古寺の化け狸
由緒ある古寺は管理者が居なくなり、
今や心霊スポットと呼ばれる程に酷く荒れ果て、
かつてあっただろう威厳は無くなった。
寺の門は閉ざされており、
その道には大きな狸の像が等間隔で置かれていて、
ギョロリとした眼差しで、通る者を見つめる。
それらを避けるようにして過ぎると、
正面には神社がある。
そこにも一際大きな狸の像がある。
"まるで、統括者かのように。"
日の光が遮られ、
暗くひんやりとした場所。
風が冷たく、不気味さを醸し出す。
あろうことに何処かのおばかさんが、
その統括者様の像に緑色のインクの様なもの。
又はペンキの様なものを塗ったらしい。
道に等間隔で置かれていた化け狸達は、
私を囲むなり激怒した。
化け狸「何て事をするんだ!」
化け狸「罰当りめ!!」
化け狸「だから人間は!」
狸達は怒り狂ってる。
とうの大元の統括者様は像のままだ。
まあ、本人達も私がやっていないことは、
見ていたのだろうけど、
どうにも腹の虫がおさまらなかったのだろう。
そりゃそうだろうなと心底思う。
とんでもない罰当り野郎だ。
そもそも相手にするモノを間違えている。
何せあの化け狸だ。
何をされても私は知らんこっちゃない。
とりあえず狸達に順序を説明した後、
警察に電話して、しばらくしたらたまたま神主が来た。
神主は私の周りの狸には気付かないみたいだ。
神主「これまた、いったい、、」
私のせいになるかと思ったが、
事を説明すると分かってくれた。
神主「なんともまあ、よりによって、
統括者様の像に手を出すとは、、
この辺も廃れてしまって。
御覧の通り、あそこの御寺様は、
見る影もありません。」
神主は悲しそうな遠い眼差しを向けている。
何だかんだ話していると警察が来た。
警察「通報された方は貴方ですか?」
なんともめんどくさそうに、
気だるそうな感じをしながら対応をする。
化け狸「何だこの態度は」
化け狸「今の者は本当にどうしようもない、」
むしろ怒りを通り越して、呆れ果てていた。
一通り、と言うか、来たらこうなっていたことを告げ、
後は神主に任せる事にした。
私も用事があったのでそこで失礼した。
何の縁があってそこに行ったのか。
"もしかしたら統括者様に呼ばれたのかも知れない。"
あの、、汚した人。
ちゃんと謝らないととんでもない事が起こりますよ。
なんせ、
『化け狸』
ですから