20話
「ワイバーン?」
「ああ、ワイバーンだ」
ワイバーン、となると翼竜か、だけどゲームや物語の中の龍の中ではかなり下位の方の存在なことが多いイメージがあるのだが。
『そうですね、魔物の中の龍種では確かに下位の存在ですね、ですがワイバーンの存在はクラスがB++ほどあります、なので普通の人からしたらとても強い魔物ですね』
へー、なるほどねー。
たぶん、俺らが負けることがない可能性の方が高いし、害が出ているのなら早めに行動するべきか。
ただ、めんどくさいっちゃめんどくさいんだが。
さっきから目線を感じる方向を見る。
『行くよね?行くんだよね!?ワイバーンだよ!!?見ないの!!?』
という感情を全力で向けてきているレイがいるのだ。
はぁ、仕方ねぇか......
これも惚れた弱みだと、仕方なく受けることにする。
「分かった、俺達が行きましょう」
「本当か!?助かる、報酬は、そうだなぁ、大金貨1枚でどうだ?」
大金貨1枚......多くね?
「多すぎるのでは?」
「ワイバーンが何匹いるかわからないからな、それを探して倒しきって大金貨1枚だ、妥当だろ?」
あー、そうか、何匹いるか分からないからか。
だったらそんなもんなのか?
「あー、そうか、じゃあそれでいこう、だが一つ質問があるんだが、俺らはCランクの冒険者だ、ワイバーン討伐に行っても構わないのか?」
「あぁ、構わないが、星付きならCランクという文字など意味ないだろう?」
?
「どういうことだ?」
「ふむ、もしかして知らないのか?星付きっていうのはギルドマスターが異次元の強さを持っていると思った時にその冒険者に授けることができる制度だ、その星が3つ貯まるとSランク昇格試験が受けれるようになる」
ほうほう、なるほどね。
「つまり、その星を貰っている時点でどこかのギルドマスターに認められている。少なくともAランク以上の強さを持っていると判断できる人物にしか付与しないからな、実質星付きはAランク冒険者と変わらん、もっと言えば普通の星なしAランク冒険者よりも強いからな」
へー、そうなんか。
つまり、俺らは実質Aランク冒険者なのか。
「そうだったんだな、覚えておくよ、それじゃあ行くか」
「助かる、その森はここの街の南門を出て一日ほど歩いた分岐点の先だ、そこの森は入るのにギルドカードがいるので忘れないとは思うが忘れずにな」
請け負って外に出た......のだが
「そういえばシャルルはどうするんだ?」
「無理に依頼についてくる必要は無いと思うけど」
「行く、そうじゃないとついてきた意味が無い、アンタらが戦ってるところを見てないし」
あ、そうか。
「そういえばシャルルは冒険者ランクは幾つだ?」
「私はBランク星一つ、二つ名は銀狼」
「へー、ということは俺らより強いんだな」
「二人はまだ上げてないだけ、肩書きよりも能力の問題」
ま、それもそっか。
はぁ、強くなりたい......ね。
強くなってどうするんだ?
明らかに何かを抱えて生きているシャルルが強くなりたくて旅をしていると言っているのだ。
果たして何をしようというのだろうか。
一人で生きていくために強くなりたいのか?
強くなって周りに貢献できるようになりたいのか?
だが、後者とは思えない、だって、隠されし者なのだから。
だから前者なのか、若しくはそれ以外のことなのか。
まぁ、考えてたって教えてくれないならわからないからな、しょうがないんだけど。
『マスターなら能力で過去を見ることも出来ますけどね』
そんなことはしないけどな、誰が好き好んで過去を見たれたいと思うのかってことだ。
だからシャルルが言ってくれるなら話は聞くけど、無理には聞くことはないってことだ。
「ま、いいか、とりあえず今日中には終わらせたいな」
「そうだね!」
「とりあえず宿屋を取ってから出発だ!」
おー!っとレイと俺で気合を入れて宿屋へと向かい始めた
「え、今日中に?」
後ろから声が聞こえたが、気のせいか。
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