13話
暖かい温もりの中カナデは珍しくスッキリと目を覚ました。
なんか、左腕が暖かくて重い?
右手と左手をあげようとした時に右手は上がったのだが左手は全く動かなかったため疑問に思ったのだ。
そして動かなかった左腕の方を見ると。
ななななんでレイが俺の左腕を抱きしめてるんだ!!?
左腕をレイがしっかりと捉え擦り寄っていた。
それに何か柔らかい何かが押し付けられていて。
やめて!もうカナデの理性がピンチよ!状態になっている。
と、とりあえず深呼吸だ!
ヒッヒッフー、ヒッヒッフー。
『それは、ラマーズ法ですよ』
いや、いいんだ、とりあえず落ち着けたから万事解決だ。
落ち着いて考えろ?昨日はお互いに背を向けて寝ていたはずだ、俺は寝てから普通に仰向けになってしまったのだろう、それでレイは寝返りをした時に左腕にあたり、それでなんだ?
あ、もしかしてレイは人形といつも一緒に寝てる?何かを抱きつく習性か何かで抱きついてしまったとかか?
『違いますよ、確実に、落ち着いてください』
ま、まぁ、なんでもいいんだ、こっから脱出せねば恐らくレイに処される「ん、んぅ」ぞ............
「ひっ!」
モゾモゾとレイが動きゆっくりと目を開ける
ふにゃーっとした顔がとても可愛くてなでなでしたくなったが、したら処されるので固まっている、というか腕を早く離してくんろ!
キョロキョロと眠そうな目を擦りながら周りを見ていたがその目は俺を捉える。
そしてその目線は下へと向き俺の左腕と自分が抱きついているその腕を見るとにへらぁって顔をして......もっと抱きついたきた。
「ちょっ......レイ!」
「んっふふー、カナデだぁ」
「く、くすぐってー」
抱きついてきた後に首元に顔を埋めてスリスリと顔を擦りつけてくる。
くっ、可愛いんだけど襲いかかりかねん......はよ離れてくれ......
肩をしばらーくポンポンと叩いているとどうやら寝ぼけていたのが治ってきたらしくパッと離れた、その目はしっかりと光が宿っていた。
「おはよ、とにかく腕を離してくれないか?」
「んー、おはよー、うで?」
「腕」
「んー」
眠そうにあくびしながら俺の腕を見て何を思ったのか、
「ぎゅっー」
もっと抱きついてきた
「ちょっとレイさん!!?離して欲しいんですけど」
胸とか胸とか胸が当たってるから!
早く離れて欲しいんだけど!!
「んふふー、おはよ!」
「お、おう、暑いから離れてくれないか?なぁ」
「んー、まぁ、カナデのそういう顔も見れたしいっかなぁ」
「なんのことだよ!」
(そういう顔を赤くしてボクのことを見てくる表情だよ、きちんと女の子って意識してくれてるんだなぁって)
「さぁねぇ、ほらご飯食べに行こ!」
そう言ってレイは下へと向かってしまった。
なんなんだよ......
心臓に悪いっつーの。
『焦れったいってこのことですよね』
なにがだ?
『いいえ、なんでもないです』
「全く、言葉遣いは素になったけどいたずらっぽいのは元からだったか」
頭を掻きながら立ち上がり朝食へと向かう。
「ほらカナデ!こっち!」
「朝から声がでけぇぞ、周りに迷惑だろ?」
「ご、ごめん」
ちょっと注意したらしょぼんとしてしまった。
くっ、可愛い!
じゃなくて
「いやいや、ごめんな?俺も言いすぎたから」
頭をぽんぽんとすると顔を見上げてパァァって顔になる。
くっ、可愛い!
じゃなくて
『ワンパターンですね、マスター』
うっせぇわい!
とにかく座るかぁ
「よっこいせっと、ん?」
なんか周りから視線を感じると思ったら何か暖かい目で俺とレイをみている。
なんで?
『朝から甘い空気を垂れ流してる二人のせいかと』
???
「はいよ!今日の朝食だ!って嬢ちゃん座らないのかい?」
宿のおばちゃんが朝食を持ってきてくれたのだがレイはさっきのパァァってしてからずっと固まっていた。
「おいレイ、朝ごはんが来たぞ」
「へ?うん!」
なんか、昨日から凄い変わってて可愛いんだけどなんなの?
『惚気はいいですから早くご飯を食べた方がいいかと』
そ、そうだな。
「よし、食うか」
「そうだね!」
「「いただきます!」」
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