27話
「............ということなのです」
そいつは全てを話しきったぞ、解放しろ、みたいな顔をしている。
うん、スキルの感じは嘘は言ってなさそうだな。
『そうですね、スキルでもそうですし、見た感じの筋肉の収縮、呼吸数、呼吸の深さ、目線の動きや瞳孔の開き具合、トーンの抑揚の付け方声の大きさに変化は無いので本当のことでしょう』
え、そんなに見るところあって判断してたの?すげぇな。
『お褒めいただき光栄です』
いや、褒めてないけど。
『..................』
だがまぁ、話を聞いていた感じをざっくり言うと。
こいつの所属は闇ギルドの『リャグラン』というギルド?らしい、主に殺しを界隈としているギルドらしくそこそこデカいとの事。
目的はシャルルの殺害及び生首の運搬だったらしい。
そしてその運搬先が黒幕な訳だが。
それが
「やっぱりアイツだった」
ポソッとシャルルが零したその声が指すアイツ。
シャルルの義理の母にあたる人物。
獣王の第二夫人、妾に当たる人物で名前はヒューリ・カナルーンとの事。
まぁ、誰かは知らないが明らかにシャルルのことを邪魔だと思っている人物で間違いはないだろう。
シャルルは正妻の『最初で最後の』娘らしいからな。
「ハァ、まぁとりあえずお前の処分についてだが三択だ、ここで死ぬか、お前のお仲間と共に憲兵に囚われるか、俺たち側に寝返るかだな」
「寝返る............だと?」
そう、寝返るだ。
こいつを鑑定しちゃいけないと思って見ていなかったが、全てを話しきったこいつの事を覗いてもこれ以上シャルルについての情報が来ない可能性が高い。
正直シャルルの事についてシャルルが望まない限り踏み込まないとか言ってたくせに尋問して吐き出させたら聞いてるようなもんだよなってあとから思って、失敗したかもしれないと思っているのはここだけの話な。
まぁ、そういうことで先ほど鑑定させていただいた訳だが、確かに暗殺術は習得していたが人を殺害したことがある回数は0だった。
これがどういうことを意味するかと言うと、人を纏めて行動ができるほど実力があるのに、つまり上に立つ人間であるのに手を汚したことがない、ということだ。
一般的な、まぁ、あくまでも俺が読んでいた物語は上に立つ者が一番人を殺しているというものであった。
ということは実力もあって信用度が高いからこそ人を預けられたコイツはまだ、そんなに悪の道を踏み込んでいないということだ。
状態は健康だった為怪しい薬にも手を出していないだろうし、いまなら無理やり拾い上げて足を洗わせられるかもしれない。
「あぁ、寝返って俺たち側についてくれれば命は保証してやる」
「............少し考えさせてくれ」
男はそう言った。
まぁ、確かにかなりの天秤ではあるのであろう。
寝返って俺たちが失敗した時に被害を被るのはこいつだ。
ヘタをすると死ぬよりもきつい拷問に掛けられるかもしれないしな。
遅れてしまい申し訳ございません。
現実の方が忙しい為、不定期の更新になると思います。
なるべく早く更新しますので暖かい目で見守っていただけると嬉しいです。
ブックマークとか評価をしていただけると作者が嬉しくなるのでよろしくお願いします!
★★★★★