かなかったというのが正直なところだ。
小さな領地ならばギリギリになってから王命を発し、領主が従わなくても国軍により強制的に領民を避難させる方法が使えた。
だが、ハウエル領は多くの避難民が通る中継地点だ。ここで混乱が起こると避難計画全体に支障が出かねなかった。
それに、ハウエル領の豊かな資金力も遊ばせておくには惜しかった。
そこで、息子のデビッドの協力を得てハウエル伯爵に従うしかない状況まで追い込んだのだ。
「これでも『ソフィアちゃん解放戦線』の一員ですからね。これくらいはやらせてもらいますよ、副会長。」
デビッドはアベール王子の単なる学友ではない。ソフィアを救うために国を滅ぼす計画に参加した一人だった。
彼らは学園を卒業後、各地に散ってそれぞれの立場でアベール王子とその計画に協力していた。
学園の生徒は皆貴族であり、その中でもミシェル・バートレットの集めた者達は優秀だった。
ある者は政府の要職に就き、内政外交に携わった。
ある者は軍に入り、兵を指揮する士官となった。
ある者は領地に戻り、領の運営に関わることになった。
いかに優秀な貴族とは言え、学園を卒業して間もない若者に重要な仕事を任せることは普通はない。
しかし、国の重要機密を知る若者は貴重だった。全国民の避難という大事業を極秘裏に進めるために、彼らはみな忙しく働いていた。
デビッドは次期領主として領地に戻った一人である。そのままハウエル領で信用のおける家臣を仲間にして、領民の脱出計画を推し進めていた。
その過程で父親、ハウエル伯爵の不正を調べ上げ、この件で脅せば強制的に協力させることができると踏んで、アベール王子を呼んだのだ。
実の父親に対してなかなかに容赦がなかった。
「しかし、大丈夫なのか? ハウエル伯爵は随分と落ち込んでいたようだが。」
「まあ、大丈夫だろう。ああ見えて親父は、やると決めたことはきっちりとやる男だ。」
ダニー・ハウエルは悪徳領主であっても無能ではない。
一度やると決めたことは、きっちりと最後までやり遂げる男だった。
とても勤勉だと言える。
その勤勉さで行ったことが、大量の小さな不正であったわけだが。
その勤勉さで普通に領主をやっていれば名領主にもなれただろうし、不正なんか行わなくても十分な財産を築けただろう。
色々と残念な悪徳領主であった。
「それに、ここで一働きしておかないと、避難先で領民に吊るし上げられそうだしなぁ。」
滅びた国の王族や貴族に利用価値はない。
個人的に友好関係を築いていたのならば保護してもらえるかもしれないが、多くの者は一般の避難民と同じ扱いになってしまうだろう。
元貴族ということで、避難民のとりまとめ役を任されるかもしれない。
しかし、領民たちは突然の不本意な避難生活でフラストレーションが溜まっていることだろう。
その不平不満をぶつける先として、評判の悪い悪徳領主は恰好の標的になる。
だが、守銭奴と呼ばれながら貯め込んだ私財を、この非常時に国民や領民のために使い切ればどうだろう?
悪徳領主の汚名も返上できるかもしれない。
上手くすれば元領民に守ってもらえるようになるかもしれない。
父親に容赦のないデビッドであったが、それなりに心配して手を打った結果だったようだ。
そんな息子の心情を知ってか知らずか、ハウエル伯爵はぶつぶつと文句を言いながらも与えられた仕事を進めていくのであった。