内見
彼女「今日はすいません。」
「いえいえ。晴れて良かったですね」
彼女「えぇ。」
今日は内見の日。
彼女は職場の人。
因みに言っておくが俺の『彼女』ではない。
"訳あって"彼女の新居候補に同行する事になった。
それについては追々気が向いたら話す事にしよう。
「おはようございます。」
待ち合わせに来たのは若い女性だった。
若い女性「前にもお話した通り、、」
彼女「分かってます。」
【シングルマザー】
シングルファザーしかり。
片親ってのは楽ではない。
両方揃っているから良いって話でもないが。。
若い女性「こちらです。」
待ち合わせ場所から暫く歩いて辿り着いた先は、
決して綺麗とは言えない外観だった。
彼女「思ったより、」
若い女性「まあ、。
久しぶりなので、先ずは換気を。」
「お邪魔します。」
玄関を開けた瞬間。
独特な"臭い"がした。
籠った匂いとは別の感じだった。
玄関を開けると玄関と高低差のある長い廊下。
両サイドに扉。
不思議な造りだった。
若い女性と彼女は左へ。
俺は右側へ。
締め切ったカーテンを開け、窓を開ける。
廊下に出てもうひとつの扉を開けようとすると、
中から音が響いていた。
「あれ、、」
その部屋にはテレビが置いてあって、
テレビからは時代劇が流れていた。
その時にようやく"違和感"に気付いた。
、、さっきまで誰かが居た様な。
家具も置きっぱなしで。。
まるで誰かの部屋に勝手に入っているかの様だ。
何かを言おうと彼女の方へ行こうした時。
若い女性「大丈夫ですか!?」
声のする方へ駆け寄る。
彼女が部屋で蹲って居た。
『ヤバい』
直感で、そう感じた。
顔を覗き込むと彼女では無かった。
こういう時。とりあえず置いてってはイケナイ。
よく~chであるやつだ。
とりあえず3人で家を出る。
玄関を出ようとした瞬間。
右手に苦痛が走った。
「イってえなぁあ!!」
思わず彼女を叩いてしまった。
あの時見た顔は彼女ではなく、老婆で。
普通の老婆が、怒ってる顔だった。
彼女を置いて行って居ないか。
恐怖と心配が天秤を揺らす。
それでも、またあの家へ戻ろうとはしなかった。
厳密には戻りたいとは思わなかった。
身体は確かに彼女のものだった。
そのまま近くの所へ3人でお祓いに行った。
これは後日談だが。。
彼女は今は無事だったが。
若い女性は仕事を辞めたそうだ。




