見ている者。
小さな頃から、、。
向こう側が見えるはずの、全ての物に。
"暗闇が見えた"
いや。暗闇しか、見えなかった。
と。言うべきだろうか、、
例えば。
円柱の様な、穴の空いている物。
先には必ず。何かの景色や、何か物が見えるはず。
けれど。私には、、。何も。
見えは、しなかった。
見えるのは、"真っ暗"な暗闇。
まるで異空間とでも、繋がっているかの様な、、
暗い暗い、闇。
私以外は、みんな。普通に、、。
中から見える、丸くなった景色が、
見えているのだろう、、。
私は、いつからか。
それらを覗く事を、しなくなっていった。
高い所に設置されている景色を見る為の望遠鏡。
綺麗な模様が回すと変わって見えるはずの万華鏡ですら。
私には暗くて見る事が出来ないのだから。
別に生きていて、支障は無かった。
ただ。それらが見えないだけで、
中の景色を容易に想像出来た。
でもある日。
何で見えないのかが。
やっと、分かった。
たまたまテレビを何気無く見ていたら、
あるドラマのシーンで玄関の覗き穴が見えなくて。
扉を開けたら、人が居るというのがあって、、。
それを見た時。私は何か閃いたかの様に、
筒状のモノを見付け、さっそく中を見てみた。
何十年ぶりに見たそれは。相変わらずの暗闇だった。
小さい頃は、つまらなくて。見ようとはしなかった。
だって、周りが見える景色が。私には見えないのだから。
なのに、ただただ。暗闇を見る等。
おかしな行為でしかないのだから。
でも、今は違う。
じーいっと。
ひたすら、穴の中の世界を見つめた。
一番最初に見た時とは、違う。
どうして暗闇なのか。じゃなく、
暗闇には。何かが、あるんじゃないかと、、
暗闇に慣れると、線の様なモノが見えた。
更に。何かを探すかの様に、じっくりと暗闇を見つめる。
錯覚だろうか。何かが動いている様にも見える。
私は闇に目を慣れさせる為に電気を消した。
けど。"消しちゃいけなかった"
こうして、気が付いた。
向こう側からも、"誰かが見ていた事に"
そこの誰かと目が合った瞬間。
私は覗く側と入れ変わってしまった。
ここは、真っ暗な世界。
向こう側の景色しか。私には見えない。
もし。何かの先が暗闇で。
それが。自分にしか見えていないのだとしたら、、
決して。私の様に、、。暗闇からは覗いてはイケない。
あなたも。何かの先が、暗闇にしか見えないのならば。
それは。誰かに覗かれているからかも、知れない。
早く電気を消してちょうだい。
だって、次はあなたの番なのだから。