老予言士は、恐ろしい過ちを犯した
残酷な表現、と感じるかもしれません。
念のためR-15をつけています。
王国には何千人もの予言士がいた。
全員毎月の予言を義務づけられており、一つでも外れると、その予言士は鉄湯を飲まされ、二度と予言ができないよう罰を受けた。
この王国の予言士は、年を取っていればとっている程その予言が信頼される。
そんな中、もっとも年上の老予言士が、三十年ぶりの王子の誕生に、その月二度目の予言をだした。
「王子様は、恐ろしい圧政を敷く王となるでしょう」
王はすぐさま老予言士に鉄湯を飲ませた。ひどい予言を受け入れることができなかったからだ。
老予言士は何も言わずに鉄湯を飲み、静かに死んだ。
老予言士は、おのれの予言が真実であると知っていた。
しかもおのれが予言を出せば、王が鉄湯を飲ませるとも分かっていた。しかし、老予言士は予言を出した。
他の予言士たちも同じ予言を得ていた。しかし、鉄湯が怖くてその予言を黙っていた。
しかし王子は、どの王よりも心優しく、民を思いやる国王となり、全く予言は真実とならなかった。
老予言士は予言を伝え、鉄湯を飲まされた後、己の予言が覆り、この未来となることまで予見し、予言を出したため、心穏やかに死んでいくことができた。
老予言士は今の王が生まれたときに、同じ予言を得ていた。そして予言を出して、おのれが殺されることが怖くて予言を黙った。
そして王の残酷な手により毎月たくさんの予言士たちが死んでいき、同じように人々が泣き、苦しむ国となった。
老予言士はもう、同じ過ちを繰り返したくなかったのだ。一度目の過ちを、二度と。
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