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見感語  作者: 紀希
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島神様と私



信仰。


この島に存在する神。



この島で、信仰されている神様。


その子は、、


その御方は、。



"歳をとらなかった"



あちい、、。


島。


何もない。



何も、、。



「何してるの?」


覗き込む様に少女は尋ねる。


容姿の整った、幼い女の子。



私も、昔は、若かった、、。



島での職は殆ど無かった。


だから皆。船に乗って、稼ぎへ行った。


普通。島なら、漁師等があるだろうが、


この島では漁は禁止されていた。



ただ。島人のみ、その日食べる分だけ。


捕まえる事が、許された。


その場合。きちんと島神に一匹目は捧げる。



そう言った、決まりがあった。


 

開発も無く、誰も荒らさない海は、


綺麗で、夏でも泳ぐ馬鹿は居ない。


何せ、遊泳すらも禁止されているのだから、



開発の話しも無かった訳じゃない。


ただ。この島は、護られていた。


よそからすれば


『祟り』


とでも呼ぶもの。



皆が島神を祀り。


島神は皆を支えた。



海を荒らす者。信仰しない者。


よそ者には、特に。厳しかった。



島神は"島民のみ"に、優しかった。



「何って、、釣りだけど。」


話し慣れない田舎者。


同年代等居なく、友達も居ない。



つまらない。


退屈な場所だった。



民宿にでも泊まっているのだろうか。


「釣り。楽しい?」


女の子は私の周りを回った。


「全然。釣れんし、、」


女の子「ふ~ん。」


「外から来たんか?」


女の子「うぅん。」


島で見た事が無い。


そもそも子供は居ない。



詮索されたくないのだろうか。


「海に落ちるなよ。」


私も質問されるのは、嫌いだ。


あまり、関わりが上手くは、無かったし。


女の子「えへへ。


大丈夫。」



あの日。初めて会った時から、、


それから、、今も。こうして。



いつもの場所で、いつもの様に。


魚を釣っているフリをして、、



私は、釣れもしない魚を待つ。



それは、『口実』とも呼べた。


不意に現れて、不意に消える。


そんな彼女を、、。


私はずっと待っていた。



女の子「釣れないねえ」


「良いんだ。別に。」



日に日に歳をとる私。


それに比べ、


見た目の変わらない彼女。



ずっと。私だけ。


時に"流されて"きた。



女の子「いつもご苦労様。」


ふとした時に現れる彼女。


「ハッハッハ。



私はもう、、。


ここへは来れないかもしれません。」


女の子「あら。そうなの、、。



せめて、一匹ぐらい。


釣れたら良かったのにね。」


彼女は水の入ったバケツを覗く。



「これ。」


竿を引き、糸の先を見せる。


女の子「これじゃ釣れないねぇ」


糸の先には重りだけ。



「良いんですよ。


これで、、。」


糸を。ただ。


水中に沈めていただけ。



女の子「楽しかった?」


振り返る彼女を見つめる。


「はいっ。


お陰様で、、」



最初は、あまり好きでは無かった。


何せ、何も無かったのだから、、



でも、、。


彼女のお陰で、、



『幸せ、、、でした。』



覗き込む顔が。


あなたと会えた時間が。


脳裏に焼き付いている。

 


私のかけがえの無いモノ。



今もあの場所で。


彼女は、ふと。



現れているのでしょうか、、
































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