断片的人猫視野
君はいつもそこにいる。
誰かを待っているのだろうか、
定時に帰ると君は、いつもの場所にいる。
人が行き交う中で、まるで。
君だけの時間が止まっているかの様に、、
私はここがお気に入り。
人間は、決まった時間に、
決まった場所へと向かう。
毎朝。辛い顔をしながら。
私の朝は気持ちが良い。
暖かい朝日を浴びて。
冷たい風を感じる。
でも人間は、溜め息をしながら。
整った格好で、歩んで行く。
一体。何が楽しいのだろうか。
私は気の向くままに歩む。
誰も邪魔しないし、誰にも従わない。
私は野良なのだから。
「今日も疲れたな、、
明日も仕事か。」
これを後何回。繰り返すのだろうか、、
これは。正しいのだろうか。
生活するには、働かなくてはいけない。
だが、世の中には他にも稼ぎ口がある。
「これで。
いいのだろうか、、」
自分の気持ちを。
自分の心を。
毎日騙しながら過ごす。
"だって"
そうして、酒を呑み、布団へと入る。
週6勤務。低賃金。
支払いで殆ど消え、貯金なんてものは殆ど無い。
すれ違う家族を羨ましいそうに見る。
手を繋いだ家族のシルエットが、
影でさえにも楽しそうに笑って見える。
自分が描いていた未来は。
有り得ない程遠く。
まるで『夢物語』かの様に薄れてゆく。
子供。
いや、奥さんか、、。
「いや。その前に、彼女だろ笑」
一人で対話する自分が虚しい。
「にゃ~」
美味しいご飯。
お腹が空いたら、
そう鳴く。
「はいよっ。
沢山お食べ?」
「美味し」
人間も誰かに頼れば良いのに。
「ご飯下さ~い」
って。ね。
最近は冷えるけれど。
凌げる場所はある。
人間には、家がある。
帰るべき場所が、、。
私には、、。
そういう場所は無い。
人間は羨ましい。
私にも、嘗ては帰るべき場所があった。
だけども、捨てられてしまった。
「じゃあね?
元気でね?」
って。
どうして捨てられたのか。
、、きっと私の事が。
嫌いになってしまったからだろう、、
人間も、人間が嫌いになる事があるのだろうか。
お金の為に下げる頭が。
いつからか当たり前になり。
謝罪する事が身体に、染み付いていた。
「すいませんでした。」
この言葉を何回繰り返したのだろうか。
本当に、悪いとは思っていない。
それら全てに。
自分に責任がある訳じゃあ、無いのだから。
けれども、そうやってやれば。
大抵の事は丸く収まる。
「にゃあ。」
猫も謝罪するのだろうか。
テレビから流れた音に引かれ、
可愛くも無い声真似をしてみる。
「にゃあ、」
きっと、、。
人間くらいだな。
こんなにも自分を下げる生き物は多分。
日本と呼ばれる中に存在しているのだろう。
誰かに謝ると言うのではなく、
その行為の最後に、オチとして。
謝罪をする。
知らない誰かに。
関係の無い奴に。
「ごめんなさい。」
と。
「ごめんなさい、
やめて、、
怖いよ、、
やめて!!」
人間にも。悪い奴がいる。
私達を捕まえ。
私達を虐める。
人間は、人間によって虐められ。
その腹癒せに、弱い者を虐める。
そうして、それに慣れると。
人間は、人間に復習する。
無差別に。傲慢に。
意図も簡単に殺める。
「速報です。
○○線で飛び降り事故があった為、
一時、運転を見合わせています。
その為○○線では、
到着時刻等に乱れが生じております。」
社会は個人を追い込み、
個人は死を選ばされ、
"反抗"とも言えない程の。
『迷惑』
を掛ける。
遺された者は莫大な金銭を支払い。
他人の死等は関係無いかの様に、
タクシーの列へと並び始める。
その『死』は確実に。
人間が齎したモノなのに。
私達には、関係無いと。
被害者だと。
終いには踏ん反り返る始末。
精神性。
人間と呼ばれる種族は、衰退した。
思い遣りや、道徳心。
命を慈しむ気持ちすらも。
現代人には今や無いのだろう。
猫の様に、自由に。
助け合いながらも、魂を貫きたい。
そうやって生きられたら幸せなのだろうか、、
「昨晩。○○線で亡くなった男性は、
飛び降りる直前に、警察に電話を掛けており、
その際。
"俺は沢山の命を奪った。
最後に自分でケリを付ける。"
等と言い、その後直ぐに飛び降りた事が分かりました。
警察の調べによりますと、自宅では動物の死骸と、
最近。通り魔事件で使われていたであろう刃物があり。
男性の遺書の様な物も見付かっています。」
流れているテレビを消し、
唯一の休日は幕を閉じた。
何が出来る訳でも無く、ゆっくりと休む。
「あぁ、あ。
めんどくさい、、。
早く寝よう。」
こうして、酒を呑み。
再び布団へと入った。