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【コミカライズ】婚約者が浮気しているようなんですけど私は流行りの悪役令嬢ってことであってますか?  作者: コーヒー牛乳
-Season2-

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98/98

【13巻発売記念SS】悪役令嬢の侍女は照れさせたい

明日4/16、13巻発売です!よろしくお願いします。


モネはローズの侍女で、リチャードの乳母の娘です。

 私、モネはローズ様の侍女となってから、自身の趣味趣向について新しい扉を開いたと日々感じている。


 本日はアディール家の労働規定に則った正式な休日。

 街を散策しているところに突然現れた、秘密の恋人──雇い主の子息、ローズ様の兄。つまりパトリック様も一緒に散策することとなった。


 ところが天気は突然の雨模様で、ただいま雨宿りとなっている。


 馬車を返してしまったものだから、パトリック様も私も街で立ち往生。

 彼は次期侯爵であり、王太子殿下の側近としても、その他色々……主にローズ様関連でお忙しいのに。こんなところで時間を使って大丈夫かしら。


 そう雨雲を睨むパトリック様の横顔を見ていたら、おや? と気づく。


 もしかしてこれってデートのようではありませんか。

 ふふ。パトリック様に「デートみたいで嬉しいです」と伝えたら、どんな反応をなさるかしら。


 そう考えたら、この雨模様もそこまで残念ではなくなった。

 私のお世話になっているアディール家の兄妹は、変なところで照れ屋なのですから。おもしろくてたまらない。


「坊ちゃま」

「ぼっ、外では坊ちゃまはやめてくれっ」


 雨音に紛れるように、そっと話しかけたのだが。あえてなのか? という声量で返事があった。

 そうやって可愛い反応を見せるから、いつまでも坊ちゃまと呼びたくなるのだけれど。


「邸の中ではいいんですね」

「いやっ、そういうわけではないが、ホラ、いつも通りにしないと怪しいだろう」


 別に好んで呼ばれたいわけではない! とパトリック様は眼鏡をクイッと指先で持ち上げた。


 そうやって澄ましている顔を装っている男性が照れると、とても可愛らしいということを。パトリック様が教えてくれたのだった。

 私の趣味趣向を歪ませた責任を取ってほしいものだが、さてどうなることやら。


 彼は次期侯爵で、私はローズ様の侍女だ。

 ローズ様が王太子妃になられた暁には、私もローズ様と移動することになるが、彼の未来に私はいるのだろうか。


 その未来予想図は、この雨空のように隠れている。


「よし。傘を借りて移動しよう。時間が勿体ない」

「あら、いいのですか? 足が汚れますよ」

「俺はいいが、モネも汚れてしまうな。せっかくキッ……」

「なんですか? き?」

「キッ……キレ……イな格好をしているカラッ」

「あら嬉しい」


 このような調子で、一言褒めるのにもいちいち可愛らしいのはどうしてだろうか。

 ローズ様のことに関しては真顔でサラサラと「可愛い。ローズの可愛さで世界の均衡が保たれている」「なんだ? ああ、ただの天使か……」など迷言を残す癖に。


 商店で傘を入手したパトリック様は、一つだけ傘を広げてこちらを振り向いた。


「あら? お一つですか?」

「これでいいだろう」


 これは確か本で読んだことがあるシチュエーションだわ。

 なんといったか、そう、これは


「「相合傘」」


「……これで、いいだろう。声がよく聞こえる」


 傘で顔を隠されてしまったが、優秀なパトリック様は私の愛読書も確認済だったのかもしれない。


傾いた傘をくぐり、パトリック様の腕をとる。なるほど、一つの傘に入ると自然と距離が近くなる。


「本当ですね。パトリック様の赤いお顔がよく見えます」

「〜〜〜〜!」


 こんなことがあるなら、雨の日もいいかもしれない。そう思えた。





「モネ、横では肩が濡れてしまう。ここに」

「はい?」

「傘を俯瞰して時計と例えると」

「時計」

「俺が4時から5時のところにいたら、モネは10時の位置にいるのが一番効率的だと思わないか」

「効率的」


 パトリック様は真顔だ。純粋に二人が濡れない最大公約数を考えたのだろう。頼もしい。


「では、パトリック様が前を歩いてください。侯爵家の御子息を後ろに歩かせるなど、少し居心地が悪く……」

「いや、モネが前を歩くべきだ」

「そうでしょうか」

「そうだ。そうしなければ…………モネが、見えないだろう……せっかくのデートなのに」


 ちらりと見上げたが、よほど見られたくないのか明後日の方向を見ている。だが赤い耳は無防備だ。きっと触れたら熱いだろう。

 でも、私の手も熱を持っているのだから、わからないかもしれないけれど。



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