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見感語  作者: 紀希
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ヨミズル



昔話。


遥か大昔に、"とある"場所で。



大規模な戦があった。



何かを守る為の戦いだったのか。


はたまた、何かを奪う為の戦いだったのか。



他者を傷付けると言った行為に。


いずれも、良い事等無い。



だが。時として、、


ぶつからなくてはならない場合もある。



両者は白と赤の面をそれぞれに付けており、


最終的には、沢山の死者を出して終わった。



やめたのか、やめざるを得なかったのか、、



両者を分けるかの様に、中央には、


膨大な川が流れていた。


高さのある川は、まるで両者が


再び交わるのを止めるかの様にあった。



私は赤の軍団に居た。


大勢の列は、フラフラとしながらも、


ただただ前へと進んだ。



そして、しばらく進むと、


自害する者達が表れた。



「俺、、逝くわ。」


「俺も。」



川は、さっきまであったハズの高さ等無く、


気付けば、川と私達の立っている、


陸の高さは同じだった。



目の前には、白の面をした者達が面を外し、



ゆっくりと。

  


先の見えない、澱んだ川へと入って行く。



皆。疲れた顔をしていて、


その者達は女性だったが、遠くから見ても、


容姿が整ってるのが分かる程に。


それはそれは、美しかった。



私もその川の淵まで近付いた。


もう。疲れたのだ、、。



何処へ行くかも分からない列は、


私達を置いて、ただただ歩く。



こうして、疲れてしまった者達は、


次々に、川の中へと入って行く。



入った者達は、


再び上がって来る事は無かった。



何人か。列から離れ、川へと向かったが、


最終的に決断が出来ずに、また列へと戻って行った。



私も、ただ。川の淵で、


皆が川へ入って行くのを見ることしか出来なかった。



気が付くと、近くに、躊躇している女性が居た。


私は手を差し伸べた。


「一緒に、行こう。」


と。


だが、彼女は首を横に振り、列へと戻った。



だが、、、。


何かの異様な音が鳴り始めると、


川の中から澱んだ色をした手が、


上へと、引っ張られる様に出てきた。



川へ入ろうとしていた者達も、


その異様さに、直ぐに逃げ出した。



物静かな列は悲鳴を上げて、逃げ惑う。



川から出てきた者達は、次々に列の者を襲い、


私達へと、掴みがかって来た。


私は、振り払いながらも退け、進もうとしたが、


目の前で、先程首を横に振った彼女が捕まっていた。



"彼女が捕まっている"



私は、走りながらも、


掴む奴等を退けて、


目の前の彼女を守った。



彼女と一緒に再び走り出し、


彼等から逃げる。


皆。走っている。


川から出てきた者共は次々に増え、


どんどん私達との距離を縮めて来る。



「助けてー!」


「やめろ、、」


「うわああ」



私達は、悲鳴の中。近くの建物へと隠れた。


が、。


まるで、居場所が分かるかの様に、


意図も簡単に見付けられてしまった。



次々と。彼等は中へと入って来る。


タイミングを見計らい、攻撃し、


なんとか退路を作り、脱出した。 


その際、入り口を塞いだ。



だが、次々に追手が来る。


彼女「何で助けてくれるの、、?」


話さなかった彼女は言葉を交わした。


「何となく、、」


何かを感じた。


咄嗟の判断だったとは、言えなかった。 



後ろを見ると。彼等はいつの間にか、


居なくなっていた。



何とか逃げきれた様だ。



ようやく、彼等から免られた。



彼女「あなた。


何か知ってるの?」


「いや、、。」


質問の意味が分からなかった。


私は。何かを知っていたのか?



周りの者等は次々と。反撃もせずに、捕まって。


うめき声を上げるだけだった。


それが、私は彼等に攻撃をした。


そういう事を言っているのだろうか。



正当性と言うか、普通の行動だと思っていたそれは、


彼女からしたら普通では無かった様だ。


気まずくなる中。再び何処かへ隠れる事にした。



留まることの危険性を、さっき。知ったからだ。



正直。体力の限界だった。


逃げながら、退け。


そして、また逃げる。



彼等が何なのか、、。


何故。我々を狙って来るのか。



そんな事を考えていると、


不意に首に、痛みが走った。



「ぐっ、、。」


視界が。暗い。


ずっと暗いまま。



彼女「ハハハハハ。



私は一人で良いの!!


ハハハ、、



きゃあ!!!」



遠くて悲鳴が聞こえた。


彼女は壊れてしまった様だ。



こうなったのは、我々が争ったからか。


それとも、川へ入る者達を救わなかったからか。



意識が朦朧とし、


気付けば沈んでいた。



川の深い底には、


沢山の骸が、



寂しそうに重なっていた。

































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