青イ絵
静かなる空間。
部屋は広く、自分の足音だけが。
静かに。
響く、、
そこは美術館の様な、独特あの香りがした。
飾ってある物はどれも、何の。何。なのか。
説明すらも無く、ただただ綺麗に飾られていた。
私は流すようにそこを歩いていた。
しかし、奥の部屋に入った瞬間。
それは私の視界の全てを奪っていった。
青い人の様な絵。
額縁に飾られていたそれは、
青い無表情な顔は、、
"首がとれていた"
しばらくその絵と見つめ合う。
絵は話さないが、何かを訴えかけている。
何を言っているのかは、分からない。
言語やテレパシーの様なモノは、私とは合わなかった。
だが。しばらくすると、それを理解出来る様になった。
これは、信仰しなければ、得られない。
他者に馬鹿にされようが、
それらを得た先にしか分からないモノが。
皆の知らない所では、当たり前の様にあるのだ。
誰が。どうして。何を、描いたのか。
私はそれが気になった。
無表情な絵に。
私は語りかける。
そうして、絵と対話していると。
青い方は、まず。
人間じゃない事を知る。
どうして、首を跳ねられて居るのか。
そう尋ねると。
仕方がない。
と言わんばかりに、話し始める。
『人間に裏切られたからだ』
と。
青き方は、人間に興味があった。
だが。人間と関わる事は"タブー"だった。
何故なら人間は嘘を付く生き物だからだ。
彼等は、決して嘘は付かなかった。
ある日。
どうしても、人間と関わりたかった彼は、
この世界では"親"と呼ばれる方と約束を交わした。
『タブーを犯しても、尚。
"人間"と言う「物」を知りたければ。
ひとつの"ゲーム"をしよう。
もし。お前の選んだ人間が。
生涯で、
"一度も嘘を付かなかったら"
人間と、関わる事を許そう。
しかし。もし、人間が
"一度でも嘘を付いたら"
お前の首をはねよう。』
彼は頷き、大鎌へと首を掛けた。
彼は人間を見ていた。
人間と彼等では時間の概念すら違く。
彼等からしてみたら人生は一瞬の様だった。
人間は、ある世界に生まれ。
すくすくと成長を遂げた。
彼は世帯を持ち。
子を育て、老けて行った。
もう少しで、彼の命が終わりかける時。
"彼は人生で、初めて嘘を付いた"
その瞬間。
青き方の首は飛んだ。
これは、その瞬間の絵だったのだ。
ここで、彼との交信は途絶えた。
好奇心で自らの命を落としてしまった彼は。
人間を通して、"何を"知りたかったのだろうか。
人間が死ぬ間際に付いてしまった嘘とは、、。
まだまだこの絵には、
私の知り得ない事が沢山あるが。
ただひとつ確かな事は、、
彼は泣きもせず、無表情に。
怒る事等も無く。
ただ、首だけを堕としていた。
そして、これを私に見せ、私へと語ったのだ。
まだまだ沢山の"物"があるが。
それはまた今度話すとしよう、
でわ。
ごきげんよう、、