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見感語  作者: 紀希
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紗由理の復讐



私がまだ中学生の頃。


塾の帰り道に、自転車で家に向かう途中、


知らない男性に、私は襲われた。


すごく怖かったのを今でも覚えている。


男性は私の体を嬲りながら、


ゆっくりと私の上で揺れる。


私は何も出来ずに、ただ道具の様に、


男性の快楽を満たしていた。


男性は気が済むと何処かへと行った。



私は震える体をぎゅっと抱き締め、


頬に伝わるものを感じながら、


そのまま警察へと行った。



だが、警察に行ったのが間違いだった。



警察で担当した刑事は、私と出逢った瞬間。


「君から売りをしたんじゃないのか?」


と、そう言った尋問から始まった。


私はただただ唖然とした。


その後も同じ様な言葉を繰り返し、


そうして、


「犯人の事が分からないんじゃ、


どうしようもない。」


と言い、終いには私をあの男性の様に、


そう言ったものの様に重ねる様になった。


取り調べと言う言葉を使って。



その頃からか、


私はその行為自体に何も感じ無くなり、


その警察のコネを使い、私は刑事となった。


男性は他にも複数の女性に手を付け、


それらがバラされて、後にクビになった。



幾つかの事件を担当すると、


私はあの男性の事件に当たった。


男性は複数の女性に犯行を行い、


それらを楽しんでいた。



男性にも警察にも家族が居た。


2人とも泣いていた。


「すいません」


と。



その涙は何処から来るのだろうか、、


その涙は何の涙なのだろうか、、



私の涙を奪っておいて、



私を、、、



仕事が順調に進むと、見合いを勧められた。


同業のお偉いさんの息子だった。


顔はまあまあで皆に人気だった。



食事を重ね、時間を重ねると求婚をされた。


私はただ頷き、指に首輪を嵌められた。


結婚生活は何の不便も無かった。


妊娠し、子供も出来、俗に言う、


幸せな家庭を過ごしていた。



だが、お腹の中の子供が流産し、


不妊治療を繰り返す様になると、


旦那は家に帰ってこなくなった。


向こうの両親には、


私に原因があると言われ、


相手にもされなかった。



紛らわすかの様に仕事に復帰し、


仕事に集中して、事件を解決してゆく。


いつしか結婚していると言う自覚すら、


ゆっくりと消えて行った。



帰っても暗い部屋だけが出迎え、


惣菜や、弁当で食事を済ませる。


シャワーを浴び、ベッドに入る。



結婚も。子供も。旦那も。


明るい家庭すらも。



『最初から私は望んでは居なかった』



この暗い場所だけが、私の幸せであり、


この過程だけが私の唯一の"普通"であった。



警察の写真や、やり取りを


職場にばら蒔き、クビにさせ、


男性の家庭を崩壊させ、


自殺へと追い込んだ。


旦那の浮気現場の写真を実家に送り、


職場のパソコンのメールにも送った。



楽しい事は何も無いけど、


私は私の普通を歩み、



今日も犯罪者を追う。











































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