『後ろに居るよ』
男は芸術家だった。
作品を、いくつもいくつも創る。
幸運な事に、資金も底を尽きる事はなかった。
何故なら彼を評価する者が居たから。
自由に、優雅に、個性を表情した。
けれども、一向に、売れる気配がない。
男「何故だ。
何故私の芸術を理解出来ない。
何故称賛しないのだ。」
男は頭をかきむしりながらも、次々に創る。
しかし、ある日気付いた。
私に足りないのは
"リアルさ"
である、ことに。
こうして、男は本物を使うようになった。
本物とは、そう、
"生きていた"
モノだ。
男は金よりも、人間を要求するようになった。
彼の最高にして、最後の作品は
『バルコニー』
そう、呼ばれている。
彼の猟奇的な作品は後世にも語り継がれる事となった。
何人の身体を使ったかわからない"ソレ"は奇形であった。
日に日に腐食し、姿を変え、
正に、アートと呼ばれるようになる。
彼は作品に没頭するあまり、足を滑らせ転落死した。
彼の死に様も正に、"art"であった。
ここで残念な知らせがあるのだが、
最初から彼には資金提供者等は居ず、
自らの世界観に生き、死んで行っただけである。
人間はどうしたかって?
御想像におまかせしますよ。