『さみしい』
ある所にカップルが居た。
カップルは築年数の古いアパートに住んでいた。
男は外仕事をしていて、女は夜をしていた。
そんなある日、女に子供が出来た。
めでたい事なのだが、2人は良くは思わなかった。
何故なら、2人は学校に行ってたからだ。
学校に通いながら仕事をしていた。
その為、金銭的にカツカツだった。
それなのに子供まで出来てしまった。
2人は喧嘩した。
喧嘩して、下ろす事になったのだが、
女は日に日に大きくなるお腹に愛着を持ち始めた。
皮肉な事に子供は無事に産まれた。
女は泣いて。
生命の有り難さを実感した。
何故
"皮肉"
何て使うかって?
それからは虐待の日々が始まったのさ。
女は夜を辞め、日中のパートに出ることにした。
男は学校を辞め、仕事をするも、上手く行かず、
何をする訳でもなく家に居る事が多くなった。
女が出ている間、子供は男が見た。
うるさく騒ぐ子供にイライラしながら、
帰ってくる女に暴力を振った。
女は預けられる所を何とか探し、
無事に預けられる事が出来た。
男は酒に逃げるようになった。
呑むと暴れ、子供を庇う女に嫉妬した。
自らの親がした事と同じ事をしている自分には、
もう気付けないとこまできてしまった。
男は歳を取っていた。
40代ぐらいだろうか。
彼は夢を持っていた。
『普通という』夢を。
いつまでも外でペコペコする日々に疲れていたのだ。
中卒、いや、中学校もろくに行かなかった者に、
世間の目とやらは優しくはなかったのだ。
勿論、仕事は一生懸命やった。
しかし、歳を取ると若い頃のようには、
上手くは行かなかった。
そんな日々の中、男は女と出会った。
女も男と大体同じような状況だった。
が、女は若かった。
20にもいかなかった。
2人は会う度に引かれ愛、同居する事になった。
男「俺ももう若くないから、
ちゃんとした道に生きたいと思う。
お前も、一緒に頑張ってみないか?」
女「うん。
でも私バカだから、、」
男「大丈夫大丈夫。
俺のがバカだからよっ、」
そうして、2人は学校にへと行くことになった。
子供が小学生になる頃には男は何処かへ行った。
女は必死に働いた。
子供の為に、、
だが、幸せはすぐに崩れる。
女がいつものように疲れてパートから帰ってくると、
ガラの悪い車が止まって居た。
女は急いで階段を上り、部屋へと行くと、男らが居た。
男「よお。
久しぶりに、帰ったぞ」
男は卓を囲み、当たり前の様に居る。
女「あんた、何で帰ってきたん、、」
男は立ちあがり、女に暴力を振るった。
女は絶望した。
「子供を何とかしないと、、」
働く場所では、痣の後が酷く、
裏方の方へと回された。
「いっそ、、」
女の頭に過る。
女は変わらずパートナへ出る。
女の金を当たり前のように使う男は、
子供への暴力をやめなかった。
見せしめかのように。
女は帰る場所なんて他にないから、
ただ心を削りながらも戻る。
パートに行き、帰ると暴力を振るわれ、
子供を庇いながら、部屋の隅で僅かに仮眠をとる。
そんな日々が続くと、ふと、子供が居ない事に気付く。
女「子供は、、子供はどうしたの、、」
男は吐き捨てるように言った。
男「あー、、ちょっと叩いたら倒れて、
そのまま逝っちまった」
女は膝から崩れる落ちる。
涙なんて枯れて出ない。
ただ、可笑しくなって、笑いが込み上げる。
女「あはははははは」
男「なんだい、壊れちまったかい」
女は子供を探す。
男が隠した子供を。
徘徊するように、女が探すもんだから、
変だと思い、遂に警察が手をつけた。
男は逮捕され、女は精神が崩壊してしまった。
子供は近くの沼から発見されたようだ。