10話
今日泊まる宿を探して歩いているのだが。
「宿が二つあるんだよなぁ」
この町は入口が二つ真反対にあるのだがその入口の前にひとつずつ宿がある。
「オルタどっちの宿がいいとかある?」
『そうですね、どちらも値段は同じですし質も変わりません、どちらかというと南側にある宿の方が混むので北側ですかね』
なるほどなぁ、それ早めに聞いとけば良かった。
というのもギルドから出て宿をめざしていたのだが南側に行っていた。
2人でUターンして北側へ。
んー、それにしても結構色んな人種がいるな。
周りを見ながら歩いていたのだが亜人が結構いる。
獣人やリザードマンっぽい人とかいる。
獣人に関してはもろ獣って感じの人もいれば耳とか尻尾だけとか色々いる。
まぁ、もろ獣って感じは少ないが、多分レアなんだろうな。
あとt
(なんかあの獣人の人強そうじゃない?)
俺が思ってたことをレイが送ってきた。
まぁ、マジで強そうだよなぁ。
やっぱこういう獣人とかを見ると異世界だなぁって思うんよなぁ。
強いて言うならこのゲーム感ある視界が異世界感を消してるなぁと思わんくもないが。
『嫌ならやめますよ?』
いえ、なんでもないです。
とても便利なのでこのままだとありがたいです。
そんなこんなで話していると宿屋が見えてきた。
「カナデ!ちゃんと宿屋にINNがぶら下がってる!」
「お、おう」
そこでテンションあがる?
まぁ、RPG好きからしたらあれかもだが。
「入ろーぜ!!」
テンション上がったまんま入っていったレイ
うわぁ、あれ恥ずかしいやつだ......
少し遅れて入ると入口で顔を赤くしているレイとそれを微笑ましそうに眺める人達という図があった。
「いらっしゃい、二人かい?」
「はい、そうです」
受付っぽいところにいるおばちゃんに話しかけれた。
「一泊したいんですけど」
「んー、ちょっと待ってね」
するとおばちゃんは手元の紙をめくると
「ごめんねー、一部屋しか空いてないのよ」
「え、マジか」
「じゃあもう一個の方に行く?」
「あ、旅人の坊主、もう一個の方は満室だったぞ俺は向こうが満室でこっち来たからな」
親切なおじさんから情報を貰ったのだが
どうしたもんかなぁ、2万あれば二つテント買えるか?
それが出来れば野宿できるんだが。
「んー、じゃあその一部屋借ります!」
「お、そうかい、一部屋二人で夕朝食付きで大銀貨1枚と銀貨5枚」
「はい、これで!」
「あいよ、そんじゃ銀貨5枚のお釣りと部屋の鍵だ、隣の階段を登って一番奥から二つ目の部屋だよ」
「分かりました!ほら、行くよカナデ!」
え?え?なんか話進んでるんだけど!?
腕を引っ張られて部屋へと連行された。
部屋に入るとベッドが一つとテーブルと椅子が1個ずつあった。
「なぁ、レイお前身の危険とか感じない訳?」
流石に男子と女子が同じ部屋に泊まるのは問題があるわけで危険管理について出来てないんじゃないか?と思う。
「んー?カナデのことは信じてるしそれに......」
「それに?」
「......い、いや、なんでもない!」
話していて途中で止まったと思ったら顔を赤くしてぷいっと横を向いてしまった。
「え、なにそれ」
「まぁまぁ、別に問題ないってことでいいの!」
「ハァ、そうか」
まぁ、俺が床で寝ればいいだけだし。
いくら好きな子と部屋が一緒だからといって手を出さねーしな。
レイは大切なやつだし、傷つけたくないしな。
『なんかマスターがカッコイイこと考えてます、気持ち悪いですね』
気持ち悪くねぇな!!?
『まぁ冗談ですよ、ただ紳士だな、とは思いますけど』
え、おう、なんか褒められた?
「カナデ、これからのことを話そ!」
レイ!それは素の口調だ!落ち着け!
『マスター、それ口に出さないと聞こえませんよ?』
言ったら素の口調聞けなくなるかもだから嫌
「これからか?とりあえず飯食ったら寝る」
「うん、それは知っとる」
「明日になったらギルド行って金受け取る」
「フムフム」
「この辺のそれなりにでかい町聞く」
「ほうほう、それで?」
「爆速でそこ行く、そこで生活必需品揃える」
「フム」
「あとはそこで考える」
「なるほど、雑だな」
「雑じゃねぇわ完璧やろ」
失敬だなぁマトモな考えだろ。
『流れはマトモですけど雑ですよね、それに一日で移動しきれると思ってる時点で脳筋ですよね』
うっせぇ、そんなことねぇし。
「生活必需品......武器か!」
「服だろ、いつまで制服着とるつもりや」
「え......そうじゃん!今制服じゃん!」
こいつ......テンション上がりすぎて自分のことすら見れていないんか。
「でも武器も買うでしょ?」
「まぁ、買おうかとは思っているが」
「んー、ボクは杖と短剣かなぁ」
「ま、買う時までに考えといてくれや」
明日の予定を話していると結構時間が経っていた。
「もう夕飯の時間か」
「そうだね......あっ」
夕飯の時間なので下に行こうと思ったのだがレイが何かに気がついたようで固まる。
「どうした?」
「ご飯、こっち来てから食べてない」
ん?どういうことだ?
『マスター達はこの世界に来てから飲食してないという話です』
............そうじゃん!てことは昨日の朝ごはん元の世界で食べてきたあと飲み物も食い物も食ってねぇ!
『まぁ、おふたりに説明すると』
(加護と白亜神によるものだろ?)
『......その通りです』
(あ、オルタから話を奪った)
(え、ごめん)
『別にいいですよ、別に私はいらない子ですよ、マスターは分かっちゃうんですもんね』
(ごめん、本当にごめん、まだ少しの間しか一緒にいないけどオルタは大切なやつだから、いらない子とかじゃないから)
『............』
(そういうこと普通に言っちゃうんだよなぁ)
(そういうことってなんだよ、いやそんなことより俺はオルタに謝りたくてだな)
『もういいですよ、ご飯に関してはお二人は食べなくても大丈夫ですけど食べても問題ないですからね?お二人は飲食は趣味とか嗜好とかになっただけですから』
(うん、分かった!)
『ではでは私は引っ込みます!』
最後に早口でまくし立てて黙り込んでしまった
「オルタはライバルになるかもしれないなぁ」
「何の話だ?」
「んーにゃ、なんでもない」
先にレイが夕飯を食べに下に移動し始めたので慌てて追いかけるのであった。
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