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見感語  作者: 紀希
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遠き、春よ、、



知らない道から見えた。


寂しそうな鳥居。



ふと。通った神社が。気になった。


そんな事が、、たまにある。


ある種。


"呼ばれている"


とでも言うのだろうか、



近くには駐車場等無く、


道が細い為、路駐すら出来ない。



仕方なく、近くのお店の駐車場に停めて、


買い物をしてから、歩いて行った。



そこは木々に囲まれ、


緑は、とても。綺麗だった。


多分。季節は春。だろう、、か。


若葉の緑が光に照らされて、


とても綺麗な色をしていた。



中へ入ると、建物が幾つかあり、


それらは、全て。寺の様だった。


なんとか宗。


と、かいてある石碑があり、


石で彫ってある字は読めなかった。



近くには車が数台停まっていた。


建物の玄関は開いていて、


窓の隙間からは、笠を被った人達が、


数人。集まって居るのが見えた。


中の一人と目が合い、軽く会釈をする。



イベントでもやっているのだろうか、、


外に置いてあった木の看板には、


手書きで月の予定の一覧が記されていた。


時間を見ると、「お茶会」と書いてあった。



しばらくすると、その人達は、


お経みたいのを唱え始めた。



外をうるちょろしていていると、


まるで。中が、気になっている様で、


それで。中の人が気にしてくれて、


何だか誘ってくる様な気がして、、



そんなのが。私は嫌だったので、


早めに離れる事にした。



ここは神社じゃないのかな、、



鳥居があったんだけど、、



そんな事を考えながら、歩いていると、


たまたまおばあさんが通りがかった。


「あの、、すいません、



ここには神社は無いですか?」


すると、おばあさんは、手招きし。


先導しながら、案内してくれた。



「ここには、2つ。


神社が、あるんだよ。



ひとつは、、」



そう言うと、目の前には、策で囲まれた中に、


みどりがかった像が複数体あった。


太い円柱の様な上に、子供の様な、像があった。



「沢山居るだろう、、



ここには、子供の神様を奉った


神社があるんだよ、、」



そう言い。像を見せてくれると、


再び、歩き出し、後ろを付いて行くと、


ひとつ目の神社の神道があった。



鳥居は敷地内の端にあり、


結構な距離があった。


もしかしたら、私が見たのは、


あの鳥居だったのかもしれない。



「ここに。人が来るのも珍しいよ、



私は、もうひとつの場所に。


行ってくるからね、、」


おばあさんは体を戻し、


来た道を戻ろうとする。



「あのっ、、


もう。ひとつは、、」


そう聞こうとしたら、


おばあさんは、察したかの様に、


「自分で歩いて、探して、み?」


と。にこやかに微笑み、去って行った。



私は頭を下げた。


おばあさんも、「じゃあ、」


と、言わんばかりに会釈した。



その道を進むと、手を洗う場所は無く、


簡易的な水道があった。


蛇口を捻ると、水が出た。


私は手を洗い。散策を続けた。



建物がいくつかあったが、


どれがそうなのかは、


私には分からなかった。



近くに学校があった為か、、


子供の声が響いてる。


遠い、フェンスの奥には、


ぼんやりと遊具が見えた。



裏へ回ると、小さな遊具で、


人形の様な、リアルな子供が遊んでいる。



きょうだいなのか、、


遠くでも分かる様な男の子と女の子。



2人は私を見付けると、近寄って来た。



「皆。居なくなっちゃった、、



ねえ、遊ぼう。」


男の子は寂しそうにする。



でも、なんだか、


遊んでは"イケナイ"気がした。



「ごめんね、、



今。お参りしてるからさ、」



男の子は素直に遊具へと戻る。


だが、一緒居た女の子は側に居た。


話したいのだろうか、、



「2人で遊んでたの?」


女の子は横に首を振る。


2人共。


まだ、小学生には満たないぐらいだろうか、


上手に話せない年頃だ。



「神社って、どこにあるのかな?」


腰を屈めて、目線を合わせる。


何だか、聞いたら分かる様な、


そんな気がした。



すると。女の子は裏を指差し、


一緒に付いて来てくれた。



女の子の案内してくれた場所には、


石の祠があった。


中にはお供え物が、沢山あった。


きっと。おばあさんなのだろう。



その祠の横には、


斜めの小さな鳥居が、4つ程。あった。


体を地面に付け、くぐれば、通れるぐらいの。



「これは、潜った方が良いのかな、、」


少女は首肯く。



木製の古い鳥居。


私が通れば、壊れてしまいそうだった。


「ごめんね、、



無礼だけど、、」


謝りながら、祠に優しく触れ、


手を叩き、目を閉じる。



『安らかに、おねむり下さい。



まだ、成仏の出来ない子達が居ます、、


どうか、1日でも早く、


皆の場所へと、行ける様に、、



どうか、、お導き下さい。』



私よりも小さな子供達。


戦争や病気で亡くなってしまったのだろうか、、



もうひとつの場所へ行こうとしたら、


後ろには女の人が居た。



「お参りしてくれたんだね、、



はあ。」


悲しそうな顔をすると、


深い、ため息を洩らした。



「おばあちゃんが、



『もうひとつは、行ったから、


行かなくても大丈夫だよ。』



って言ってたよ。」



、、おばあちゃん?


さっきの人のだろうか、


通りすがりに、言われたのか、、



そんな事を考えながらも、一緒に歩く。


何となく、、自然に。



風が心地好く吹き、緑が綺麗で、


木々の隙間から、お日様の光が、


チラチラと私達に差し込む。



少し拓けた場所に出ると、来た時とは違い、


空には雨が降りそうな雲が、ちらほらと見えた。



「あの、、


おばあさんは、、?



お礼が、ちゃんと言いたくて、、」


「おばあさん?



ああ。


あれ、うちのおばあちゃん。」


ああ、そうだったのか、


どうりで、、



「私のおじいちゃんの奥さん。


今は一緒には暮らしてないんだけど、、さ。



ここから家。近いんだ。」


「どこですか?」


何となく、流れで聞いてしまった。



「また。おいでよ。



おばあちゃんは31日に来るから。


んー。日曜日、だね。



おばあちゃん喜んでたよ、



それで、、その代わり。


おばあちゃんが離婚した理由を、


さりげなく聞いて欲しいんだよね、



おじいさんに聞いてもさ。


教えてくれないし。



もう、歳じゃん?


心配だし、一緒に。


暮らしたくてさ。」



先に歩きながら、勝手に。


次々と話を進める。



「情報をあげたから、


情報をちょうだい。」



とでも、言わんばかりに。



「あなたも来るの?」


「さあ、、?



土曜に来て。


日曜は来ないかもしれない。」



「そんな、、



日曜日が雨だったら?」


「無し、、かな。」


「じゃあ、



そしたら、、



もう。会えないの?」



「さあ。



とにかく日曜日。


ねっ。」



そう握手し、あやふやな態度の、


名前も知らない歳上の女の人。



思わせ振りな女の子。



甘酸っぱい。



何処か懐かしい。



また。



"逢いたい、、"



素直にそう、思った。


純粋な気持ちの。純粋だった心。



そんな想いをした。


あの日。交わした約束を。


私は思い出す。

























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