束ねる
ギィ。
ギィ、、
男は一生懸命に糸を束ねる。
束ねたものをまた束ね。
少しずつ。大きくしていく。
何度も、何度も。繰り返す。
今で言うロープの様なもの。
男が作るものには強度があり、
売りに行けば、直ぐに売れた。
男はそれで、飯を食ろうた。
ギィ、、
ギィ。
男は一生懸命に糸を束ねる。
ギィ。
ギィ、、
ある時。
男が売りに行った帰りに。
みすぼらしい格好をした、
いかにも金の無さそうな子供が居た。
「すいません、、
僕にも売ってくれませんか?」
男は、子供の手の中を見た。
それは、男が売っている金には、
到底足りない金額だった。
「僕にも売って下さい、、」
弱々しい声。
まるで、生きていないかの様な、、
男は考えた。
「古いのでも良いのなら。」
そこで待つようにと子供に伝え、
家へと戻り、品を用意した。
ギィ、、
ギィ、、
「よいっ。しよっ、、」
ぶら下がった物を下ろそうとした時、
下から何かが出てきた。
グチャッ、、
そこにあったのは、異臭を放つ物体だった。
「なんだこれ」
男は、それをよく見る。
すると。
物体は聞いたことのある声で、話し出した。
「おじさん、、
何でお母さんを吊るしちゃったの、、」
男は腰を抜かした。
弱々しい声。
待つようにと、伝えた相手が。
形のない物体となって、そこに居たのだ。
ベチャベチャ、、
床は異臭を放つモノで溢れていた。
ぶら下がっている者達は皆。
男を睨む様に見つめていた。
ギィ、、
ギィ。
「どうしてこんな事をしたの?」
「苦しい、、」
「お前もやってみろ、、」
男の足は、少しずつ。
床から離れていく。
「ん、ぐっげげぇ、、」
ギィ、、ギィ、、
それ以来。
男の姿を見た者は居なかったそうな。